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第164話 竜、ウィズエルフのところへ
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「それにしても女の子で騎士さんは勇敢ですね」
「最近は少しずつ増えていますよ! もし辞めてしまっても剣の腕は残りますし、冒険者でもいけるんですよね」
「考えておるのう」
「ふふ……結婚できるか危うい人はそういう感じになるのです……」
急ぐ旅でもないので高速移動を使わず、ゆっくり飛ぶディランの背中で初めて顔を合わせるフレイヤと話をしていた。
トワイトは女性騎士が勇敢だと微笑み、フレイヤは照れながら自分の他にもそういう人間が居ると語る。
モテない者がなるのだとも遠い目をして言う。
「あーう」
「ああ、噂のリヒト君! 慰めてくれるんですか」
「わん」
「わほぉん」
「うぉふ」
「「「ぴよ」」」
「こけー」
「あ、ちょ、それは過剰戦力!? ……もふもふしてますねえ」
リヒトがトワイトの膝の上から、隣にいるフレイヤの肩へポンと手を置くと、ペット達が一斉にフレイヤにのしかかったり背中にくっついたりする。
フレイヤはペット達を抱きしめてほんわかした顔になっていた。
「とはいえキマイラが居るというところへ行こうと思ったのは凄いよ。私も躊躇したのに」
「そうですか? ドラゴンさん達が居れば平気かなって思いましたよ? ねー♪」
「あーい♪ あいあい♪」
「うふふ、ユリちゃん達と仲良くなれそうねえ」
「あ、冒険者の子ですか?」
リヒトのでんでん太鼓に合わせて手を叩くフレイヤに、トワイトはガルフ達冒険者と友人になれそうだと口にする。
フレイヤも度々やってくる冒険者であろうとピンと来ていた。
「私とも顔見知りだからオフの日に店へ来てくれれば紹介するよ?」
「あの……あんまり店に居ないからってバーリオ様が困ってましたけど……」
「あ、あはは……」
「お屋敷に行ってみたらいいかもしれないわね。リーナちゃんは嬉しいかもしれないわ」
「楽しみですねー!」
「あーい」
「わん!」
「ついたぞい」
そんな話をしているとディランが降下しだした。集落が見えてくると、ディランが降りられるような広場が設けられているのを確認する。
「ロイヤード国もそうでしたけど、対応が早いわねあなた」
「うむ。助かるわい」
「竜神様ぁぁぁぁ! こちらでーす!」
ディランが降りて行くと、ウィズエルフのエメリが両手を振りながら大声を上げていた。
「竜神様、お待ちしておりました!」
「少し遅くなったわい、すまんのう」
「いえ、こちらはいつでも良かったので。お越しいただきありがとうございます。おや、先日とはまた違う人間ですな?」
エメリがディランとトワイトへ握手を求め、ウィズエルフ集落の一人がお辞儀をしながら言う。
「初めまして、ザミールと申します。今回はネクターリンの木を売買するため派遣されて来た者です」
「おお、これはご丁寧に。そしてそちらのお嬢さんは護衛ですか」
「いえ、興味本位で来ました!」
「な、なにぃ……!?」
「なんて正直な……」
フレイヤはなにも気にせず、ドヤ顔で本音を口にした。ウィズエルフ達はその堂々とした姿に戦慄し、どよめきが起こっていた。
「まったく、流石は人間だな。我々は見世物ではないのだぞ」
そこで人間を好まないエメリが突っかかっていく。鋭い目を向けてフレイヤに告げると、エメリを見た彼女はきょとんとした顔になっていた。
そして――
「おおおお! 褐色肌のエルフっ! すごい! 初めて見ました! え、ちょっと可愛いじゃないですか!」
「うをををを!? な、なんだ人間!?」
「あ、まだ名乗っていませんでしたね! 私、フレイヤと言います! キマイラさんも楽しみでしたけど、ウィズエルフさん達と会うのも楽しみだったんです! しかも同じ女の子!」
「わ、よせ!? 抱き着くな!? あああああ!?」
「これ、困っておるじゃろう」
フレイヤが大喜びでエメリに抱き着いたが当のエメリは困惑するばかりだ。見かねたディランがフレイヤの首根っこの鎧を掴んで引きはがした。
「いやあ、ごめんなさい……つい興奮して」
「つい……で、鎧を着たまま抱きしめるやつがあるか!? 骨が軋んでたろう!」
「ごめんなさい! 王都へ来た時にスイーツを奢ってあげるから許してー!」
「すいーつ? それは一体……?」
「あのねー」
「話をしたいのは山々じゃが、今日のところはザミールの選定が先じゃ」
「あ、はい! 竜神様、行きましょう!」
警戒をしながらもフレイヤの言葉に耳を傾けようとするエメリだったが、ディランが呆れ笑いをしながら二人の頭に手を置いて仕事を先にしようと促した。
エメリは憧れの竜神に頭を乗せてもらい、テンションが上がっていた。
「ウィズエルフとは初めて会いましたけど、褐色肌なんですね」
「外のエルフは肌が白いらしいですな。そうそう、竜神様の息子さんの奥さんがエルフだとか」
「え、なんですその話? ディランさん?」
「ああ、そうか。話しておらんかったのう。また後で話すわい」
「物凄く気になる……」
「あーい♪」
「あはは、リヒト君ありがとう」
ザミールは戻って来たばかりでかいつまんでしか聞いていないので新しい話に興味を持っていた。
リヒトが笛を吹いてザミールを鼓舞していた。
「あれ? そういえばキマイラさんが居ませんね」
「ああ、あいつはネクターリンの木のところに居たり、集落に居たりと落ち着かないんだ」
歩き出そうとしたところでフレイヤが周囲を見てデランザを探すも、ウィズエルフの一人が呆れながら多分ネクターリンの木跡地に居るだろうとのこと。
そのままエメリを先頭にしてその場所まで行くと――
【ぐガー】
「おお、おったぞ」
「相変わらず大きいわねリヒト」
「あー♪」
そこにはネクターリンの木を踏まないように寝そべって大いびきをかいているキマイラのデランザが居た。
トワイトがリヒトにそう言うと、ポコポコと太鼓を鳴らしながら両手を上げていた。
「わほぉん」
「わんわん」
「うぉふ」
「おや、狼ちゃん達どうしたんですか?」
そこへダル達がてくてくとデランザの下へ歩いていく。フレイヤが首を傾げていると、ダル達は前足をデランザの顔に押し付けていた。
【ふガ……!? な、ナんダ!?】
「わほぉん」
【おウ!? ウルフ……! ハッ!?】
慌てて起きたデランザがダルを見て目を見開く。彼が居るということはディランが居るということになる。
【おオ! ドラゴンどノ、失礼シた。ネクターリンの木はマモっていル】
「うむ。集落にも居るようじゃな。とりあえず先に木材を見てくれ」
「あれですね。……失礼します」
「おおお……キマイラ、さ、触りたい……」
「行きましょうか♪」
【ン? なんダ?】
デランザの近くに布がかかった木材があるのでディランと一緒にそこまで行く。
トワイトとリヒトはその場で待っていたフレイヤと一緒にデランザのところへ行くことになった。
「これがネクターリンの木……材木としては……」
「どうかのう。無駄に捨てるのも勿体ないし、お金になればウィズエルフ達もなにか便利になるかもしれん」
「なるほど……これは……!」
虫眼鏡を取り出して調査をしていたザミールが出した結論とは――
「最近は少しずつ増えていますよ! もし辞めてしまっても剣の腕は残りますし、冒険者でもいけるんですよね」
「考えておるのう」
「ふふ……結婚できるか危うい人はそういう感じになるのです……」
急ぐ旅でもないので高速移動を使わず、ゆっくり飛ぶディランの背中で初めて顔を合わせるフレイヤと話をしていた。
トワイトは女性騎士が勇敢だと微笑み、フレイヤは照れながら自分の他にもそういう人間が居ると語る。
モテない者がなるのだとも遠い目をして言う。
「あーう」
「ああ、噂のリヒト君! 慰めてくれるんですか」
「わん」
「わほぉん」
「うぉふ」
「「「ぴよ」」」
「こけー」
「あ、ちょ、それは過剰戦力!? ……もふもふしてますねえ」
リヒトがトワイトの膝の上から、隣にいるフレイヤの肩へポンと手を置くと、ペット達が一斉にフレイヤにのしかかったり背中にくっついたりする。
フレイヤはペット達を抱きしめてほんわかした顔になっていた。
「とはいえキマイラが居るというところへ行こうと思ったのは凄いよ。私も躊躇したのに」
「そうですか? ドラゴンさん達が居れば平気かなって思いましたよ? ねー♪」
「あーい♪ あいあい♪」
「うふふ、ユリちゃん達と仲良くなれそうねえ」
「あ、冒険者の子ですか?」
リヒトのでんでん太鼓に合わせて手を叩くフレイヤに、トワイトはガルフ達冒険者と友人になれそうだと口にする。
フレイヤも度々やってくる冒険者であろうとピンと来ていた。
「私とも顔見知りだからオフの日に店へ来てくれれば紹介するよ?」
「あの……あんまり店に居ないからってバーリオ様が困ってましたけど……」
「あ、あはは……」
「お屋敷に行ってみたらいいかもしれないわね。リーナちゃんは嬉しいかもしれないわ」
「楽しみですねー!」
「あーい」
「わん!」
「ついたぞい」
そんな話をしているとディランが降下しだした。集落が見えてくると、ディランが降りられるような広場が設けられているのを確認する。
「ロイヤード国もそうでしたけど、対応が早いわねあなた」
「うむ。助かるわい」
