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第144話 竜、何もしていないのに恐れられる
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「ふむ、これはまた派手にやられたもんじゃ」
「そうなのです。竜神様のご友人様。あまり乱獲はしませんが、我々にとっても必要な木でして」
「ああ、わしのことはロクローでいいぞ。そしてネクターリンの実は栄養が豊富じゃからのう」
ネクターリンの群生地へやってくると早速ロクローが眉を顰めていた。エメリ達ウィズエルフは彼に状況を話していた。
「ワシもディランでええぞ」
「いえ、竜神様は竜神様で」
「あーい♪」
「うー♪」
「リヒト君が喜んでいるからそれでいいのかも? というかエメリさん撫ですぎ」
「え?」
「うぉふ」
「だって可愛いし……」
「それは分かるわ」
ディランは竜神様ということで定着してしまった。
ユリに抱っこしているリヒトが喜んでいるからいいのではと言われ、渋々引き下がった。
それはそれとしてエメリはブラッシングが完璧なヤクトを撫でまわしていた。
「それでロクローさん。土壌をなんとかできるものなんですか?」
「そうじゃな。アースドラゴンとしてはなんとかしたい。が、まずは元凶を断たねば意味がない」
「ま、やっぱりそうじゃよな。辿れるか?」
「やってみよう」
「お……!?」
ディランが尋ねるとロクローは小さく頷き目を閉じる。するとその場で身体が大きくなっていき、ディランに勝るとも劣らないアースドラゴンへ変化した。
「ドラゴンだ……!!」
「あーい♪」
「黄土色なんですね」
「ヒューシよ、地味な色じゃがこやつの鱗はとても強固じゃ。特に突き刺す系の攻撃に強い」
「へえ、特性が色々あるんだな」
『かっこいいねー』
ヒューシやディラン、ガルフ達がそんな話をしている中でロクローは不意に地面へ腕を突き刺す。
「あっさり地面を突き破った……!?」
「土を変化させたんじゃよ。地面に潜る時に使う能力でな。普通に潜ると中が空洞になったりスカスカになるじゃろ? それを防ぐため部分的に変化するということじゃ」
「相変わらず小技が上手いのう」
「ふふん、わしらジジイは臨機応変に対応できるからの。……よし、捉えた」
「え? もう?」
ディランとはまた違った技を見せるロクローにその場に居た者が感心する。
そして発生原因を捉えたと不敵に笑う。
「うむ。ここだけではなく山全体の栄養……魔力を吸っているのが仇になったのう。見つけるのは容易じゃったわ。では行こうかの」
「そうじゃな」
「すげえなドラゴン……」
ロクローはまた人化してすたすたと軽い足取りで歩いていく。それをディラン達とウィズエルフがついていく。
「キマイラか。戦闘になったら君たちやウィズエルフ達は下がった方がいいだろうな」
「そうですか? ドラゴンが三人いたら余裕なのでは?」
「なんだかキマイラも違う感じみたいだし慎重にいくべきだろう」
「うーい?」
ハバラがキマイラが出た際にはガルフ達は下がる方がいいと言う。だが、ガルフはドラゴンが三人居れば余裕ではと口にする。
ちょっと違う個体かもしれないとディランが言っていたことを受け、完全に守り切れるかは分からないからだとハバラは返す。
「険しくなってきたわね」
「わん」
「我々ウィズエルフも近づかない場所ですな……」
「だからこそ潜伏しているのじゃろう」
「リヒトは肩車するか」
「あーい♪」
「お、リコットもそうしよう」
「きゃー♪」
だんだんと足場が悪くなってきてレイカが口を尖らせていた。ごつごつとした岩肌に囲まれたような場所で草木もまばらだった。
両手を使えるようにとリヒトとリコットは肩車され、お互いの目線が高くなり赤ちゃん同士は大喜びだった。
「この辺りには来ないんだな」
「見ての通り、わざわざ来るほどなにかあるわけでもないからな」
「確かに、鉱石でもあれば……お、広いところに出たな」
ウィズエルフとガルフが話している中、ヒューシ山の中でも砂利が多く採掘場のような場所へと出た。
そこには大きな空洞がぽっかりと空いており、一目で『なにかが居る』というのが分かる状況だった。
「魔力が漏れてない……?」
「間違いなくあそこじゃな。さて、中へ入るか」
「ワシとロクローだけでええじゃろ。レイカ、リヒトを頼めるか?」
「あ、もちろんです」
「うー!」
「これ、危ないからレイカに抱っこしてもらうのじゃ」
リヒトはディランと離れたくないようで、抱えてレイカに渡そうとしたらしっかりと服を掴んで動かない。
ハバラは『リコットは他の人だと泣くから』といってそのまま肩車をすることにしていた。
「いや、その必要はなさそうだぜ」
「む? ……なるほど」
【グルルル……】
ディランがレイカにリヒトを渡そうとしているところで、洞窟から獅子の顔をした魔物が翼をはためかせ、穴からぬっと出て来たのだ。
「あれがキマイラ……! 竜神様、我々も戦います!」
「まあ焦るな。そんじゃわしも戦闘態勢に入るか。ここなら大きくなっても問題あるまい」
「ならワシも変身しておくか。だからリヒトはレイカに任せるのじゃ」
「あい!」
「きゃーい」
「え? 俺も変身しろって? うーん、父さんとロクローさんが居ればいいと思うぞ」
「うー」
ウィズエルフ達はやる気だが、出て来たキマイラ相手は自分がやるとロクローは肩を回しながら言う。
ディランも変身すると言うと、リヒトは大人しくレイカに抱っこされていた。ドラゴン姿は見たいらしい。
するとリコットも父に変身するような感じで唸っていた。
「お前は他の人間に抱っこされたくないだろ?」
「きゃーう!」
「え? 私?」
「ええー……? じゃあユリさん、リコットをお願いしたい」
リコットがユリに手を振って声を上げた。ユリに抱っこしてもらいたいようだ。
恐る恐る渡すと、リコットはしっかりユリに抱き着いていた。
「ありゃ、泣かないわね。偉い偉い♪」
「うい!」
「リヒト君は好きだけど、対抗意識もあるのかしら……?」
「あーう?」
リヒトは基本的に顔見知りならまったく泣かないので、リコットはそれに対抗しているようだろレイカは言う。
ユリはそこまで考えていないでしょと笑い、リヒトは首を傾げていた。
「では俺も……」
そこでハバラもドラゴンへと変身した。見ていたガルフが目を輝かせて口を開く。
「お、青いドラゴンだ! かっこいいな!」
「そ、そうか? 普通は怖がるものだが……」
「おいガルフそんなことを言っている場合か!」
『キマイラが出て来たよ!』
ガルフとハバラがやり取りをしているとヒューシとリーナが叫ぶ。
広場を見るとキマイラが地上へ降り立ったところだった。
「でかい……!?」
「あれがご先祖様で倒せない理由か……」
「いや、当時より大きくなっているわい」
ウィズエルフ達がキマイラを見て驚愕の声を上げていた。
そしてディランが思い出したようで、当時より体はデカくなっているという。
「確かにでかい……でかいけど……」
「気づいたかガルフ」
「ああ」
「なによ?」
「いや、でかいのはでかいんだけどよ。ディランのおっちゃんとロクローさん、ハバラさんの方がどう考えてもでかいよな……って」
「だよな」
「あーう♪」
見慣れてしまったせいか、キマイラは確かに大きいがドラゴン・ディランより全然小さいとガルフとヒューシは呆れていた。
【グォァァァ……!! ドラゴンか、あの時ノ借りをカエス日がキタ……イヤ、オオイナ!?】
「そうなのです。竜神様のご友人様。あまり乱獲はしませんが、我々にとっても必要な木でして」
「ああ、わしのことはロクローでいいぞ。そしてネクターリンの実は栄養が豊富じゃからのう」
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「ワシもディランでええぞ」
「いえ、竜神様は竜神様で」
「あーい♪」
「うー♪」
「リヒト君が喜んでいるからそれでいいのかも? というかエメリさん撫ですぎ」
「え?」
「うぉふ」
「だって可愛いし……」
「それは分かるわ」
ディランは竜神様ということで定着してしまった。
ユリに抱っこしているリヒトが喜んでいるからいいのではと言われ、渋々引き下がった。
それはそれとしてエメリはブラッシングが完璧なヤクトを撫でまわしていた。
「それでロクローさん。土壌をなんとかできるものなんですか?」
「そうじゃな。アースドラゴンとしてはなんとかしたい。が、まずは元凶を断たねば意味がない」
「ま、やっぱりそうじゃよな。辿れるか?」
「やってみよう」
「お……!?」
ディランが尋ねるとロクローは小さく頷き目を閉じる。するとその場で身体が大きくなっていき、ディランに勝るとも劣らないアースドラゴンへ変化した。
「ドラゴンだ……!!」
「あーい♪」
「黄土色なんですね」
「ヒューシよ、地味な色じゃがこやつの鱗はとても強固じゃ。特に突き刺す系の攻撃に強い」
「へえ、特性が色々あるんだな」
『かっこいいねー』
ヒューシやディラン、ガルフ達がそんな話をしている中でロクローは不意に地面へ腕を突き刺す。
「あっさり地面を突き破った……!?」
「土を変化させたんじゃよ。地面に潜る時に使う能力でな。普通に潜ると中が空洞になったりスカスカになるじゃろ? それを防ぐため部分的に変化するということじゃ」
「相変わらず小技が上手いのう」
「ふふん、わしらジジイは臨機応変に対応できるからの。……よし、捉えた」
「え? もう?」
ディランとはまた違った技を見せるロクローにその場に居た者が感心する。
そして発生原因を捉えたと不敵に笑う。
「うむ。ここだけではなく山全体の栄養……魔力を吸っているのが仇になったのう。見つけるのは容易じゃったわ。では行こうかの」
