37 / 385
第37話 竜、冒険者が訪ねてくる
しおりを挟む
「今日はどうするよ?」
「キリマール山に行かない? リヒト君に会いたいわ」
「僕も賛成だ。少し魔法薬に使う草が欲しい」
「ディランさんが居れば安心だもんね」
早朝のギルド。
そこでガルフ達が今日の行動指針について話し合っていた。リーダーのガルフがなにか提案があるか聞いたところ、レイカがディラン達の山へ行こうと口にした。
狩りも採集も山へ行けばある程度依頼も安全にこなせるのでガルフ達には都合のいい場所だった。
「それじゃキリマール山へ行くか!」
「よう、ガルフ。どこへ行くって?」
「……ダイアン。別にどこでもいいだろ?」
行き先が決定したところで、ダイアンという別の冒険者が話しかけてきた。
明らかに不機嫌な態度を示したガルフが追い払うように手を動かすと、ダイアンはニヤニヤと笑いながら話を続ける。
「レイカ、そろそろこんな馬鹿は辞めて俺と付き合ってパーティーに入ってくれよ?」
「はあ? 嫌だけど」
「回復術師が居ないんだ、頼むよ。どうせこいつらは大した依頼も出来ないもんな? Cランクだもんな」
「うるせえよ。さっさと依頼に行けってんだ。レイカは俺の彼女だし、お前みたいなやつにはついていかねえよ」
レイカを狙っているらしいダイアンの言葉に、レイカが拒否をはっきり示した後、ガルフが追い払おうと口を開く。
その瞬間、ニヤついていたダイアンの表情が変わり、ガルフの胸倉を掴んで持ち上げた。
「調子に乗ってるんじゃねえぞガルフ……! Bランクの俺にそんな口を利いていいと思ってるのか? ……最近、商人のザミールと一緒に陛下へ謁見したらしいな」
「関係あるかよ、俺はお前が嫌いだってのは知ってるだろうが」
「ぐっ……貴様……!?」
ガルフは眉を顰めながらランクが高かろうが人間として嫌いだと告げる。胸倉を掴んだ手に力を込めて外すと、ダイアンが驚愕していた。
やがて手を放すと、ダイアンのパーティーメンバーが彼を支えて言う。
「ガルフにこんな力があったか……? おい、ダイアン、大丈夫か?」
「……ああ。覚えていろガルフ」
「ふん、覚えていたくないもんね! べーだ!」
「ユリ……くそ……妹をきちんと躾けておけヒューシ……!」
「ウチの妹は気が強くってな。というより僕達より一つ高いランクでそこまで威張れるものかい?」
「……いくぞ」
ユリもガルフと同じく威嚇をすると、ダイアンが苛立たし気にヒューシに絡む。しかし、その兄ヒューシも不敵に笑いながら挑発をする。
その様子に頬をぴくぴくと震わせた。だが、なにかを言うことなくダイアン達はその場を去っていった。
「まったくしつこいわね。まだレイカに振られたことを根に持っているんだ」
ダイアン達が去った後、ガルフ達も装備を整えてギルドの外へ出た。そこでレイカが肩を竦めて先ほどの話に戻る。
「だいたいガルフとは村に居た時から付き合ってるんだし、それに――」
「それに?」
「ガルフくらいなものよ、ドラゴンに会いに行くなんて言うのは? あいつらじゃ無理無理」
「なんだよ、照れるじゃないかレイカ」
レイカがガルフを見てそう言うと、ガルフは頭を掻きながら笑う。しかしすぐにため息を吐いてから首を振る。
「そんだけ馬鹿なんだけどね」
「なんだよ!?」
「まあ、そこがいいところでもあるもんねガルフは。私もいい男を見つけないと。ねえヒューシ?」
「お前みたいな兄を敬わない奴に出来るものか」
「なによ!」
「いてっ!? そういうところだよ」
ユリの言葉にヒューシが苦笑して返すと、頬を膨らませて脛を蹴っていた。そのまま馬車を駆り、王都を出ると真っすぐにキリマール山へと向かった。
そのすぐ後を別の馬車が出ていく。
「……クソが、分からせないといけねえみたいだな」
「おいおい、マジで追いかけるのかよ?」
「めぼしい依頼が無かったのはその通りだけどよ? ユリちゃんでもいいじゃん。あの子も可愛いだろ」
「うるさい! ……というより、最近ガルフのヤツは確かに強くなっている。このままだとヒューシの言う通りBランクに到達するかもしれん」
「どうすんだよ?」
「山が気になる。なにか師匠がついたとか、訓練をしているんじゃないか?」
