112 / 115
女神の心鏡
しおりを挟む
世界を作るということがどういうことなのか分からないけど俺達が住む地球の歴史のようにまさかプランクトンから進化させた訳ではないと思う。
ともかくそれができるのは神か女神。この世界ならハーテュリアだ。
実際、作ったことに対して疑問は無いし、そこを議論しても仕方がない。
問題はこいつが魔族が嫌だという理由を突き付け、我儘で滅ぼそうとしているように語るが……どうも真の理由を隠している気がする。
この世界だけで完結させるなら『扉』は必要ないはずだからだ。あれを作った理由が他に必ずあるはず。
「どうなんだ、ハーテュリア」
『ふ、ふふ……あはは! 凄い発想ね。ドラゴンはこういう世界なら必要でしょ? 『扉』は魔族と一緒のイレギュラー。できれば破壊しておきたいのよ? あ、ベイグライドクロニクルだっけ? ああいうゲームをやっているからそういうのが思いつくのね。帰ったら私にもやらせて――』
ハーテュリアが笑ながら話題を露骨に逸らしたので、俺はぴしゃりと遮って続ける。
「はぐらかすな。お前、なにを隠している? お前が世界を作ったなら『扉』もそうだろう。魔族達が別の進化をしたというなら分かる。だけど『扉』が勝手にできるとは考えにくい」
「それにドラゴン達の説明ができないわ。スメラギに聞いてみたけど、ドラゴン達はあの7体しか居ないらしいわね? 明らかに理由があるでしょ」
母ちゃんも元魔法使いらしく賢さを前面に押し出してくる。
そう、人間達がドラゴンを倒せば『向こう側へ行ける』という話をどこから聞きつけたのかということと、『扉』ドラゴンが鍵になっているということは創造主たる女神が細工をしている以外に、ない。
そのことを告げると――
『……残念ね』
「なにがだ?」
『賢いということがよ。黙って私の言う通りにしていれば、後は向こうへ帰って終わり。そういう計画だったのに。そこに気づいたら……始末するしかないわね……』
「……!? お前……!!」
ニタリと笑い、見上げるようなまなざしを俺達に向けてくると同時に、俺の手から聖剣が消えた。
「なんだと!?」
『これは私の持ち物だから返してもらうわ。それと、気に入ってたんだけどね、あなたたちのこと……!!』
「お前は……!」
聖剣が俺の手から消え、ハーテュリアが目を見開き、口を半月状にして笑う。
どうやら俺と母ちゃんの推測はビンゴ。
「兄ちゃん! <禍つ水竜オミュニス>!」
『成長は早いけど、妹ちゃんの実力じゃまだまだよ!』
「そんな!?」
聖剣を振るって結愛の魔法を打ち消して不敵に笑う。そんな女神に俺は尋ねてみる。
「やっぱり『向こう側』へ行ける手段を創っていたということか。目的はなんだ? 魔王や魔族を根絶やしにするのと関係あるのか?」
『……地球って星はとても恵まれているの。女神や神が世界を創る時はさらに上のトップクラスの神に選ばれてようやく手掛けることができるわ』
曰く、だいたい剣と魔法の世界を創る者が多いらしい。
理由は『魔法』の利便性が高いからで、人間が成長しやすいからとのこと。その反面、そればかりに頼りすぎてしまうことで途中から成長が止まってしまうのだとか。
よくラノベで「異世界」の話を見かけるが、そのほとんどが中世みたいな世界感なのはそのせいと言う。
だが、魔力というものは動物を魔物に変え、人間を魔族に、魔王へと変えてしまう。
【我々はイレギュラーだと言うのか……!?】
「いや、魔力っていうものを媒介してその内、なにかしらで生まれるならそれは偶然じゃなくて必然、ってことだと思うぞ。どちらかといえばそれを良しとしない女神の方がおかしいと思うのだが」
親父が目を細めると、涼しい顔で首を振る。
『それだと他の世界と似通ってしまうわ。だから人間が魔族を倒せるよう聖剣を創り、向こうの世界からなにかを得るため『扉』を繋げているってわけ。地球は魔法の代わりに科学を発展させてきた……こっそりそのヒントを手に入れるくらいはと思ったけど、あまり効率は良くないから『扉』を壊すつもり』
「勝手なことを……」
『言うわよ、私の世界だし? ……さ、魔王を倒すからそこをどいてくれる? ああ、抵抗するなら殺すわよ』
「きゃ……!?」
結愛の足元に斬撃を飛ばし床を深くえぐる。
こいつが作った世界なら何をしても許される、という考えを持つのは有り得なくない。だが、それなら世界を作り直せばいいのではないだろうか?
なんだ、この違和感は……? 色々と口にしているが『結果』に結びつく『正解』がなんなのか分からない。俺達を始末するつもりなら『扉』を知った時点で潰せばよかった……いや、こっちに来ないと手が出せなかった?
『この世界のために……死んで……!!』
「だ、め……怜、ちゃん。ありのままを……受け入れないと……」
「真理愛、お前……!」
「怜ちゃんは……女神さまは……」
「そうか……そういうことだったのか!」
「修、真理愛ちゃんを連れて――どこいくのー!?」
母ちゃんの声が最後まで聞こえなかった。
何故なら、俺と目覚めた真理愛はハーテュリアの意図に気づき、向かってくる彼女に対し、突き進んだからだ!!
「ハーテュリア! お前の苦しみ、勇者としての俺が……救ってやる!!」
ともかくそれができるのは神か女神。この世界ならハーテュリアだ。
実際、作ったことに対して疑問は無いし、そこを議論しても仕方がない。
問題はこいつが魔族が嫌だという理由を突き付け、我儘で滅ぼそうとしているように語るが……どうも真の理由を隠している気がする。
この世界だけで完結させるなら『扉』は必要ないはずだからだ。あれを作った理由が他に必ずあるはず。
「どうなんだ、ハーテュリア」
『ふ、ふふ……あはは! 凄い発想ね。ドラゴンはこういう世界なら必要でしょ? 『扉』は魔族と一緒のイレギュラー。できれば破壊しておきたいのよ? あ、ベイグライドクロニクルだっけ? ああいうゲームをやっているからそういうのが思いつくのね。帰ったら私にもやらせて――』
ハーテュリアが笑ながら話題を露骨に逸らしたので、俺はぴしゃりと遮って続ける。
「はぐらかすな。お前、なにを隠している? お前が世界を作ったなら『扉』もそうだろう。魔族達が別の進化をしたというなら分かる。だけど『扉』が勝手にできるとは考えにくい」
「それにドラゴン達の説明ができないわ。スメラギに聞いてみたけど、ドラゴン達はあの7体しか居ないらしいわね? 明らかに理由があるでしょ」
母ちゃんも元魔法使いらしく賢さを前面に押し出してくる。
そう、人間達がドラゴンを倒せば『向こう側へ行ける』という話をどこから聞きつけたのかということと、『扉』ドラゴンが鍵になっているということは創造主たる女神が細工をしている以外に、ない。
そのことを告げると――
『……残念ね』
「なにがだ?」
『賢いということがよ。黙って私の言う通りにしていれば、後は向こうへ帰って終わり。そういう計画だったのに。そこに気づいたら……始末するしかないわね……』
「……!? お前……!!」
ニタリと笑い、見上げるようなまなざしを俺達に向けてくると同時に、俺の手から聖剣が消えた。
「なんだと!?」
『これは私の持ち物だから返してもらうわ。それと、気に入ってたんだけどね、あなたたちのこと……!!』
「お前は……!」
聖剣が俺の手から消え、ハーテュリアが目を見開き、口を半月状にして笑う。
どうやら俺と母ちゃんの推測はビンゴ。
「兄ちゃん! <禍つ水竜オミュニス>!」
『成長は早いけど、妹ちゃんの実力じゃまだまだよ!』
「そんな!?」
聖剣を振るって結愛の魔法を打ち消して不敵に笑う。そんな女神に俺は尋ねてみる。
「やっぱり『向こう側』へ行ける手段を創っていたということか。目的はなんだ? 魔王や魔族を根絶やしにするのと関係あるのか?」
『……地球って星はとても恵まれているの。女神や神が世界を創る時はさらに上のトップクラスの神に選ばれてようやく手掛けることができるわ』
曰く、だいたい剣と魔法の世界を創る者が多いらしい。
理由は『魔法』の利便性が高いからで、人間が成長しやすいからとのこと。その反面、そればかりに頼りすぎてしまうことで途中から成長が止まってしまうのだとか。
よくラノベで「異世界」の話を見かけるが、そのほとんどが中世みたいな世界感なのはそのせいと言う。
だが、魔力というものは動物を魔物に変え、人間を魔族に、魔王へと変えてしまう。
【我々はイレギュラーだと言うのか……!?】
「いや、魔力っていうものを媒介してその内、なにかしらで生まれるならそれは偶然じゃなくて必然、ってことだと思うぞ。どちらかといえばそれを良しとしない女神の方がおかしいと思うのだが」
親父が目を細めると、涼しい顔で首を振る。
『それだと他の世界と似通ってしまうわ。だから人間が魔族を倒せるよう聖剣を創り、向こうの世界からなにかを得るため『扉』を繋げているってわけ。地球は魔法の代わりに科学を発展させてきた……こっそりそのヒントを手に入れるくらいはと思ったけど、あまり効率は良くないから『扉』を壊すつもり』
「勝手なことを……」
『言うわよ、私の世界だし? ……さ、魔王を倒すからそこをどいてくれる? ああ、抵抗するなら殺すわよ』
「きゃ……!?」
結愛の足元に斬撃を飛ばし床を深くえぐる。
こいつが作った世界なら何をしても許される、という考えを持つのは有り得なくない。だが、それなら世界を作り直せばいいのではないだろうか?
なんだ、この違和感は……? 色々と口にしているが『結果』に結びつく『正解』がなんなのか分からない。俺達を始末するつもりなら『扉』を知った時点で潰せばよかった……いや、こっちに来ないと手が出せなかった?
『この世界のために……死んで……!!』
「だ、め……怜、ちゃん。ありのままを……受け入れないと……」
「真理愛、お前……!」
「怜ちゃんは……女神さまは……」
「そうか……そういうことだったのか!」
「修、真理愛ちゃんを連れて――どこいくのー!?」
母ちゃんの声が最後まで聞こえなかった。
何故なら、俺と目覚めた真理愛はハーテュリアの意図に気づき、向かってくる彼女に対し、突き進んだからだ!!
「ハーテュリア! お前の苦しみ、勇者としての俺が……救ってやる!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる