現代に転生した勇者は過去の記憶を取り戻し、再び聖剣を持って戦いへ赴く

八神 凪

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世界の仕組み

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 「本当にアテがあるのか……?」
 【私とて無駄に封印されていたわけではない。いつか復活した時に、出来ることは無いか模索をしていたのだ】
 『もう消しちゃいたいんだけど……』
 「ダメですよ、もしあの親子や魔族の犠牲になった人が蘇れるならやった方がいいでしょ」

 母ちゃんが窘めていると、八塚……いや、ハーテュリアが俺に真理愛を押し付けてきた。

 『……ほら、返してあげるわよ。多分、この子が居なくても魔王は倒せるみたいだしね』
 「お前……」
 『しばらく目は覚まさないけどね』

 そう言いながら魔王の方に目を向けると、ヤツは元来た道を戻り始める。

 【こっちだ。ついて来てくれ】
 「フレーメン達はお留守番をお願いね」
 <分かったわ。あなた達がやられるとは思ってないけど、気を付けてね>
 <すぐに呼ぶのだぞ>
 
 スメラギ達に見送られて階段下を降りて行くと、魔族の遺体や破壊された神殿内部が目に入り、結愛が顔を顰めて母ちゃんの腕に抱き着いていた。

 「派手にやったもんだな」
 「やりすぎな気もするけど、それくらい憎かったってこと?」
 『憎いというよりは、そうせざるを得ないからかしらね。どういう経緯で現れたのか分からない突然変異……それが魔族だから、私にも分からないの。で、創造主はこの世界に手出しが出来ない……だから聖剣というイレギュラーを生み出して人間に対応させようとしたの』
 
 親父と母ちゃんが前を歩くハーテュリアへ質問を投げかけると経緯を説明してくれる。
 世界自体はこいつが作ったが、その後のことは観察するだけしかできないのだとか。
 生まれるはずの無い魔族がポッと現れたことに疑念を抱きつつ、害を為す可能性があるため排除を決めたのだそうだ。

 【……我々魔族が生まれた理由は女神も知らないのか?】
 『そうね。ちょっと100年位居眠りしていたらあんた達がわらわらと居たってわけ。人間が進化したにしては系統が違うのよねえ』
 「でも、わたし達の世界でも国ごとに特色があるし、そういうもんじゃないの? ファンタジーだってエルフとかいるし、喋るドラゴンもから魔王さんがいても不思議じゃない気も?」

 結愛が眉を顰めて言うが、この世界には――

 「確かにな。ただ、俺はエルフやドワーフみたいな種族は見たことは無いな」
 『魔物とかは動物の死骸が魔力で復活したものだから想定内。魔法がある世界を作ったからね。だけど人間以外の種族を増やすと異種族間戦争が起きやすいからこの世界には人間以外を置かなかったの』
 「本当に創造主って感じか……設定したデータで出来上がるって感じがするなあ」
 『まあ、ね。まあ、結局人間同士の争いもあったし、やっぱり人間ってそういうものなのかというのも分かったけどさ』

 冷たい言い方をして首を振るのを背後から見ていて気になることがいくつかあった。
 言葉に嘘はないが、俺達に話していないことがあるというところか。

 「なら喋るドラゴンを作ったのはなんでだ? 智恵があるなら強力な種族とみなせるだろ」
 『……』

 だんまりか。
 都合が悪いという理由ならひとつ思い当たることがあるが――

 【着いたぞ、ここだ】

 俺が喋るか迷っていたころ、魔王がでかい扉の前で振り返り到着したことを告げる。扉を開くと、神殿の奥なのに天井が高い。
 広さもそれなりにあり、中央に祭壇のような場所があった。

 【この地で私は昔の勇者に倒されて封印された。本来は滅されてもおかしくなかったが、勇者とほぼ互角だったので封印される程度ですんだ、というところだな。この神殿は勇者たちが建てたものだろう】
 『当時は見てないわね』
 【そうか……封印されて体は動かなくなったが考えることはできた。いつか復活した時に目にもの見せてやろうと。そこで意識だけを切り離して魔力を集めた】
 「なんでまた魔力を?」
 【新しい魔族を生み出す力になるのと、いざ封印が解けた時に元の身体に取り込めば自身の力を底上げすることもできるのだ】

 魔王だけあって色々考えているものだ。
 さらに魔王は続ける。

 【私の魔力は石に変えてストックを作った。お前達の世界への扉があったろう? あれをこじ開けることも恐らくできる】
 『……』
 「それをどうするの?」
 【これに加えてドラゴンや女神、私などの魔力をさらに付加し時間を遡れるのではないかと思う。別世界への扉を開くことができるなら、それも可能だとは思わないか?】
 『なるほど、考えたわね。魔力を高めて時間を逆行……できるかもしれない……『扉』を起点にして魔力量を1で1年戻れるとして――』

 なにやら計算を始めたハーテュリアだが、手際が良すぎる。
 俺の予想が正しければ――

 「ハーテュリア、一つ教えてくれないか?」
 『なに? 今、計算が忙しいんだけど』
 「お前、どうして向こう側へ行ける『扉』を作ったんだ? それもドラゴンを倒し、さらに人間を犠牲にして開く扉をだ。人間を庇護しているように話すが……もしかして、こっちの人間を向こう側へ『侵攻させる』のが目的だったんじゃないか?」
 「そ、それって……」
 「確かに……シュウの言う通り自分で作った世界ならあの扉も女神が作ったことになるわね……」

 母ちゃんが顎に手を当てて俺の考えに少し付け足してくれる。
 そう、人間だけしか要らないと言っていたにも関わらずドラゴンを置いていた。さらに別世界への扉を用意する意味はそう考えられる。
 恐らくだが、魔族討伐はカムフラージュで、ドラゴンを倒せるような人間を選別して向こう側へ行かせるつもりだったのではないかと思ったのだ。

 別世界の勇者である仁さんも奥さんである魔王と一緒に『なんらかの力』で地球へ来たと言っていた。
 もしかするとこれはこの世界のことだけではないのかも……?

 俺達が回答を待っていると――
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