ダイアンはガルフ達に余裕が出てきたことに疑問を感じていた。そしてよくキリマール山に行っているという話は他の冒険者に聞くのだ。
故にその秘密があるのではと後をつけることにしたというわけである。
「レイカちゃんはガルフに辛辣だけど、信頼しているぜ? 奪うのは難しいと思うけどな」
「あいつを打ち負かせばいいだけだ……! 行くぞ!」
「そういやあいつら馬が増えてるな。謁見でなんか褒美でもあったのかねえ」
ダイアンの言葉に残り三人のパーティーメンバーが苦笑しながら、暇つぶしにはいいかと話に乗った。
危険な片道切符を手にしたことを、彼等はまだ知らない。
そんな状況の中、ガルフ達はキリマール山へと向かう。だいたいお昼過ぎくらいかかって村まで辿り着き、そこからさらに数十分かかるのである。
最初はもっとかかっていたが、馬も二頭になり移動速度が速くなっていた。
そんな調子で魔物を倒しつつ、ガルフ達はキリマール山へと到着した。
「こんちはーっす!」
「……くあ……わふ?」
「ぴよ?」
「おや、あやつらか」
ちょっと離れたところであくびをしていたアッシュウルフが気づき、続いてウルフの髭をつついて遊んでいたトコトと、畑の野菜を洗っていたディランが気づく。
腰を上げて玄関まで行くと、ガルフ達の姿を確認した。
「おー、来たか」
「ぴよー♪」
「こんにちはトコトちゃんかなこの子は?」
ひとまずいつもの挨拶を交わし、レイカがトコトを手に載せて優しく撫でていた。
そこでガルフから用件を言う。
「今日はヒューシの採集なんだけど、いいかい?」
「構わんよ。どうせ年寄りは暇をしておるからな。婆さんは中に……の前に、おーい、アッシュウルフよこっちへ来い」
「ん?」
ディランが手を叩いて呼ぶと、三頭のアッシュウルフがのそのそとやってきた。
「あら、アッシュウルフですか? どうしたんです?」
「おお、カッコいいな」
「ちょっとある出来事があってこの辺に住むことになったのじゃ。ほれ、この四人は襲ってはならんぞ?」
「「「わふ」」」
「魔物だから賢いわね! よろしくね! ……えっと、名前は?」
「ないぞ。では日向ぼっこに戻ってよいぞ」
「「「わふ」」」
ディランがそういうとアッシュウルフ達はまたのそのそと適当なところに移動して寝そべった。
「名前ないのは可哀想じゃないですかね……あと、森で会ったら間違えて倒してしまいそうだ」
「だよねー。あと、なんかちょっと汚い気がする」
ヒューシとユリが歩いていくアッシュウルフを見てそんな感想を口にした。
ディランは首を傾げながら玄関の扉を開けた。
「まあ、魔物だとあんなものじゃろ? 準備をするからひとまず上がってお茶でも飲んでくれ」
「ありがとうございます! トワイトさん、リヒト君、こんにちはー! ミルクのお土産を持ってきましたよー!」
レイカがカバンから瓶を取り出しながらリビングに入ると、ソファに座ってひよこと遊んでいた二人が笑顔を見せた。
「あらあら、レイカさんありがとうね」
「あー♪」
「やー♪」
リヒトが一行を目に入れると手を上げて喜ぶ。トワイトが瓶を受け取る代わりに、レイカはリヒトを抱っこさせてもらっていた。
「ちょっと出てくるぞい」
「ええ。お茶を入れましょうか」
「相変わらず仲がいいよなあ。あ、そうそう、あの狼たちに名前とかつけないのか?」
「私、キレイにしてあげたい! 町で犬を飼っている人が首輪をつけているけど、そういうのも必要じゃない? 他の冒険者に狩られるかも」
「こけー!?」
狩られると聞いてジェニファーがびっくりして大きな声を出した。そこで瓶をテーブルに置いていたトワイトが口を開く。
「そうねえ。折角お家の近くに住んでいるし、名前くらいはあってもいいかもしれないわね」
「名づけ、手伝うぜ!」
ガルフがそういうと、ヒューシが眉を顰めて口を開く。
「こら、今日は採集だ。あいつらはまた今度でいいだろ」
「ちぇ、カッコいいのにしたいんだけどな」
「早く帰ってからそうしようよ! 泊まってもいいですか? テントは持ってきているし」
だが、アッシュウルフに構いたいのかユリが泊ってでも洗いたいと言う。もちろんトワイトは笑顔で返す。
「ええ、いいわよ。みんなも喜ぶわ」
「ぴよー♪」
「だーう♪」
「こけー♪」
