現代に転生した勇者は過去の記憶を取り戻し、再び聖剣を持って戦いへ赴く

八神 凪

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魔王からのお知らせ

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 「いや、はは、まさか私が国王とはね……」
 「あんたしか適任者が居なかったんだ、すまないけども」
 「世話になった恩をアダとまではいかないが面倒で返してすまん」

 俺と親父で時期王となったフルクスに頭を下げる。
 一週間。
 たったそれだけの期間で王が決まったのは異例だと思うけど、決め打ちで選んだのだからこんあものである。
 面倒、というのは他の貴族からやいやい言われるであろう想定があるからだ。
 とはいえ、今の状況で国王になったら『殺されるかも』と言えば、まあやりたがる奴はいないだろうな?

 いやいや、あくまでも『かも』だって言ってるだけだよ。俺達がさ。
 親族連中は少し金を握らせておけば済むし。
 
 という噂をとりあえずばらまいておきながら、俺達は次の手を考えるがこっちの方が思い当たらない。
 情報は集めているけど、あの女神の次の目的が分からないから手の打ちようがない。

 後は魔族……いや、魔王が向こう側を狙っているので行くとすればそこか。
 ただし、居場所が分からない。
 母ちゃんの言うように一匹位捕まえて吐かせるべきだが、魔族もここへ攻めてくるようなこともない。

 「兄ちゃんー、哨戒終わったよー」
 「特に帝国の動きも無いわね」
 「おかえり、結愛、母ちゃん。魔族が飛んできたりは?」
 「ないわね。あの日以降全然姿を見せないのも気持ち悪いけど」

 母ちゃんはそんなことを言いながら『向こう』から持ってきたペットボトルの水を飲む。
 エリクはまだ完全ではないので結愛やフィオ、ブランダがドラゴン達に乗って哨戒を請け負ってくれるのはありがたい。

 「さて、これはいよいよ旅に出ないといけないかな?」
 「だけどシュウ兄ちゃん、帝国が攻めてきたらどうするの? 流石に国王にしておいて、はいさよならはフルクス様が不憫というか……」
 「まあな……」

 フィオの言葉に、ソファに背を預けて天井を仰ぐ。
 問題は結構あるかと口をへの字にして目を瞑ると、応接室にフルクス王が入って来た。

 「シュウ君、少しいいかい? おっと、ミモリさんも戻っていましたか、お疲れ様です」
 「ええ、ありがとうございます。どうしました?」

 ……母ちゃんが好きだったらしいフルクス王がどぎまぎしながら部屋に入って来る。親父は城の修理を手伝っているからここには居ない。

 「ええっとですね、ゴーデン王の部屋を片付けていたらこんなものがありまして。魔道具のような感じがするから見てもらえないかと」
 「ん? 水晶、か?」

 それにしては随分濁っている。
 かすかに透明感はあるな、というくらい。
 大理石を丸めたような質感がする水晶? を撫でると、急に光り出した。

 「うお、まぶしっ!?」
 「目が、目がぁぁぁ!?」
 「いや、そんなに光ってないけど……」
 「ウチの子達はノリがいいもので。なにか聞こえない……?」
 「あ、水晶を見てください!」

 俺と結愛がネタを披露する中、母ちゃんとフィオは冷静に水晶を見て声を上げる。俺と結愛はなにごとも無かったように輪に加わり――

 【あー、あー、聞こえるか? やっと繋がったな。ん? なんだ、ゴーデンではない……というか勇者ではないか】
 「げ!? その声は魔王か! あの時工場で聞こえた声だよな、フィオ!」
 「ええっと……私、その時居ませんでした……」
 「あ、はい」

 そういやスメラギと俺だけだったか。
 まあ、それはともかく魔王なら話は早い。

 「おい、そっちに女神ユースリアが行ってないか? 聖女の生まれ変わりと一緒に居るはずなんだよ」
 【いきなり不躾だな。知っていて言うと思うか?】
 「思う。これを聞いたらな」
 【む?】

 俺はゴードンが女神によって殺されたことと、なにかを探して世界を彷徨っていることを告げる。
 恐らく魔族を追っている可能性が高いことも。

 【……なるほどな。世界にゆがみが出た時に偵察を出した時にドラゴンと交戦したと言っていたがお前達か。それに女神も居る、と】
 「ああ。とりあえず俺達はお前も向こう側へ侵攻しようとしていることを危惧している。できれば討伐したいんだが場所を教えてくれないか?」
 【言うか!? 真面目な顔で言うから頷きそうになったではないか。まあ、ゴーデンが居なくなった今、この世界を手に入れた方が早いが、私が動いたらお前達も動くだろうしな】
 「当然よ。ゲームだと倒される存在、それが魔王!」
 【うむ、恐ろしいものだ。私も封印されるのは面倒だ、聖剣は手元にあるのだろう?】

 魔王がそう言うので俺がセイクリッドセイバーを見せる。

 【さてどうしたものか……折衷案を――】
 【魔王様、大変です! 襲撃です!】
 【なに? 襲撃だと、何者だ?】
 【娘が二人、とんでもない魔力で……うお!?】

 水晶の向こうで轟音と揺れが起こり、報告魔族がたたらを踏む。

 「まさか……女神と真理愛か!?」
 【ここを突き止めたのか……!? おおおお!? めちゃくちゃしているな!? くそ、私が行く。勇者よ、気が変わったこちらへ来い! 場所は極北に近いゲベレスト山脈の麓にある神殿だ、いそ――】
 「……切れちゃった。魔王さん大丈夫かなあ」
 「まあ、女神相手はまずいかもね。ゲベレスト山ならドラゴンですぐ行けるわよ。防寒しないといけないけど」
 「行こう。八塚は向こう側の人間だし、真理愛も取り返さないといけない。親父が戻ってくる前に準備を進めよう」
 「それはこちらで用意させてくれ、帝国に対抗するため誰か残ってくれると助かるんだけど……」

 フルクス王に言われ、俺はフィオやブランダにドラゴン二匹を置いて行くことに決めた。
 正直なところ、ドラゴン一頭でも攻め側にしてみれば相当手に余るし。

 ……これが最後になるか? 待ってろよ真理愛!
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