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第226話 竜、全員を送り届ける
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「あ、クリニヒトのお城が見えたわね」
「あーい!」
「おお、キマイラだな」
ガリア国を出てから数分ほどでクリニヒト上空を通過した。雲の下を飛んでいるため下の様子を眺めているので覗き込んでいた。
クリニヒトへ差し掛かった時、トワイトが城を指さす。リヒトはちょうど飛び立ったデランザを見て手を振っていた。
デランザは一瞬、こちらを振り向いてぎょっとするがそのまま飛び去って行く。
「木材はもう無いと思うがなにを運んでおるのじゃ?」
「ウィズエルフ達の民芸品や薬草、木の実といったものだ。意外とエメリさんとフレイヤが上手くやれている」
「フレイヤちゃんがいい子だからウィズエルフ達も信用しているのでしょうね」
「確かにいい組み合わせだった」
今度、食事にでも誘うかとトワイトが笑っていた。
そのままディランはクリニヒト王国を通り過ぎてさらに西へと向かう。
程なくして国境を越え、視界が草原へと切り替わる。
「こっちは山が少ないようじゃな」
「ええ。草原と丘が多く、森はそれなりと言った感じですな。さらに西へ行くと海へ辿り着くので、海魚などが運搬されてきます」
「ほう」
「コウ殿、なにか?」
「いや、到着してから話をすることができたぞい」
「?」
「わほぉん?」
コウがニヤリと笑い、リヒトとダルが顔を見合わせていた。ボルカノと一緒で何かを考え付いた様子だ。
そうこうしている内にガリア国よりも大きな城が見えて来た。町も規模が大きい。
「平野が続くから町は大きくできるのじゃな。広いからどこでも良さそうじゃ」
「頼む」
ディランは草の無い土地へと降りていく。
この国もやはり空の状況を確認してか、ぞろぞろと馬車が集まって来た。
最後の説明かと揃うのを待っていると、一台の馬車から顔を出して手を振る者が居た。
「モルゲンロート!」
「お!? サロスか!」
その髭の男はモルゲンロートを呼び捨てにし、彼も相手の名前を口にした。
「もしかしてあの方は?」
「そうです。エンシュアルドの王、サロスです」
モルゲンロートが苦笑しながらトワイトへ返す。その馬車がディラン達の前へ泊るとサロスと呼ばれた男が降りてきた。
「来てくれたか! いやあ、ドラゴンはでかいな!」
「お前は相変わらず声がでかいな。紹介しよう、この一家がクリニヒト王国に住んでいるディラン一家だ」
「初めまして、ディランじゃ」
「トワイトです!」
「あーい!」
「ぴよー!」
「おお、元気なお子さんですな」
サロスはディランとトワイトと握手をし、リヒトとひよこを見て目を細めて笑う。
そこへモルゲンロートがコウを紹介する。
「それでこちらがフロストドラゴンのコウ殿だ。他のドラゴン達はもう決まってしまってな、彼だけだ」
「すまんのう。コウという。よろしく頼むわい」
「国王のサロスだ。こちらこそよろしく頼む。しかしあっさり決まったのだな? それぞれの国へ顔見世をして選ぶと思っていたのだが」
「事情があってな。ドルコントとガリアで役に立てると即残ったのだ」
「なるほど。まあ、誰が来てもウチはいいけどな? 立ち話もなんだ、乗ってくれ!」
サロスは馬車に乗り込んでくれと口にし、ディラン達が乗り込むと出発する。
少々狭いのでダル達はディランやトワイトの膝の上に乗っていた。
「あーい♪」
「うぉふ♪」
リヒトは近くになったヤクト達を撫でて遊んでいた。やがてお城へ到着すると、応接間へと案内される。
国王のサロスを対面にし、モルゲンロートとここで暮らすコウがソファに座り、ディラン達はその後ろに立っていた。
サロスは頷くと人差し指を立ててから早速と話し出す。
「移住に関してこちらからお願いすることは一つだ。暴れないことと、人に迷惑をかけないこと。まあ常識な話だと思うがな」
「じゃな。もちろん問題ない」
「なら、この移住する書に目を通してサインを頼む。なに、変な規約とかはないけどよく読んでおいてくれ」
「わかったわい」
「しっかりしているな」
「ああ。こういうのは受け入れる側が色々考えなきゃならんだろ? しかも相手はドラゴンだ。人間の常識を覆してくる可能性がある」
サロスは当然だという顔でモルゲンロートへ言う。確かに、話のすり合わせは必要だと頷いていた。
「問題ないかのう。山が無いからどこか草原に家を建てるか、海沿いでもいいな」
「ありがとう。海沿いか、なにかあるのですかな?」
「わしはフロストドラゴン。氷雪を司るのじゃ」
「ええ。その姿は見たいところですな」
「海から魚を獲って流通させておるのじゃろう? 移送の際はどうしておる?」
「え? ああ、魔法や氷で冷やしているが……」
コウの質問の意図が分からず困惑しているサロス。そこでコウは手に氷でドラゴンの彫刻を生み出しながら言う。
「わしの氷は解けにくい。これを使えば魚の鮮度を落とさずに運ぶことができるぞ」
「……!」
「なるほど、ここでも自身の能力を使えることを見つけたのか」
「うむ。凍らせると腐敗が進みにくくなる。それはもちろん知っておるじゃろうが、わしのはさらに冷えるし、もつ。氷を使えるものは多いが、わしは特段強い力を持つぞ」
「それはいいな。やはり氷はすぐに作れないし、溶けにくいとなれば販路の拡大ができる。ならば海沿いのどこかに住むということでいいか」
「ああ。どうせやることもないしのう。自分でも魚を獲って暮らすわい」
サロスとコウは話をすると、笑いながらもう一度握手をして決まる。特に問題なく全員が国に住むことができて良かったとディランは頷くのだった。
「海の町へも行ってみるか」
「そうね! リヒトも海は見たことがないしいいかもしれないわ」
「あー?」
「わん?」
そうして次は海へ行くことが決まった。
「あーい!」
「おお、キマイラだな」
ガリア国を出てから数分ほどでクリニヒト上空を通過した。雲の下を飛んでいるため下の様子を眺めているので覗き込んでいた。
クリニヒトへ差し掛かった時、トワイトが城を指さす。リヒトはちょうど飛び立ったデランザを見て手を振っていた。
デランザは一瞬、こちらを振り向いてぎょっとするがそのまま飛び去って行く。
「木材はもう無いと思うがなにを運んでおるのじゃ?」
「ウィズエルフ達の民芸品や薬草、木の実といったものだ。意外とエメリさんとフレイヤが上手くやれている」
「フレイヤちゃんがいい子だからウィズエルフ達も信用しているのでしょうね」
「確かにいい組み合わせだった」
今度、食事にでも誘うかとトワイトが笑っていた。
そのままディランはクリニヒト王国を通り過ぎてさらに西へと向かう。
程なくして国境を越え、視界が草原へと切り替わる。
「こっちは山が少ないようじゃな」
「ええ。草原と丘が多く、森はそれなりと言った感じですな。さらに西へ行くと海へ辿り着くので、海魚などが運搬されてきます」
「ほう」
「コウ殿、なにか?」
「いや、到着してから話をすることができたぞい」
「?」
「わほぉん?」
コウがニヤリと笑い、リヒトとダルが顔を見合わせていた。ボルカノと一緒で何かを考え付いた様子だ。
そうこうしている内にガリア国よりも大きな城が見えて来た。町も規模が大きい。
「平野が続くから町は大きくできるのじゃな。広いからどこでも良さそうじゃ」
「頼む」
ディランは草の無い土地へと降りていく。
この国もやはり空の状況を確認してか、ぞろぞろと馬車が集まって来た。
最後の説明かと揃うのを待っていると、一台の馬車から顔を出して手を振る者が居た。
「モルゲンロート!」
「お!? サロスか!」