「竜神様ぁぁぁぁ! こちらでーす!」
ディランが降りて行くと、ウィズエルフのエメリが両手を振りながら大声を上げていた。
「竜神様、お待ちしておりました!」
「少し遅くなったわい、すまんのう」
「いえ、こちらはいつでも良かったので。お越しいただきありがとうございます。おや、先日とはまた違う人間ですな?」
エメリがディランとトワイトへ握手を求め、ウィズエルフ集落の一人がお辞儀をしながら言う。
「初めまして、ザミールと申します。今回はネクターリンの木を売買するため派遣されて来た者です」
「おお、これはご丁寧に。そしてそちらのお嬢さんは護衛ですか」
「いえ、興味本位で来ました!」
「な、なにぃ……!?」
「なんて正直な……」
フレイヤはなにも気にせず、ドヤ顔で本音を口にした。ウィズエルフ達はその堂々とした姿に戦慄し、どよめきが起こっていた。
「まったく、流石は人間だな。我々は見世物ではないのだぞ」
そこで人間を好まないエメリが突っかかっていく。鋭い目を向けてフレイヤに告げると、エメリを見た彼女はきょとんとした顔になっていた。
そして――
「おおおお! 褐色肌のエルフっ! すごい! 初めて見ました! え、ちょっと可愛いじゃないですか!」
「うをををを!? な、なんだ人間!?」
「あ、まだ名乗っていませんでしたね! 私、フレイヤと言います! キマイラさんも楽しみでしたけど、ウィズエルフさん達と会うのも楽しみだったんです! しかも同じ女の子!」
「わ、よせ!? 抱き着くな!? あああああ!?」
「これ、困っておるじゃろう」
フレイヤが大喜びでエメリに抱き着いたが当のエメリは困惑するばかりだ。見かねたディランがフレイヤの首根っこの鎧を掴んで引きはがした。
「いやあ、ごめんなさい……つい興奮して」
「つい……で、鎧を着たまま抱きしめるやつがあるか!? 骨が軋んでたろう!」
「ごめんなさい! 王都へ来た時にスイーツを奢ってあげるから許してー!」
「すいーつ? それは一体……?」
「あのねー」
「話をしたいのは山々じゃが、今日のところはザミールの選定が先じゃ」
「あ、はい! 竜神様、行きましょう!」
警戒をしながらもフレイヤの言葉に耳を傾けようとするエメリだったが、ディランが呆れ笑いをしながら二人の頭に手を置いて仕事を先にしようと促した。
エメリは憧れの竜神に頭を乗せてもらい、テンションが上がっていた。
「ウィズエルフとは初めて会いましたけど、褐色肌なんですね」
「外のエルフは肌が白いらしいですな。そうそう、竜神様の息子さんの奥さんがエルフだとか」
「え、なんですその話? ディランさん?」
「ああ、そうか。話しておらんかったのう。また後で話すわい」
「物凄く気になる……」
「あーい♪」
「あはは、リヒト君ありがとう」
ザミールは戻って来たばかりでかいつまんでしか聞いていないので新しい話に興味を持っていた。
リヒトが笛を吹いてザミールを鼓舞していた。
「あれ? そういえばキマイラさんが居ませんね」
「ああ、あいつはネクターリンの木のところに居たり、集落に居たりと落ち着かないんだ」
歩き出そうとしたところでフレイヤが周囲を見てデランザを探すも、ウィズエルフの一人が呆れながら多分ネクターリンの木跡地に居るだろうとのこと。
そのままエメリを先頭にしてその場所まで行くと――
【ぐガー】
「おお、おったぞ」
「相変わらず大きいわねリヒト」
「あー♪」
そこにはネクターリンの木を踏まないように寝そべって大いびきをかいているキマイラのデランザが居た。
トワイトがリヒトにそう言うと、ポコポコと太鼓を鳴らしながら両手を上げていた。
「わほぉん」
「わんわん」
「うぉふ」
「おや、狼ちゃん達どうしたんですか?」
そこへダル達がてくてくとデランザの下へ歩いていく。フレイヤが首を傾げていると、ダル達は前足をデランザの顔に押し付けていた。
【ふガ……!? な、ナんダ!?】
「わほぉん」
【おウ!? ウルフ……! ハッ!?】
慌てて起きたデランザがダルを見て目を見開く。彼が居るということはディランが居るということになる。
【おオ! ドラゴンどノ、失礼シた。ネクターリンの木はマモっていル】
「うむ。集落にも居るようじゃな。とりあえず先に木材を見てくれ」
「あれですね。……失礼します」
「おおお……キマイラ、さ、触りたい……」
「行きましょうか♪」
【ン? なんダ?】
デランザの近くに布がかかった木材があるのでディランと一緒にそこまで行く。
トワイトとリヒトはその場で待っていたフレイヤと一緒にデランザのところへ行くことになった。
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