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第22話 竜、住処に許可をもらう
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「ドラゴンの身体はとても屈強じゃ。しかし、生きていくうえであの大きさは不便でな。ワシや、同じくらい生きている者達が考えた末に人間になれる方法を会得した」
「それはいつごろからですかな?」
「ざっと千年くらい前じゃったかのう、婆さん」
「そうですねえ。まだ私達も若かったですし」
今でも若いのにと、村人たちはトワイトの言葉に眉根を潜めていた。
そんな空気の中、ドラゴンの人間化について、まだ続きがあるとディランが話す。
「人間は徐々に増えていき、お主達の暮らしを観察することが多くなった。そこで衣食住。どれをとっても人間の方がコンパクトで無駄がない。ワシらといえば洞穴を掘ったり山の頂上に巣を作るなどじゃったからのう」
「雨も困るし、子育ても大変で……そこで『家』というものを使っていた人間の真似をするということにしたんですよ」
「へえー、ドラゴンってどっしりと巣に居るイメージだったけどなあ。それで人間の姿なんだ」
騎士の一人が感心したように言うと、ディランは頷いてから答えた。
「昔はドラゴンの姿そのままじゃった。しかし人間はドラゴンの素材が高く売れるといことで襲ってくることもあった。故に姿を変えることで戦いがある程度回避できるようにもなったな」
「結構、弱気な感じではないですか……? 戦いを回避とは」
「弱気? ああ、そうじゃないのじゃ。ワシらとの戦いになればほぼ確実に人間は死ぬ。殺したくなくても少し撫でただけで首が飛ぶし、胴体は足とお別れになるからのう」
「「「……!?」」」
ディランの言葉にその場にいた全員が戦慄していた。死ぬ、というワードが穏やかな性格であるディランの口から出たのがショックだったようだ。
「よほどの数でドラゴンを囲むか、切れ味の良い武器を持つか、膨大な魔力で押しつぶすか。最低でもどれか一つが無ければドラゴンには絶対に勝てん」
「私達も死ぬわけにはいかないので襲われたら抵抗をしないといけませんし……」
ディランとトワイトが昔を思い出してため息を吐き、首を振る。先ほどの姿を見たら確かにと思うしかない。
そこでモルゲンロートが質問を投げかけた。
「ま、まあ、その通りですな。その、自分達から攻撃を仕掛けたことは……?」
「ワシらから攻撃することは滅多に無いが、大昔、人間に子供を連れ去られたドラゴンが人間の町を一つ消したこととかあるかのう?」
「そうですねえ。子供を連れ去るのは、私許せません! ねえ、リヒト」
「あうー♪」
「はは……」
トワイトからリヒトを取り上げたらどうなるか……村人たちは背中が冷える思いをした。
その後の話では結果としてドラゴンの人間化は土地を圧迫せず、種を守ることにも成功し、人間からの襲撃を防ぐことができた。
それでドラゴンの子孫たちへやり方を伝えたことをモルゲンロート達へ告げた。
「ふうむ、ドラゴンも中々大変だったということですなあ。いや、確かにそういう人間が居てもおかしくはない」
「まあ、ドラゴンも悪いヤツは居るからのう。人間の娘を差しだせとか言う輩とか聞いたことがあるわい。ああいうのは討伐されても仕方ないと思うておる」
「種族が違えど性格は個の差がある、というのはどこも同じということですな」
モルゲンロートは悪意のある存在はお互い大変だと眉間にしわを寄せていた。
概ね、話が終わったところでディランが再び口を開いた。
「それで、ワシらはあの山に住んでいても構わないだろうか? まあ、ダメというなら出ていくが」
「過ごしやすかったですけど、ダメなら仕方ありませんねえ」
「いや、まだ答えておりませんぞ奥方!? ……コホン、こうやって話ができるという時点で私は問題ないと思う。こちらは攻撃されなければ危害を加えるつもりも追い出すつもりもない」
「陛下の望むとおりで良いかと存じます」
「はい!」
モルゲンロートがディランとトワイトへ向かって笑いかけ、すぐに控えていた騎士達へ目を向けた。
バーリオが胸に手を当てて頭を下げると、他の騎士や村人も『異論はない』と答えていた。