一晩中家族以外の人間が居ることは初めてなので、四人の周りをジェニファーとひよこ達が取り囲んで回る。
今日の予定は楽しくなりそうだ。食事のため狩りもするかと準備をしていたディランの耳にアッシュウルフの吠える声が聞こえて来た。
「うぉふ!」
「わん!」
「うお!? アッシュウルフ!? どうしてこんなところに!?」
「ん? 今の声は……」
ガルフはうんざりした顔で玄関を出る。
「キリマール山に行かない? リヒト君に会いたいわ」
「僕も賛成だ。少し魔法薬に使う草が欲しい」
「ディランさんが居れば安心だもんね」
早朝のギルド。
そこでガルフ達が今日の行動指針について話し合っていた。リーダーのガルフがなにか提案があるか聞いたところ、レイカがディラン達の山へ行こうと口にした。
狩りも採集も山へ行けばある程度依頼も安全にこなせるのでガルフ達には都合のいい場所だった。
「それじゃキリマール山へ行くか!」
「よう、ガルフ。どこへ行くって?」
「……ダイアン。別にどこでもいいだろ?」
行き先が決定したところで、ダイアンという別の冒険者が話しかけてきた。
明らかに不機嫌な態度を示したガルフが追い払うように手を動かすと、ダイアンはニヤニヤと笑いながら話を続ける。
「レイカ、そろそろこんな馬鹿は辞めて俺と付き合ってパーティーに入ってくれよ?」
「はあ? 嫌だけど」
「回復術師が居ないんだ、頼むよ。どうせこいつらは大した依頼も出来ないもんな? Cランクだもんな」
「うるせえよ。さっさと依頼に行けってんだ。レイカは俺の彼女だし、お前みたいなやつにはついていかねえよ」
レイカを狙っているらしいダイアンの言葉に、レイカが拒否をはっきり示した後、ガルフが追い払おうと口を開く。
その瞬間、ニヤついていたダイアンの表情が変わり、ガルフの胸倉を掴んで持ち上げた。
「調子に乗ってるんじゃねえぞガルフ……! Bランクの俺にそんな口を利いていいと思ってるのか? ……最近、商人のザミールと一緒に陛下へ謁見したらしいな」
「関係あるかよ、俺はお前が嫌いだってのは知ってるだろうが」
「ぐっ……貴様……!?」
ガルフは眉を顰めながらランクが高かろうが人間として嫌いだと告げる。胸倉を掴んだ手に力を込めて外すと、ダイアンが驚愕していた。
やがて手を放すと、ダイアンのパーティーメンバーが彼を支えて言う。
「ガルフにこんな力があったか……? おい、ダイアン、大丈夫か?」
「……ああ。覚えていろガルフ」
「ふん、覚えていたくないもんね! べーだ!」
「ユリ……くそ……妹をきちんと躾けておけヒューシ……!」
「ウチの妹は気が強くってな。というより僕達より一つ高いランクでそこまで威張れるものかい?」
「……いくぞ」
ユリもガルフと同じく威嚇をすると、ダイアンが苛立たし気にヒューシに絡む。しかし、その兄ヒューシも不敵に笑いながら挑発をする。
その様子に頬をぴくぴくと震わせた。だが、なにかを言うことなくダイアン達はその場を去っていった。
「まったくしつこいわね。まだレイカに振られたことを根に持っているんだ」
ダイアン達が去った後、ガルフ達も装備を整えてギルドの外へ出た。そこでレイカが肩を竦めて先ほどの話に戻る。
「だいたいガルフとは村に居た時から付き合ってるんだし、それに――」
「それに?」
「ガルフくらいなものよ、ドラゴンに会いに行くなんて言うのは? あいつらじゃ無理無理」
「なんだよ、照れるじゃないかレイカ」
レイカがガルフを見てそう言うと、ガルフは頭を掻きながら笑う。しかしすぐにため息を吐いてから首を振る。
「そんだけ馬鹿なんだけどね」
「なんだよ!?」
「まあ、そこがいいところでもあるもんねガルフは。私もいい男を見つけないと。ねえヒューシ?」
「お前みたいな兄を敬わない奴に出来るものか」
「なによ!」
「いてっ!? そういうところだよ」
ユリの言葉にヒューシが苦笑して返すと、頬を膨らませて脛を蹴っていた。そのまま馬車を駆り、王都を出ると真っすぐにキリマール山へと向かった。
そのすぐ後を別の馬車が出ていく。
「……クソが、分からせないといけねえみたいだな」
「おいおい、マジで追いかけるのかよ?」
「めぼしい依頼が無かったのはその通りだけどよ? ユリちゃんでもいいじゃん。あの子も可愛いだろ」
「うるさい! ……というより、最近ガルフのヤツは確かに強くなっている。このままだとヒューシの言う通りBランクに到達するかもしれん」
「どうすんだよ?」
「山が気になる。なにか師匠がついたとか、訓練をしているんじゃないか?」
ダイアンはガルフ達に余裕が出てきたことに疑問を感じていた。そしてよくキリマール山に行っているという話は他の冒険者に聞くのだ。
故にその秘密があるのではと後をつけることにしたというわけである。
「レイカちゃんはガルフに辛辣だけど、信頼しているぜ? 奪うのは難しいと思うけどな」
「あいつを打ち負かせばいいだけだ……! 行くぞ!」
「そういやあいつら馬が増えてるな。謁見でなんか褒美でもあったのかねえ」
ダイアンの言葉に残り三人のパーティーメンバーが苦笑しながら、暇つぶしにはいいかと話に乗った。
危険な片道切符を手にしたことを、彼等はまだ知らない。
そんな状況の中、ガルフ達はキリマール山へと向かう。だいたいお昼過ぎくらいかかって村まで辿り着き、そこからさらに数十分かかるのである。
最初はもっとかかっていたが、馬も二頭になり移動速度が速くなっていた。
そんな調子で魔物を倒しつつ、ガルフ達はキリマール山へと到着した。
「こんちはーっす!」
「……くあ……わふ?」
「ぴよ?」
「おや、あやつらか」
ちょっと離れたところであくびをしていたアッシュウルフが気づき、続いてウルフの髭をつついて遊んでいたトコトと、畑の野菜を洗っていたディランが気づく。
腰を上げて玄関まで行くと、ガルフ達の姿を確認した。
「おー、来たか」
「ぴよー♪」
「こんにちはトコトちゃんかなこの子は?」
ひとまずいつもの挨拶を交わし、レイカがトコトを手に載せて優しく撫でていた。
そこでガルフから用件を言う。
「今日はヒューシの採集なんだけど、いいかい?」
「構わんよ。どうせ年寄りは暇をしておるからな。婆さんは中に……の前に、おーい、アッシュウルフよこっちへ来い」
「ん?」
ディランが手を叩いて呼ぶと、三頭のアッシュウルフがのそのそとやってきた。
「あら、アッシュウルフですか? どうしたんです?」
「おお、カッコいいな」
「ちょっとある出来事があってこの辺に住むことになったのじゃ。ほれ、この四人は襲ってはならんぞ?」
「「「わふ」」」
「魔物だから賢いわね! よろしくね! ……えっと、名前は?」
「ないぞ。では日向ぼっこに戻ってよいぞ」
「「「わふ」」」
ディランがそういうとアッシュウルフ達はまたのそのそと適当なところに移動して寝そべった。
「名前ないのは可哀想じゃないですかね……あと、森で会ったら間違えて倒してしまいそうだ」
「だよねー。あと、なんかちょっと汚い気がする」
ヒューシとユリが歩いていくアッシュウルフを見てそんな感想を口にした。
ディランは首を傾げながら玄関の扉を開けた。
「まあ、魔物だとあんなものじゃろ? 準備をするからひとまず上がってお茶でも飲んでくれ」
「ありがとうございます! トワイトさん、リヒト君、こんにちはー! ミルクのお土産を持ってきましたよー!」
レイカがカバンから瓶を取り出しながらリビングに入ると、ソファに座ってひよこと遊んでいた二人が笑顔を見せた。
「あらあら、レイカさんありがとうね」
「あー♪」
「やー♪」
リヒトが一行を目に入れると手を上げて喜ぶ。トワイトが瓶を受け取る代わりに、レイカはリヒトを抱っこさせてもらっていた。
「ちょっと出てくるぞい」
「ええ。お茶を入れましょうか」
「相変わらず仲がいいよなあ。あ、そうそう、あの狼たちに名前とかつけないのか?」
「私、キレイにしてあげたい! 町で犬を飼っている人が首輪をつけているけど、そういうのも必要じゃない? 他の冒険者に狩られるかも」
「こけー!?」
狩られると聞いてジェニファーがびっくりして大きな声を出した。そこで瓶をテーブルに置いていたトワイトが口を開く。
「そうねえ。折角お家の近くに住んでいるし、名前くらいはあってもいいかもしれないわね」
「名づけ、手伝うぜ!」
ガルフがそういうと、ヒューシが眉を顰めて口を開く。
「こら、今日は採集だ。あいつらはまた今度でいいだろ」
