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第232話 竜、連れて帰る
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「これでよろしいですか?」
「ありがとうございます♪ 小麦粉と卵、お水、油とお鍋……うん、これでいいわ♪」
「おお、またなにか新しい料理を?」
ディラン達のところへ戻ったトワイトが料理をするための器具と材料を頼み、メイドが持ってきてくれた。
トワイトの料理を知っているモルゲンロートが声をかけてくる。
「これは天ぷらじゃな」
「天ぷら……確か東の国にある料理とか」
「知っているのかサロス」
「ここから東の国に交易をおこなっているからな。往復で七日ほどかかるから食材などは日持ちするものしか回って来ないが」
「ほう」
「わしが氷を作って運べば持つかもしれんのう」
「いいですな」
船の交易があるためエンシュアルド王国は西にあるが、東の国と交易があるらしい。食材は腐ってしまうのであまり来ないそうだ。
コウが能力で氷の保管庫を作ってもいいかもしれないと口にする。
「あ、それでしたらおショウユはありますか? カツオブシもあると嬉しいですね」
「お待ちください!」
東の国の調味料があれば欲しいと、トワイトが言うとメイドが商店に走って行った。
「あーう」
「アー」
「カイザーペンギンは鳥じゃ。お主達と同じじゃぞ」
「こけー……」
「ぴよー」
「アー♪」
一方、ディランのところではリヒトとカイザーペンギン、それとジェニファー達が集まっていた。
ディランが鳥類だと言うと、ジェニファー達はカイザーペンギンを見上げてポカンと口を開けていた。
それを聞いたカイザーペンギンはジェニファーを抱きしめ、ひよこ達を手に乗せて嬉しそうに掲げていた。
「まあ、ジェニファー達と同じで空は飛べんがな」
「こけっ!」
「あーい」
「お」
飛べない鳥と言われたジェニファーがディランの膝に乗り、そこから羽ばたいて飛び立つ。
もちろんそれほど飛べないが、いい餌とドラゴンの魔力を受けているせいか割と浮いた後、結構な距離を滑空していった。
「おお、やるのう」
「凄いニワトリですな……!?」
「ぴよー♪」
「お前達も飛ぶのか」
「アー」
カッツが目を見開いて驚くほどジェニファーはよく飛んでいた。
そしてそれを見ていたひよこ達も真似をしてディランの膝からぱたぱたと飛んでいた。
やはりそこそこ飛んでいく。それを見てカイザーペンギンがパチパチと手を叩く。
「あー♪」
「リヒトもか」
さらにリヒトも抱っこをせがみ膝に乗せると、ぴょんと飛んでいた。
ディランに手を振ってにっこり微笑み、彼は頭を撫でてやった。
「可愛いですねえ」
「うむ」
メイドの一人が目を細めてリヒトを可愛いと口にすると、ディランは自慢げに鼻を鳴らして頷いた。
「アー」
「あーい」
そのままリヒトはカバンから太鼓とハニワ、それと笛を取り出してペット達と遊び出す。
「ア……!?」
「あーう?」
「わほぉん」
するとカイザーペンギンはハニワにびっくりしていた。ダルが自分の頭に乗せるように示唆していた。
「よし、そろそろいいわね! みなさんどうぞ! 熱いから気をつけてください」
「お、できたか」
その時、トワイトが天ぷらを揚げ終えたようで皆を呼んでいた。まずモルゲンロートが先に行き、サロス、カッツ、コウと続いていく。
「このツユにつけて食べてください。お好みでこのダイコンおろしをつけるといいですよ♪」
「おお、これはキレイだ。しかし、ダイコンはどうやってこんな風に?」
「ああ、私の鱗です」
「お……!?」
トワイトが腕をドラゴン化して見せるとサロスが驚く。しかし、コウの知り合いなのだからドラゴンかと思いなおす。
「トワイトの料理も久しぶりじゃのう。ディランはええのか?」
「こっちでリヒトを見ておるからええぞ。元気すぎて目を離すとアッシュウルフに乗ってどこかへ行ってしまうのじゃ」
「はっはっは、男の子はそれくらいでいいじゃろう。では、エビを……」
「あ、私も!」
「ほう、これは……!」
コウが先にエビを食べ、続いてモルゲンロートもエビを取った。カッツとサロスは白身の魚を口にする。