国王相手に異を唱えるという者はおらず、ディラン達が悪さをするならもっと早くやっていたし子供も食われていたはずだ。
もしディラン達が暴れていたら。村もどうなっていたかわからないのでは? などと話していた。
「おお、いいのか! そりゃ助かるわい!」
「この国に来たのもなにかの縁ですからな。それになにかあったら助けてくれそうじゃありませんか」
「そうじゃな。山を借りておるから出来ることがあれば手伝っても構わんよ」
「ははは、心強い。しかし、そういうことが無いようにしたいところですなあ」
「ふぉふぉ、平和が一番じゃものな。二千年、人間同士での戦も何度か見たが、同じ種で絶滅寸前までいった戦いが何度かあってハラハラしたわい」
「いやあ、耳が痛いですな」
ディランとモルゲンロートがそんな話をして笑いあう。
そして一応、話し合いで済ませるという一番いい結末になり、バーリオ達、熟練の騎士も安堵の表情になっていた。
「ふう、良かったですね陛下。何事もなく終わって」
「うむ。ザミールよ、助かったぞ。また贔屓にさせてもらおう」
「ありがとうございます! だけど追加で持ってきた装備は無駄になりましたね」
「戦わずに済めば一番いいからな」
ザミールが汗を拭いながらモルゲンロートに頭を下げる。
彼は城の兵士たちが使っているものより数ランク上であるミスリールの素材を使った装備を用意してきたが無駄になったなと苦笑していた。
モルゲンロートは肩を竦めてそれでいいと言う。
「まあまあいい武器じゃ。それでもこの人数では尻尾で一蹴してしまうかもしれんのう」
「あれだけでかけりゃそうなりますよ!?」
「ディランさん、長生きしているだけあってユーモアもあるなあ……」
「トワイトさんも二千歳とは思えないくらい美人……というか可愛いわよね」
「ええ?」
「あうー?」
緊張が解けて村人も気さくに話しだす。その中で女性がトワイトに可愛いと口にした。するときょとんとした顔の後、トワイトの顔が少し赤くなる。
「いやだわ、こんなおばあちゃんに可愛いだなんて! ねえ、あなた」
「うおおおおお!?」
「「あ!?」」
リヒトを片手で抱っこし、照れながらトワイトがディランの背中を叩いた瞬間、ディランが弾かれるように吹っ飛び、地面を転がった。
「ああ!? ごめんなさいあなた!」
慌てて駆け寄るトワイトを見て、その場にいた一同は『仲がいいな』と思いつつ、一撃の威力から『やっぱりドラゴンなんだ……』と思うのだった。
「それはいつごろからですかな?」
「ざっと千年くらい前じゃったかのう、婆さん」
「そうですねえ。まだ私達も若かったですし」
今でも若いのにと、村人たちはトワイトの言葉に眉根を潜めていた。
そんな空気の中、ドラゴンの人間化について、まだ続きがあるとディランが話す。
「人間は徐々に増えていき、お主達の暮らしを観察することが多くなった。そこで衣食住。どれをとっても人間の方がコンパクトで無駄がない。ワシらといえば洞穴を掘ったり山の頂上に巣を作るなどじゃったからのう」
「雨も困るし、子育ても大変で……そこで『家』というものを使っていた人間の真似をするということにしたんですよ」
「へえー、ドラゴンってどっしりと巣に居るイメージだったけどなあ。それで人間の姿なんだ」
騎士の一人が感心したように言うと、ディランは頷いてから答えた。
「昔はドラゴンの姿そのままじゃった。しかし人間はドラゴンの素材が高く売れるといことで襲ってくることもあった。故に姿を変えることで戦いがある程度回避できるようにもなったな」
「結構、弱気な感じではないですか……? 戦いを回避とは」
「弱気? ああ、そうじゃないのじゃ。ワシらとの戦いになればほぼ確実に人間は死ぬ。殺したくなくても少し撫でただけで首が飛ぶし、胴体は足とお別れになるからのう」
「「「……!?」」」
ディランの言葉にその場にいた全員が戦慄していた。死ぬ、というワードが穏やかな性格であるディランの口から出たのがショックだったようだ。
「よほどの数でドラゴンを囲むか、切れ味の良い武器を持つか、膨大な魔力で押しつぶすか。最低でもどれか一つが無ければドラゴンには絶対に勝てん」
「私達も死ぬわけにはいかないので襲われたら抵抗をしないといけませんし……」
ディランとトワイトが昔を思い出してため息を吐き、首を振る。先ほどの姿を見たら確かにと思うしかない。