「ちぇ、カッコいいのにしたいんだけどな」
「早く帰ってからそうしようよ! 泊まってもいいですか? テントは持ってきているし」
だが、アッシュウルフに構いたいのかユリが泊ってでも洗いたいと言う。もちろんトワイトは笑顔で返す。
「ええ、いいわよ。みんなも喜ぶわ」
「ぴよー♪」
「だーう♪」
「こけー♪」
一晩中家族以外の人間が居ることは初めてなので、四人の周りをジェニファーとひよこ達が取り囲んで回る。
今日の予定は楽しくなりそうだ。食事のため狩りもするかと準備をしていたディランの耳にアッシュウルフの吠える声が聞こえて来た。
「うぉふ!」
「わん!」
「うお!? アッシュウルフ!? どうしてこんなところに!?」
「ん? 今の声は……」
ガルフはうんざりした顔で玄関を出る。
280
あなたにおすすめの小説
忘れるにも程がある
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたしが目覚めると何も覚えていなかった。
本格的な記憶喪失で、言葉が喋れる以外はすべてわからない。
ちょっとだけ菓子パンやスマホのことがよぎるくらい。
そんなわたしの以前の姿は、完璧な公爵令嬢で第二王子の婚約者だという。
えっ? 噓でしょ? とても信じられない……。
でもどうやら第二王子はとっても嫌なやつなのです。
小説家になろう様、カクヨム様にも重複投稿しています。
筆者は体調不良のため、返事をするのが難しくコメント欄などを閉じさせていただいております。
どうぞよろしくお願いいたします。
魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす
三谷朱花
恋愛
ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。
ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。
伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。
そして、告げられた両親の死の真相。
家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。
絶望しかなかった。
涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。
雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。
そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。
ルーナは死を待つしか他になかった。
途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。
そして、ルーナがその温もりを感じた日。
ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。
乙女ゲームのヒロインが純潔を重んじる聖女とか終わってません?
ララ
恋愛
私は侯爵令嬢のフレイヤ。
前世の記憶を持っている。
その記憶によるとどうやら私の生きるこの世界は乙女ゲームの世界らしい。
乙女ゲームのヒロインは聖女でさまざまな困難を乗り越えながら攻略対象と絆を深め愛し合っていくらしい。
最後には大勢から祝福を受けて結婚するハッピーエンドが待っている。
子宝にも恵まれて平民出身のヒロインが王子と身分差の恋に落ち、その恋がみのるシンデレラストーリーだ。
そして私はそんな2人を邪魔する悪役令嬢。
途中でヒロインに嫉妬に狂い危害を加えようとした罪により断罪される。
今日は断罪の日。
けれど私はヒロインに危害を加えようとしたことなんてない。
それなのに断罪は始まった。
まあそれは別にいいとして‥‥。
現実を見ましょう?
聖女たる資格は純潔無垢。
つまり恋愛はもちろん結婚なんてできないのよ?
むしろそんなことしたら資格は失われる。
ただの容姿のいい平民になるのよ?
誰も気づいていないみたいだけど‥‥。
うん、よく考えたらこの乙女ゲームの設定終わってません??
