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十章:夏那
257.火山は魔物も噴火も怖いわね
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「よし、準備出来たわね!」
【オッケーでーす】
二人で野営道具を片付けてからあたしはレスバに声をかける。彼女はソアラの首を撫でながら親指を立てて応えてくれた。
そのままあたしと一緒に御者台へ乗り込むと、忘れ物が無いか周囲を見渡してから出発した。
「さて、と。いよいよか……」
【まあ、気負いすぎるのも良くないですし、気楽にいきましょう。一応、フレイムバードに遭遇した時の戦い方は話した通りで】
「うん、そうね」
【なあに沈んでいるんですか! 山なら大丈夫ですって! この前の一団と遭遇するとは限りませんしね!】
「能天気ねえ」
休憩中、フレイムバードに遭遇したらどうするかという話をした。
もし出会って、さらに戦闘になったらどうするのか? レスバ曰く、ソアラが居るため発見されて攻撃された場合逃げ切るのは難しいとのこと。
そこで彼女が提案した策は『レスバが飛んで牽制する』というものだった。
魔族の姿になれば飛ぶことは可能なので現実的な話だ。そしてその間にソアラとあたしは適当な岩陰に隠れるなどして、やり過ごそうという作戦である。
しかし、レスバがフレイムバードの攻撃全てを受けることになる可能性が高いため大丈夫かと心配しているという訳。
【まあ、飛んで戦うのは当然レッサーデビル達より上ですし。なんとかなりますよ】
「頼むわよ? みんなと会った時、あんただけ死んじゃったとか言いたくないんだからね」
【うははは! リクさん達とはぐれてから心配性ですねえ。まあ、出くわさないのが一番なので、目の良いわたしが空を監視しておきますよ】
「オッケー。ソアラ、悪いけど頑張ってね」
あたしの言葉でソアラは『任せてください』といった感じで力強く鳴いてくれた。
ソアラ含めて女の子ばかりのパーティだけど、勇者に魔族の副幹部というタッグはまあまあ悪くないとは思う。
それにあのハリヤーの孫だしねソアラ。
「……」
【……】
そんな調子で火山を登っていくあたし達。
空はレスバ、地上はあたしが警戒することで魔物の襲撃を防がなければならない。依頼の時と違ってここから町へはすぐに戻れない。あたし達の誰かが大怪我をすれば割と立ち行かなくなるのは明白だ。
「……あ」
【どうしました?】
「魔物の死体があるわ」
しばらく進んだところで魔物の死体を見つけた。古くも無く、新しくもないといった感じの状態なので先発した一団がやったのかもしれない。
【同じルートを進んでいるっぽいですね】
「みたいね。他にも登山口があったけど、ここが一番登りやすそうだったから考えることは一緒って感じ」
【魔物を倒してくれていれば楽なんですけどねえ】
一団が蹴散らしてくれれば直近の魔物達はこちらに近づかなくなるからだそう。確かにそれなら後発で同じルートの方が助かる気がする。
「空は?」
【平和なもの……と、言いたいところですけど、二、三羽ほどフレイムバードが飛んでいますねえ。今はまだ木々がありますが、もう少し登ると無くなりますからさらに警戒を強めないといけないかもしれません】
「なるほど」
空を見上げると燃えるような鳥が羽ばたいているのが見える。獲物を探している感じはするけど、木々の間に居るあたし達は見えていないらしい。
油断無いようさらに山を登る。ギルドマスターのドルブさん曰く、中腹あたりまで行けば向こう側への下山ルートがあるそうだ。
【ま、気長に行くしかありませんね。ソアラがバテたらおしまいです。それにだんだん暑くなってきましたから、水分と休憩はできそうなところでやっていきましょう】
「うん」
緩やかとはいえ人二人と物資を運んでいるためソアラ一頭では可哀想に思えてくるわね……せめてハリソンが居れば楽なのに。
後でソアラには美味しいものを食べてもらうとして、ひとまず木々が途切れる直前で一度休憩をすることにした。
「ふう、暑いわね……」
【飲み水が無くなったら魔法で出すしかありませんが、こう乾燥していると少なそうですねえ】
「無いよりはって思いましょ。ソアラ、お水」
ソアラは『ありがとうございます』といった感じで鳴き、水を飲んでいく。一気に飲むと疲れやすいので少しずつにしてある。