「……! こ、これは、今まで色々と海鮮を食べてきたが、これは美味い……!」
「素材もだがこのツユというのも美味いぞ……!?」
「ダイコンおろしが美味い脳」
「ちょ、それをくれ!」
「お塩でも美味しいですよ♪」
「本当かね……!」
そんな調子で国王と町の貴族がこぞって天ぷらとお酒を食し、追加で食材を渡してメイドたちにも振舞った。
そして陽も傾き始めたころ、宴はお開きになる。
「ではそろそろ帰るとするか。モルゲンロート殿を送らねば心配するじゃろうし」
「そうですな。ではサロス、コウ殿のことよろしく頼む」
「ああ、任せておけ」
片付けはやってくれるということでディラン達は帰ることになる。モルゲンロートとサロスは握手を交わしていた。
「帰るわよリヒト」
「あー? あーい♪」
「こけー」
トワイトがリヒトを呼ぶと、おもちゃを片付けてから駆け寄ってくる。ジェニファー達も集まる中、カイザーペンギンも風呂敷を首に巻いてから寄ってくる。
「アー」
「あなたはお家があるでしょ?」
「ア」
「それに寒いところじゃないと暮らせないはずじゃがな」
トワイトがリヒトを抱っこして言うと、カイザーペンギンはふいっと視線を逸らす。そこへコウもやってきて寒い地域じゃないとダメではないかと話していた。
「アー」
「あーう?」
「着いてくるの? でも、ウチは山の中だから寒くないの。川はあるけど」
カイザーペンギンはぴょんぴょんと飛び跳ねて主張をする。だけどトワイトは連れて帰っても生きていけないだろうと困る。
「まあ、わしが氷の部屋を作ってもええぞ」
「コウの素材で倉庫に使っている洞窟は冷やしておる。住むならそこならというところか」
「アー♪」
「しかし、具合が悪くなったりしたら帰ってもらうぞい?」
「ア!」
ディランが告げると、カイザーペンギンは『よろしくお願いします』という感じでお辞儀をしていた。
「いいみたいね♪ リヒト、お友達が増えたわね」
「あーい♪」
「うぉふ♪」
「では行くか」
「おお……!」
そうしてディランが変身をするとその場にいた全員がぎょっとしていた。そしてモルゲンロートやトワイトが乗るとクリニヒト王国へと飛び立つのであった――
「ありがとうございます♪ 小麦粉と卵、お水、油とお鍋……うん、これでいいわ♪」
「おお、またなにか新しい料理を?」
ディラン達のところへ戻ったトワイトが料理をするための器具と材料を頼み、メイドが持ってきてくれた。
トワイトの料理を知っているモルゲンロートが声をかけてくる。
「これは天ぷらじゃな」
「天ぷら……確か東の国にある料理とか」
「知っているのかサロス」
「ここから東の国に交易をおこなっているからな。往復で七日ほどかかるから食材などは日持ちするものしか回って来ないが」
「ほう」
「わしが氷を作って運べば持つかもしれんのう」
「いいですな」
船の交易があるためエンシュアルド王国は西にあるが、東の国と交易があるらしい。食材は腐ってしまうのであまり来ないそうだ。
コウが能力で氷の保管庫を作ってもいいかもしれないと口にする。
「あ、それでしたらおショウユはありますか? カツオブシもあると嬉しいですね」
「お待ちください!」
東の国の調味料があれば欲しいと、トワイトが言うとメイドが商店に走って行った。
「あーう」
「アー」
「カイザーペンギンは鳥じゃ。お主達と同じじゃぞ」
「こけー……」
「ぴよー」
「アー♪」
一方、ディランのところではリヒトとカイザーペンギン、それとジェニファー達が集まっていた。
ディランが鳥類だと言うと、ジェニファー達はカイザーペンギンを見上げてポカンと口を開けていた。
それを聞いたカイザーペンギンはジェニファーを抱きしめ、ひよこ達を手に乗せて嬉しそうに掲げていた。
「まあ、ジェニファー達と同じで空は飛べんがな」
「こけっ!」
「あーい」
「お」
飛べない鳥と言われたジェニファーがディランの膝に乗り、そこから羽ばたいて飛び立つ。
もちろんそれほど飛べないが、いい餌とドラゴンの魔力を受けているせいか割と浮いた後、結構な距離を滑空していった。
「おお、やるのう」
「凄いニワトリですな……!?」
「ぴよー♪」
「お前達も飛ぶのか」
「アー」
カッツが目を見開いて驚くほどジェニファーはよく飛んでいた。