この度、青帝陛下の運命の番に選ばれまして
四馬㋟
恋愛
蓬莱国(ほうらいこく)を治める青帝(せいてい)は人ならざるもの、人の形をした神獣――青龍である。ゆえに不老不死で、お世継ぎを作る必要もない。それなのに私は青帝の妻にされ、后となった。望まれない后だった私は、民の反乱に乗して後宮から逃げ出そうとしたものの、夫に捕まり、殺されてしまう。と思ったら時が遡り、夫に出会う前の、四年前の自分に戻っていた。今度は間違えない、と決意した矢先、再び番(つがい)として宮城に連れ戻されてしまう。けれど状況は以前と変わっていて……。
【完結】婚約破棄され国外追放された姫は隣国で最強冒険者になる
まゆら
ファンタジー
完結しておりますが、時々閑話を更新しております!
続編も宜しくお願い致します!
聖女のアルバイトしながら花嫁修行しています!未来の夫は和菓子職人です!
婚約者である王太子から真実の愛で結ばれた女性がいるからと、いきなり婚約破棄されたミレディア。
王宮で毎日大変な王妃教育を受けている間に婚約者である王太子は魔法学園で出逢った伯爵令嬢マナが真実の愛のお相手だとか。
彼女と婚約する為に私に事実無根の罪を着せて婚約破棄し、ついでに目障りだから国外追放にすると言い渡してきた。
有り難うございます!
前からチャラチャラしていけすかない男だと思ってたからちょうど良かった!
お父様と神王から頼まれて仕方無く婚約者になっていたのに‥
ふざけてますか?
私と婚約破棄したら貴方は王太子じゃなくなりますけどね?
いいんですね?
勿論、ざまぁさせてもらいますから!
ご機嫌よう!
◇◇◇◇◇
転生もふもふのヒロインの両親の出逢いは実は‥
国外追放ざまぁから始まっていた!
アーライ神国の現アーライ神が神王になるきっかけを作ったのは‥
実は、女神ミレディアだったというお話です。
ミレディアが家出して冒険者となり、隣国ジュビアで転生者である和菓子職人デイブと出逢い、恋に落ち‥
結婚するまでの道程はどんな道程だったのか?
今語られるミレディアの可愛らしい?
侯爵令嬢時代は、女神ミレディアファン必読の価値有り?
◈◈この作品に出てくるラハルト王子は後のアーライ神になります!
追放された聖女は隣国で…にも登場しておりますのでそちらも合わせてどうぞ!
新しいミディの使い魔は白もふフェンリル様!
転生もふもふとようやくリンクしてきました!
番外編には、ミレディアのいとこであるミルティーヌがメインで登場。
家出してきたミルティーヌの真意は?
デイブとミレディアの新婚生活は?
出戻り娘と乗っ取り娘
瑞多美音
恋愛
望まれて嫁いだはずが……
「お前は誰だっ!とっとと出て行け!」
追い返され、家にUターンすると見知らぬ娘が自分になっていました。どうやら、魔法か何かを使いわたくしはすべてを乗っ取られたようです。
【完結】名無しの物語
ジュレヌク
恋愛
『やはり、こちらを貰おう』
父が借金の方に娘を売る。
地味で無表情な姉は、21歳
美人で華やかな異母妹は、16歳。
45歳の男は、姉ではなく妹を選んだ。
侯爵家令嬢として生まれた姉は、家族を捨てる計画を立てていた。
甘い汁を吸い付くし、次の宿主を求め、異母妹と義母は、姉の婚約者を奪った。
男は、すべてを知った上で、妹を選んだ。
登場人物に、名前はない。
それでも、彼らは、物語を奏でる。
試験の多い魔導王国王家
章槻雅希
ファンタジー
法律の多いことで有名なカヌーン魔導王国。
だが、実は王族に対しての試験が多いことは知られていない。
カヌーン王家に属する者は王も王妃も側室も王子も王女も定期的に試験を受けるのである。試練ではない。試験だ。ペーパーテストだ。
そして、その結果によっては追試や廃嫡、毒杯を賜ることもある。
そんな苛酷な結果を伴う試験を続けた結果、カヌーン王家は優秀で有能で一定以上の人格を保持した国王と王妃によって統治されているのである。
ネタは熱いうちに打てとばかりに勢いで書いたため、文章拙く、色々可笑しいところがあるかもしれません。そのうち書き直す可能性も大(そのまま放置する可能性はもっと大きい)。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿、自サイトにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる