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異世界の扉
しおりを挟む住考さんはスリートが喋っても驚くどころか『協力できるかもしれない』と言う。
確かにコテツとキサラギという喋る猫を飼っているのでなにかしら考えがあると思うんだけど……
「みゃ! この子スキンシップが激しいんみゃ!」
「おう、コテツだっけ?」
「そうみゃ。お兄さんは落ち着いてるみゃあ」
「撫でるにゃ!」
構いすぎる真理愛から逃げ出して俺のところへ来る二匹……うん、可愛いなこいつら。
スメラギやスリート達と違ってスレてないというか、家猫って感じがする。そんな二匹の喉を撫でていると、奥へ引っ込んでいた住考さんが戻ってくる。
「さて、とりあえず庭に行こう、そこにさっきの子達を含めて猫がいっぱいいるんだけど、もしかしたらってこともあるかもしれないし」
「あ、はい。親父、真理愛、行こうか」
「あーん、コテツちゃん抱っこさせてよー」
「べたべたされるのは嫌いなのみゃ」
「あはは、コテツは小さいころ撫でられるの大好きだったのに」
「そ、それは無しみゃ……」
「仕方ないにゃ、マリアは私を愛でるといいにゃ」
「ありがとー♪」
とりあえず大人なキサラギという犠牲をもって真理愛の機嫌が直ると、俺達は庭へと移動するため裏庭の扉を抜け――
「ん……? 今、違和感が……」
「どうした修?」
「いや、ここ、ただの庭じゃない。魔力……というか空気が違う」
「あ、そういわれれば……」
「へえ、分かるんだ? ……その通り、ここは俺達の居る世界とは違う場所、いわゆる異世界だ」
マジか……!?
一瞬、俺達の世界かと思ったが空気が違うのでどうやらここはまた別世界のようだ。仁さんも勇者とか言っていたし、町に対して一つ異世界と繋がりがあるって感じか? 偶然にしちゃ出来すぎているような気もするけど……
「にゃー」
「わんわん!」
「わ、いっぱい居る!」
真理愛が色めき立つのも無理はなく、確保してきた犬猫の檻以外にもたくさん徘徊していたからだ。一応、その中にも居ないか確認したものの、ドラ猫は居なかった。
<たくさんいるけど、俺達の仲間はいないですぜ>
「そっか、まあ元々ダメ元で保健所に行ったわけだから仕方ないか」
また野良猫探しか、夜中の聖剣掲げをするかと考えたところで、真弓さんが庭の外へ歩いていき、俺達を手招きする。
「さあさ、修君に真理愛ちゃん、こっちですよー」
「? どこに行くんですか?」
「一応、他の保健所から連れて帰った猫も居る場所があるんだ。そこへ行ってみようと思う」
「いいんですか? ここって重要なんじゃ……」
「ああ、大丈夫だよ。色々あったけど、ここは平和な島なんだ」
そんなことを言いながら住孝さんは真弓さんに並んで歩き出し、俺達もそれに続く。
「今日会ったばかりの俺達にこんな重要なことを教えてよかったんですか?」
「ん? ああ、大丈夫だよ。ウチはセキュリティが万全だし、裏庭に続く扉は『俺が招待した』とみなした場合だけ客が通れるようになっている。真弓のように結婚して家族になった場合なんかは例外だけど、基本的に俺が居なければ通れない。それに君たちがそんなことをするとは思えないしね」
「なるほど局地的な結界みたいな感じなのか、母さんが得意そうだ」
「お母さま?」
真弓さんが振り返って不思議そうな顔をしたので、俺はこの異世界を教えてもらった代わりに現在の状況をかいつまんで説明する。
「……魔法使いに勇者か、他の町にも居るって? ウチだけじゃなかったんだなあ……」
「もしかしたらネーラ達が役に立てるかもしれませんね」
「ネーラ?」
真弓さんの言葉に尋ねるが、返事をもらう前に目的地へ到着したらしく、目の前にはおしゃれなログハウスが立ち並ぶ集落か村といった場所が見え、そして、俺達に気づいた村の人間がこちらに歩いてくる。
……巨大な猫を連れて。
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