【……さて、ここからが本番ですね】
「どうやっても一泊はしないといけないし、背にできる崖とか、ひさしみたいになっている場所を探さないとね。行こうか」
休憩を挟んでさらに上へ。
幸い魔物は出てこないし、死体もいくつかあるのでやっぱり先に行っている一団が倒してくれているらしい。
どこへ行くのか知らないけど、このまま下山まで案内して欲しいものね。
そして数時間。
火山特有の臭いが強くなっていき、陽が傾き始める。今は十五時くらいかな? そろそろ今日の野営場所を決めようとしたところで、それは起きた。
【……あ、急降下していく?】
「なに? ……あ」
上を見ていたレスバが冷静に実況をし、あたしも見上げると、フレイムバードが地表へ向かっていくのが見えた。
【もう少し先って感じですね。どうしますか】
「どうするって……」
そう言われて困惑する。
だけど、リクが居たらどうするか? もちろん彼なら助けに行く選択をするはずだと思う。
「行きましょうか。恩を売っておけば役に立つかもしれないし!」
【リクさんみたいなことを言い出しましたねえ。だけど、その案には賛成です。恩を売ってがっぽりいきましょう……!!】
「ソアラ、もう少し頑張って!」
あたしの言葉にソアラが反応して速度を上げてくれた。位置的にこのまま道なりにいけば遭遇するはず。
フレイムバードがこっちに来ないことを確認したあたし達は武器を手に飛び出せる準備をした。
そして時間にして約五分弱が経った頃、あたし達は現場に到着した。
「チッ、矢をしっかり避けるな」
「構うな、避けられても撃ち続ければ縦横無尽には動けん!」
「つあ!」
「火の大精霊様に会う前に死ぬわけにはいかん。皆の者、頼むぞ!」
そこにはドワーフの騎士や兵士がフレイムバードと戦いを繰り広げていた。炎をまとった羽を飛ばして来たり、口から小火球を放つなど鳥のくせに遠距離攻撃を得意としていた。
こちらが怯んだら、急降下で直接攻撃をするという戦闘スタイルも侮れない。
【ほら、面倒でしょう?】
「レスバから話を聞いていたけど、複数体を相手にするのは面倒くさいわねえ。……よし、それじゃ行きますか!」
【ソアラはここに隠れていてくださいね】
あたしは大剣を手に御者台を飛び降りると、前傾姿勢になり一気に距離を詰める。
【オッケーでーす】
二人で野営道具を片付けてからあたしはレスバに声をかける。彼女はソアラの首を撫でながら親指を立てて応えてくれた。
そのままあたしと一緒に御者台へ乗り込むと、忘れ物が無いか周囲を見渡してから出発した。
「さて、と。いよいよか……」
【まあ、気負いすぎるのも良くないですし、気楽にいきましょう。一応、フレイムバードに遭遇した時の戦い方は話した通りで】
「うん、そうね」
【なあに沈んでいるんですか! 山なら大丈夫ですって! この前の一団と遭遇するとは限りませんしね!】
「能天気ねえ」
休憩中、フレイムバードに遭遇したらどうするかという話をした。
もし出会って、さらに戦闘になったらどうするのか? レスバ曰く、ソアラが居るため発見されて攻撃された場合逃げ切るのは難しいとのこと。
そこで彼女が提案した策は『レスバが飛んで牽制する』というものだった。
魔族の姿になれば飛ぶことは可能なので現実的な話だ。そしてその間にソアラとあたしは適当な岩陰に隠れるなどして、やり過ごそうという作戦である。
しかし、レスバがフレイムバードの攻撃全てを受けることになる可能性が高いため大丈夫かと心配しているという訳。
【まあ、飛んで戦うのは当然レッサーデビル達より上ですし。なんとかなりますよ】
「頼むわよ? みんなと会った時、あんただけ死んじゃったとか言いたくないんだからね」
【うははは! リクさん達とはぐれてから心配性ですねえ。まあ、出くわさないのが一番なので、目の良いわたしが空を監視しておきますよ】
「オッケー。ソアラ、悪いけど頑張ってね」
あたしの言葉でソアラは『任せてください』といった感じで力強く鳴いてくれた。
ソアラ含めて女の子ばかりのパーティだけど、勇者に魔族の副幹部というタッグはまあまあ悪くないとは思う。
それにあのハリヤーの孫だしねソアラ。
「……」
【……】
そんな調子で火山を登っていくあたし達。
空はレスバ、地上はあたしが警戒することで魔物の襲撃を防がなければならない。依頼の時と違ってここから町へはすぐに戻れない。あたし達の誰かが大怪我をすれば割と立ち行かなくなるのは明白だ。
「……あ」
【どうしました?】
「魔物の死体があるわ」
しばらく進んだところで魔物の死体を見つけた。古くも無く、新しくもないといった感じの状態なので先発した一団がやったのかもしれない。
【同じルートを進んでいるっぽいですね】
「みたいね。他にも登山口があったけど、ここが一番登りやすそうだったから考えることは一緒って感じ」
【魔物を倒してくれていれば楽なんですけどねえ】
一団が蹴散らしてくれれば直近の魔物達はこちらに近づかなくなるからだそう。確かにそれなら後発で同じルートの方が助かる気がする。
「空は?」
【平和なもの……と、言いたいところですけど、二、三羽ほどフレイムバードが飛んでいますねえ。今はまだ木々がありますが、もう少し登ると無くなりますからさらに警戒を強めないといけないかもしれません】
「なるほど」
空を見上げると燃えるような鳥が羽ばたいているのが見える。獲物を探している感じはするけど、木々の間に居るあたし達は見えていないらしい。
油断無いようさらに山を登る。ギルドマスターのドルブさん曰く、中腹あたりまで行けば向こう側への下山ルートがあるそうだ。
【ま、気長に行くしかありませんね。ソアラがバテたらおしまいです。それにだんだん暑くなってきましたから、水分と休憩はできそうなところでやっていきましょう】
「うん」
緩やかとはいえ人二人と物資を運んでいるためソアラ一頭では可哀想に思えてくるわね……せめてハリソンが居れば楽なのに。
後でソアラには美味しいものを食べてもらうとして、ひとまず木々が途切れる直前で一度休憩をすることにした。
「ふう、暑いわね……」
【飲み水が無くなったら魔法で出すしかありませんが、こう乾燥していると少なそうですねえ】
「無いよりはって思いましょ。ソアラ、お水」
ソアラは『ありがとうございます』といった感じで鳴き、水を飲んでいく。一気に飲むと疲れやすいので少しずつにしてある。
【……さて、ここからが本番ですね】
「どうやっても一泊はしないといけないし、背にできる崖とか、ひさしみたいになっている場所を探さないとね。行こうか」
休憩を挟んでさらに上へ。
幸い魔物は出てこないし、死体もいくつかあるのでやっぱり先に行っている一団が倒してくれているらしい。
どこへ行くのか知らないけど、このまま下山まで案内して欲しいものね。
そして数時間。
火山特有の臭いが強くなっていき、陽が傾き始める。今は十五時くらいかな? そろそろ今日の野営場所を決めようとしたところで、それは起きた。
【……あ、急降下していく?】
「なに? ……あ」
上を見ていたレスバが冷静に実況をし、あたしも見上げると、フレイムバードが地表へ向かっていくのが見えた。
【もう少し先って感じですね。どうしますか】
「どうするって……」
そう言われて困惑する。
だけど、リクが居たらどうするか? もちろん彼なら助けに行く選択をするはずだと思う。
「行きましょうか。恩を売っておけば役に立つかもしれないし!」
【リクさんみたいなことを言い出しましたねえ。だけど、その案には賛成です。恩を売ってがっぽりいきましょう……!!】
「ソアラ、もう少し頑張って!」
あたしの言葉にソアラが反応して速度を上げてくれた。位置的にこのまま道なりにいけば遭遇するはず。
フレイムバードがこっちに来ないことを確認したあたし達は武器を手に飛び出せる準備をした。
そして時間にして約五分弱が経った頃、あたし達は現場に到着した。
「チッ、矢をしっかり避けるな」
「構うな、避けられても撃ち続ければ縦横無尽には動けん!」
「つあ!」
「火の大精霊様に会う前に死ぬわけにはいかん。皆の者、頼むぞ!」
そこにはドワーフの騎士や兵士がフレイムバードと戦いを繰り広げていた。炎をまとった羽を飛ばして来たり、口から小火球を放つなど鳥のくせに遠距離攻撃を得意としていた。
こちらが怯んだら、急降下で直接攻撃をするという戦闘スタイルも侮れない。
【ほら、面倒でしょう?】
「レスバから話を聞いていたけど、複数体を相手にするのは面倒くさいわねえ。……よし、それじゃ行きますか!」
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