そこでモルゲンロートが質問を投げかけた。
「ま、まあ、その通りですな。その、自分達から攻撃を仕掛けたことは……?」
「ワシらから攻撃することは滅多に無いが、大昔、人間に子供を連れ去られたドラゴンが人間の町を一つ消したこととかあるかのう?」
「そうですねえ。子供を連れ去るのは、私許せません! ねえ、リヒト」
「あうー♪」
「はは……」
トワイトからリヒトを取り上げたらどうなるか……村人たちは背中が冷える思いをした。
その後の話では結果としてドラゴンの人間化は土地を圧迫せず、種を守ることにも成功し、人間からの襲撃を防ぐことができた。
それでドラゴンの子孫たちへやり方を伝えたことをモルゲンロート達へ告げた。
「ふうむ、ドラゴンも中々大変だったということですなあ。いや、確かにそういう人間が居てもおかしくはない」
「まあ、ドラゴンも悪いヤツは居るからのう。人間の娘を差しだせとか言う輩とか聞いたことがあるわい。ああいうのは討伐されても仕方ないと思うておる」
「種族が違えど性格は個の差がある、というのはどこも同じということですな」
モルゲンロートは悪意のある存在はお互い大変だと眉間にしわを寄せていた。
概ね、話が終わったところでディランが再び口を開いた。
「それで、ワシらはあの山に住んでいても構わないだろうか? まあ、ダメというなら出ていくが」
「過ごしやすかったですけど、ダメなら仕方ありませんねえ」
「いや、まだ答えておりませんぞ奥方!? ……コホン、こうやって話ができるという時点で私は問題ないと思う。こちらは攻撃されなければ危害を加えるつもりも追い出すつもりもない」
「陛下の望むとおりで良いかと存じます」
「はい!」
モルゲンロートがディランとトワイトへ向かって笑いかけ、すぐに控えていた騎士達へ目を向けた。
バーリオが胸に手を当てて頭を下げると、他の騎士や村人も『異論はない』と答えていた。
国王相手に異を唱えるという者はおらず、ディラン達が悪さをするならもっと早くやっていたし子供も食われていたはずだ。
もしディラン達が暴れていたら。村もどうなっていたかわからないのでは? などと話していた。
「おお、いいのか! そりゃ助かるわい!」
「この国に来たのもなにかの縁ですからな。それになにかあったら助けてくれそうじゃありませんか」
「そうじゃな。山を借りておるから出来ることがあれば手伝っても構わんよ」
「ははは、心強い。しかし、そういうことが無いようにしたいところですなあ」
「ふぉふぉ、平和が一番じゃものな。二千年、人間同士での戦も何度か見たが、同じ種で絶滅寸前までいった戦いが何度かあってハラハラしたわい」
「いやあ、耳が痛いですな」
ディランとモルゲンロートがそんな話をして笑いあう。
そして一応、話し合いで済ませるという一番いい結末になり、バーリオ達、熟練の騎士も安堵の表情になっていた。
「ふう、良かったですね陛下。何事もなく終わって」
「うむ。ザミールよ、助かったぞ。また贔屓にさせてもらおう」
「ありがとうございます! だけど追加で持ってきた装備は無駄になりましたね」
「戦わずに済めば一番いいからな」
ザミールが汗を拭いながらモルゲンロートに頭を下げる。
彼は城の兵士たちが使っているものより数ランク上であるミスリールの素材を使った装備を用意してきたが無駄になったなと苦笑していた。
モルゲンロートは肩を竦めてそれでいいと言う。
「まあまあいい武器じゃ。それでもこの人数では尻尾で一蹴してしまうかもしれんのう」
「あれだけでかけりゃそうなりますよ!?」
「ディランさん、長生きしているだけあってユーモアもあるなあ……」
「トワイトさんも二千歳とは思えないくらい美人……というか可愛いわよね」
「ええ?」
「あうー?」
緊張が解けて村人も気さくに話しだす。その中で女性がトワイトに可愛いと口にした。するときょとんとした顔の後、トワイトの顔が少し赤くなる。
「いやだわ、こんなおばあちゃんに可愛いだなんて! ねえ、あなた」
「うおおおおお!?」
「「あ!?」」
リヒトを片手で抱っこし、照れながらトワイトがディランの背中を叩いた瞬間、ディランが弾かれるように吹っ飛び、地面を転がった。
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