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アイスドラゴン猫の〇〇!
しおりを挟む「絶対『トミトク』がいいわ」
「えー! 可愛くないよお母さん。うーん、オスの子猫だし、チビとか?」
「結愛、それだと大きくなった時に困らないか?」
「じゃあお父さんはなんかあるの?」
「やっぱり雄ならカッコいい名前がいいだろ? ギンガなんてどうだ?」
家へアイスドラゴン猫を連れて帰ると結愛が速攻で俺からひったくり、リビングでくつろいでいた両親に見せると俺にどうしたのかと聞いて来た。
スメラギの時みたいに実はどこかの飼い猫だったらがっかりするから先に聞いておこうという算段だったらしい。
とりあえず捨て猫でウチで飼おうか相談したいと言ったところ、名付けについて会議が始まったというわけである。
<……>
「何が来ても悔やむなよ?」
<薄情じゃねえですかい!? だったら勇者が名前を考えてくれよ!>
結愛の膝の上で俺に物凄く嫌そうな顔を向けながらそんなことを脳内会話で伝えてくるアイスドラゴン猫。
優秀な猫だなと思いながら、早く晩飯にならないかとソファでスマホをいじっていると、真理愛からメッセージが届く。
『修ちゃん今日もどっか行ってたよね! 明日は一緒に帰るかわたしも連れていってね! 怜ちゃんと坂家君も一緒に!』
ふむ、そろそろ限界……とりあえず返信をしよう。
『猫、拾った、今、家居る、明日、見せる』
「こんなもんだろ」
これで明日アイスドラゴン猫を見せてやれば機嫌が直るはず。
「タカミチね、これ以上は譲れないわ」
「ジョニーがいいよねー?」
「マッスルなんてどうだ? はっはっは!」
<……>
ふむ、そろそろアイスドラゴン猫も限界らしい。なんか考えてやるかと思っていると、インターホンが鳴り響く。
「あ、お兄ちゃんいい?」
「ああ、構わないぞ」
<俺が構う!? 行かないで! 変な名前になっちまうよ!>
悲痛な叫びは一旦保留し、そういうのが得意なヤツが居るのでそっちに任せようと玄関を開けて招き入れる。
「修ちゃん猫! 猫いるの!? スメラギさんじゃなくて!?」
「おう、早かったな。こっちだ」
そう、真理愛である。
なんだかんだで結愛よりも女の子らしい思考を持っているので期待できるとあえてすぐに送ってみた。
「わああ、スメラギさんより小さい子だー!」
「あのぶさ猫と比べたら可哀想だ」
<カイザー……>
俺の言い草にアイスドラゴン猫は困った声を上げる。
「名前は?」
「今からだよ、お父さんもお母さんも変なのばっかり考えるの。真理愛ちゃんも考えてよ」
「いいの? うーん……」
「いいと思うんだけどねえイガラシ……」
何故、母ちゃんは鉄人ばかり挙げるのか……そんなことを考えていると、真理愛が名案とばかりにアイスドラゴン猫を抱き上げて言う。
「グラキエースなんてどうかな? なんか毛色が氷っぽいし」
「ラテン語で氷、だっけか? 名前長くないか?」
センスは悪くないと思うが、いざ呼ぶ時に困りそうだなと感じて返す。すると真理愛はすぐにアイスドラゴン猫を膝に乗せて口を開いた。
「ならスリートなんてどう? 霙(みぞれ)って意味なんだけど」
「あ、いいじゃないか。俺はアリだな」
「うん、いいんじゃない? 母ちゃんは賛成!」
「わたしもー」
「キンニクで……って決まったのか?」
どうやら満場一致で問題無さそうで、アイスドラゴン猫を見ると髭をふにゃっとさせてホッとした顔を見せたので大丈夫そうだ。
「よし、なら改めてよろしくなスリート!」
「ふみゃーん♪」
「なんか汚れているし、あたしお風呂に入れていいかなあ?」
「わたしも洗いたい!」
「なら先にご飯にしてくれ……もう腹が減って仕方ない……」
「にゃー……」
「スリートもお腹減ってるのかな? 拾って来たんだからそうかも? じゃあ待ってるね!」
そう言って真理愛がソファに腰かけ、スリートを撫でる。
ドタバタしたけど、とりあえずアイスドラゴン猫を家に置くことになったが、この時テレビで、新たな騒動を予感させるニュースをやっていたことに、俺はまだ気づいていなかった。
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