その髭の男はモルゲンロートを呼び捨てにし、彼も相手の名前を口にした。
「もしかしてあの方は?」
「そうです。エンシュアルドの王、サロスです」
モルゲンロートが苦笑しながらトワイトへ返す。その馬車がディラン達の前へ泊るとサロスと呼ばれた男が降りてきた。
「来てくれたか! いやあ、ドラゴンはでかいな!」
「お前は相変わらず声がでかいな。紹介しよう、この一家がクリニヒト王国に住んでいるディラン一家だ」
「初めまして、ディランじゃ」
「トワイトです!」
「あーい!」
「ぴよー!」
「おお、元気なお子さんですな」
サロスはディランとトワイトと握手をし、リヒトとひよこを見て目を細めて笑う。
そこへモルゲンロートがコウを紹介する。
「それでこちらがフロストドラゴンのコウ殿だ。他のドラゴン達はもう決まってしまってな、彼だけだ」
「すまんのう。コウという。よろしく頼むわい」
「国王のサロスだ。こちらこそよろしく頼む。しかしあっさり決まったのだな? それぞれの国へ顔見世をして選ぶと思っていたのだが」
「事情があってな。ドルコントとガリアで役に立てると即残ったのだ」
「なるほど。まあ、誰が来てもウチはいいけどな? 立ち話もなんだ、乗ってくれ!」
サロスは馬車に乗り込んでくれと口にし、ディラン達が乗り込むと出発する。
少々狭いのでダル達はディランやトワイトの膝の上に乗っていた。
「あーい♪」
「うぉふ♪」
リヒトは近くになったヤクト達を撫でて遊んでいた。やがてお城へ到着すると、応接間へと案内される。
国王のサロスを対面にし、モルゲンロートとここで暮らすコウがソファに座り、ディラン達はその後ろに立っていた。
サロスは頷くと人差し指を立ててから早速と話し出す。
「移住に関してこちらからお願いすることは一つだ。暴れないことと、人に迷惑をかけないこと。まあ常識な話だと思うがな」
「じゃな。もちろん問題ない」
「なら、この移住する書に目を通してサインを頼む。なに、変な規約とかはないけどよく読んでおいてくれ」
「わかったわい」
「しっかりしているな」
「ああ。こういうのは受け入れる側が色々考えなきゃならんだろ? しかも相手はドラゴンだ。人間の常識を覆してくる可能性がある」
サロスは当然だという顔でモルゲンロートへ言う。確かに、話のすり合わせは必要だと頷いていた。
「問題ないかのう。山が無いからどこか草原に家を建てるか、海沿いでもいいな」
「ありがとう。海沿いか、なにかあるのですかな?」
「わしはフロストドラゴン。氷雪を司るのじゃ」
「ええ。その姿は見たいところですな」
「海から魚を獲って流通させておるのじゃろう? 移送の際はどうしておる?」
「え? ああ、魔法や氷で冷やしているが……」
コウの質問の意図が分からず困惑しているサロス。そこでコウは手に氷でドラゴンの彫刻を生み出しながら言う。
「わしの氷は解けにくい。これを使えば魚の鮮度を落とさずに運ぶことができるぞ」
「……!」
「なるほど、ここでも自身の能力を使えることを見つけたのか」
「うむ。凍らせると腐敗が進みにくくなる。それはもちろん知っておるじゃろうが、わしのはさらに冷えるし、もつ。氷を使えるものは多いが、わしは特段強い力を持つぞ」
「それはいいな。やはり氷はすぐに作れないし、溶けにくいとなれば販路の拡大ができる。ならば海沿いのどこかに住むということでいいか」
「ああ。どうせやることもないしのう。自分でも魚を獲って暮らすわい」
サロスとコウは話をすると、笑いながらもう一度握手をして決まる。特に問題なく全員が国に住むことができて良かったとディランは頷くのだった。
「海の町へも行ってみるか」
「そうね! リヒトも海は見たことがないしいいかもしれないわ」
「あー?」
「わん?」
そうして次は海へ行くことが決まった。
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