そしてそれを見ていたひよこ達も真似をしてディランの膝からぱたぱたと飛んでいた。
やはりそこそこ飛んでいく。それを見てカイザーペンギンがパチパチと手を叩く。
「あー♪」
「リヒトもか」
さらにリヒトも抱っこをせがみ膝に乗せると、ぴょんと飛んでいた。
ディランに手を振ってにっこり微笑み、彼は頭を撫でてやった。
「可愛いですねえ」
「うむ」
メイドの一人が目を細めてリヒトを可愛いと口にすると、ディランは自慢げに鼻を鳴らして頷いた。
「アー」
「あーい」
そのままリヒトはカバンから太鼓とハニワ、それと笛を取り出してペット達と遊び出す。
「ア……!?」
「あーう?」
「わほぉん」
するとカイザーペンギンはハニワにびっくりしていた。ダルが自分の頭に乗せるように示唆していた。
「よし、そろそろいいわね! みなさんどうぞ! 熱いから気をつけてください」
「お、できたか」
その時、トワイトが天ぷらを揚げ終えたようで皆を呼んでいた。まずモルゲンロートが先に行き、サロス、カッツ、コウと続いていく。
「このツユにつけて食べてください。お好みでこのダイコンおろしをつけるといいですよ♪」
「おお、これはキレイだ。しかし、ダイコンはどうやってこんな風に?」
「ああ、私の鱗です」
「お……!?」
トワイトが腕をドラゴン化して見せるとサロスが驚く。しかし、コウの知り合いなのだからドラゴンかと思いなおす。
「トワイトの料理も久しぶりじゃのう。ディランはええのか?」
「こっちでリヒトを見ておるからええぞ。元気すぎて目を離すとアッシュウルフに乗ってどこかへ行ってしまうのじゃ」
「はっはっは、男の子はそれくらいでいいじゃろう。では、エビを……」
「あ、私も!」
「ほう、これは……!」
コウが先にエビを食べ、続いてモルゲンロートもエビを取った。カッツとサロスは白身の魚を口にする。
「……! こ、これは、今まで色々と海鮮を食べてきたが、これは美味い……!」
「素材もだがこのツユというのも美味いぞ……!?」
「ダイコンおろしが美味い脳」
「ちょ、それをくれ!」
「お塩でも美味しいですよ♪」
「本当かね……!」
そんな調子で国王と町の貴族がこぞって天ぷらとお酒を食し、追加で食材を渡してメイドたちにも振舞った。
そして陽も傾き始めたころ、宴はお開きになる。
「ではそろそろ帰るとするか。モルゲンロート殿を送らねば心配するじゃろうし」
「そうですな。ではサロス、コウ殿のことよろしく頼む」
「ああ、任せておけ」
片付けはやってくれるということでディラン達は帰ることになる。モルゲンロートとサロスは握手を交わしていた。
「帰るわよリヒト」
「あー? あーい♪」
「こけー」
トワイトがリヒトを呼ぶと、おもちゃを片付けてから駆け寄ってくる。ジェニファー達も集まる中、カイザーペンギンも風呂敷を首に巻いてから寄ってくる。
「アー」
「あなたはお家があるでしょ?」
「ア」
「それに寒いところじゃないと暮らせないはずじゃがな」
トワイトがリヒトを抱っこして言うと、カイザーペンギンはふいっと視線を逸らす。そこへコウもやってきて寒い地域じゃないとダメではないかと話していた。
「アー」
「あーう?」
「着いてくるの? でも、ウチは山の中だから寒くないの。川はあるけど」
カイザーペンギンはぴょんぴょんと飛び跳ねて主張をする。だけどトワイトは連れて帰っても生きていけないだろうと困る。
「まあ、わしが氷の部屋を作ってもええぞ」
「コウの素材で倉庫に使っている洞窟は冷やしておる。住むならそこならというところか」
「アー♪」
「しかし、具合が悪くなったりしたら帰ってもらうぞい?」
「ア!」
ディランが告げると、カイザーペンギンは『よろしくお願いします』という感じでお辞儀をしていた。
「いいみたいね♪ リヒト、お友達が増えたわね」
「あーい♪」
「うぉふ♪」
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そうしてディランが変身をするとその場にいた全員がぎょっとしていた。そしてモルゲンロートやトワイトが乗るとクリニヒト王国へと飛び立つのであった――
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