「そうじゃな」
「すげえなドラゴン……」
ロクローはまた人化してすたすたと軽い足取りで歩いていく。それをディラン達とウィズエルフがついていく。
「キマイラか。戦闘になったら君たちやウィズエルフ達は下がった方がいいだろうな」
「そうですか? ドラゴンが三人いたら余裕なのでは?」
「なんだかキマイラも違う感じみたいだし慎重にいくべきだろう」
「うーい?」
ハバラがキマイラが出た際にはガルフ達は下がる方がいいと言う。だが、ガルフはドラゴンが三人居れば余裕ではと口にする。
ちょっと違う個体かもしれないとディランが言っていたことを受け、完全に守り切れるかは分からないからだとハバラは返す。
「険しくなってきたわね」
「わん」
「我々ウィズエルフも近づかない場所ですな……」
「だからこそ潜伏しているのじゃろう」
「リヒトは肩車するか」
「あーい♪」
「お、リコットもそうしよう」
「きゃー♪」
だんだんと足場が悪くなってきてレイカが口を尖らせていた。ごつごつとした岩肌に囲まれたような場所で草木もまばらだった。
両手を使えるようにとリヒトとリコットは肩車され、お互いの目線が高くなり赤ちゃん同士は大喜びだった。
「この辺りには来ないんだな」
「見ての通り、わざわざ来るほどなにかあるわけでもないからな」
「確かに、鉱石でもあれば……お、広いところに出たな」
ウィズエルフとガルフが話している中、ヒューシ山の中でも砂利が多く採掘場のような場所へと出た。
そこには大きな空洞がぽっかりと空いており、一目で『なにかが居る』というのが分かる状況だった。
「魔力が漏れてない……?」
「間違いなくあそこじゃな。さて、中へ入るか」
「ワシとロクローだけでええじゃろ。レイカ、リヒトを頼めるか?」
「あ、もちろんです」
「うー!」
「これ、危ないからレイカに抱っこしてもらうのじゃ」
リヒトはディランと離れたくないようで、抱えてレイカに渡そうとしたらしっかりと服を掴んで動かない。
ハバラは『リコットは他の人だと泣くから』といってそのまま肩車をすることにしていた。
「いや、その必要はなさそうだぜ」
「む? ……なるほど」
【グルルル……】
ディランがレイカにリヒトを渡そうとしているところで、洞窟から獅子の顔をした魔物が翼をはためかせ、穴からぬっと出て来たのだ。
「あれがキマイラ……! 竜神様、我々も戦います!」
「まあ焦るな。そんじゃわしも戦闘態勢に入るか。ここなら大きくなっても問題あるまい」
「ならワシも変身しておくか。だからリヒトはレイカに任せるのじゃ」
「あい!」
「きゃーい」
「え? 俺も変身しろって? うーん、父さんとロクローさんが居ればいいと思うぞ」
「うー」
ウィズエルフ達はやる気だが、出て来たキマイラ相手は自分がやるとロクローは肩を回しながら言う。
ディランも変身すると言うと、リヒトは大人しくレイカに抱っこされていた。ドラゴン姿は見たいらしい。
するとリコットも父に変身するような感じで唸っていた。
「お前は他の人間に抱っこされたくないだろ?」
「きゃーう!」
「え? 私?」
「ええー……? じゃあユリさん、リコットをお願いしたい」
リコットがユリに手を振って声を上げた。ユリに抱っこしてもらいたいようだ。
恐る恐る渡すと、リコットはしっかりユリに抱き着いていた。
「ありゃ、泣かないわね。偉い偉い♪」
「うい!」
「リヒト君は好きだけど、対抗意識もあるのかしら……?」
「あーう?」
リヒトは基本的に顔見知りならまったく泣かないので、リコットはそれに対抗しているようだろレイカは言う。
ユリはそこまで考えていないでしょと笑い、リヒトは首を傾げていた。
「では俺も……」
そこでハバラもドラゴンへと変身した。見ていたガルフが目を輝かせて口を開く。
「お、青いドラゴンだ! かっこいいな!」
「そ、そうか? 普通は怖がるものだが……」
「おいガルフそんなことを言っている場合か!」
『キマイラが出て来たよ!』
ガルフとハバラがやり取りをしているとヒューシとリーナが叫ぶ。
広場を見るとキマイラが地上へ降り立ったところだった。
「でかい……!?」
「あれがご先祖様で倒せない理由か……」
「いや、当時より大きくなっているわい」
ウィズエルフ達がキマイラを見て驚愕の声を上げていた。
そしてディランが思い出したようで、当時より体はデカくなっているという。
「確かにでかい……でかいけど……」
「気づいたかガルフ」
「ああ」
「なによ?」
「いや、でかいのはでかいんだけどよ。ディランのおっちゃんとロクローさん、ハバラさんの方がどう考えてもでかいよな……って」
「だよな」
「あーう♪」
見慣れてしまったせいか、キマイラは確かに大きいがドラゴン・ディランより全然小さいとガルフとヒューシは呆れていた。
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