異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い

八神 凪

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十章:夏那

258.どの面下げて出てきたのかしらね

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「来る……!?」
「<アクアランス>!」
「キェァァァ……!」

 ドワーフの騎士に迫ろうとしていたフレイムバードへあたしは苦手なアクアランスを放つ。威力は水樹の半分程度なのだけど牽制くらいには使えるのよね。
 不意打ちに驚いたフレイムバードは攻撃を止めて再び上昇し、旋回を始める。

「なんだ!?」
【助太刀ですよ!】
「君たちはこの前の……」
「話はあとで! ひとまず撃退するわよ!」

 移動することも考えたけど、結局その間に強襲されると面倒だ。だから完全にこちらの興味を失うか倒すまで逸らさないようにすると決めている。

「<アクアバレット>! 連射!」
「キェェェ!」
「よく分からないが便乗するぞ!」
「<アイスニードル>!」
【お、魔法使いもいるんですね】

 あたしが水系魔法を連発すると、ハッとしたドワーフの団体が空に射かけたり魔法を使いフレイムバード撃退に参加する。
 レスバは特に出来ることが無いので現状、降下して来た場合の迎撃要員だ。

「空から炎の雨を降らせてくるのか……相当厄介だわね」
【それでいて急降下のスピードはおかしいくらい速いですからね。戦いたくないって意味はわかると思います】

 あたしの近くで炎の雨を魔法で相殺しながらレスバがそんなことを口にする。フレイムバードも攻めあぐねているのか口からの火球と細かい炎の雨での攻撃しかしてこない。
 こっちの攻撃も掠る程度か、炎で燃やされて返されているので拮抗状態である。

「ピーヒョロー!」
「なに?」
「これは……?」
【あ、いけませんね……! ドワーフの皆さんは先に行った方がいいかも!】
「なんだって……!?」

 このまま諦めてくれるかと思っていると、フレイムバードが変な声を上げた。あたし達が訝しんでいると、レスバが慌てて撤収の指示を下した。

「仲間が居るの?」
【滅多に無いですが、ここは火山ですし居てもおかしくはないって感じですね】
「ならばファーニル様を連れて先に行け。ここはこの方たちと私、クレーズで牽制する」
「しかし、ガッド殿を残しては……」
「いいから行くのだ。せっかく手助けをしてくれる方がいるのだ、好意に甘えさせてもらわねば。ドラゴンのところへ行かねばならんことを忘れるな」
「「わ、わかりました……」」
「旅の方、すまないが奴の足止めを頼む」
「ええ!」

 というかドラゴンとか気になることを聞いてちょっと興味がわく。だけどそれは後で聞くとして今は増えたフレイムバードをどうするか考えないといけない。

【どうしますかね……ドワーフの騎士達が居なければ飛んでいくんですが】
「リクの言うところの消耗戦になりそうだけど、やるしかないわね」
「キェァァァァ!」

 レスバと小声でそんな話をする。見られてなければ飛んで戦うというのだけど、二人はここに残るらしいのでそれは叶わなかった。
 そうこうしている内に一頭のフレイムバードが合流し、一頭が牽制、もう一頭が突っ込んでくるという戦法を繰り出して来た。

「うわ!? これじゃ防戦一方じゃない!」
【地上に来る奴は任せてください!】
「接近戦なら……!!」
「うおおおお!」

 レスバはあたしに空にいる相手をしてくれと告げ、ぺろりと舌を出したレスバ。
 彼女がダガーを逆手にもって急降下してきたフレイムバードに接敵すると、ドワーフの騎士達も反撃に転じた。

「だりゃあ!」
「シャァア!」

 ガッドというドワーフが柄の長い斧を振り上げてレスバに狙いを定めているフレイムバードへ攻撃を繰り出した。
 見られていたレスバは両手のダガーで攻撃をガード。そこへ斧の一撃が入ると思ったけど、フレイムバードはさっと身を翻していた。

【やりますね、しかぁし!】
「せいやぁぁぁ!」

 しかし、そこでレスバともう一人のドワーフが詰め寄り、ダガーと両刃の斧が一閃された。さしものフレイムバードも翻してすぐにまた回避とはいけず羽と胴に一撃をもらっていた。

「ギェア……!」
【貰いましたよ!】
「まってレスバ!」
「シャァァア!」
「チッ……! 任せろ!」
「あたしも!」

 トドメを刺そうとしたところでもう一体があたしの魔法をかいくぐって突っ込んで来た。仲間意識が強いのは結構だけどこういう時は止めて欲しいわね!
 あたしとガッドさんが降りてきたフレイムバードを攻撃するため横から突っ込んでいく。
 
「なに!?」
「嘘!?」

 すると急に角度を変えて、滑るように地面スレスレを飛び、先に行ったドワーフ達の馬車へ突っ込んでいった。

「そっちへ行ったわ!!」
【チッ……これはわたしがやるしか――】
「レスバ……!」

 魔族の姿になれば初めて会った時のような素早い動きができるみたいなので解放しようとする。あたしは慌てて止めようとしたが、そこで不思議なことが起きた。

「ギェ……ァァァァァ……!!」
「え……!」

 瞬間、フレイムバードの絶叫が聞こえて来た。
 そしてこっちにフレイムバードの首が飛んできて地面を転がった。

「なに……? ドワーフの騎士さんがやったのかしら?」
【かもしれませんね。数も居ましたし。とりあえずこいつを処理してっと】
「おう、凄いな嬢ちゃん……」

 抑えていたこっちのフレイムバードの首を斬り裂いてトドメを刺していた。静けさが辺りを包み、ひとまず他に敵が居ないことを確認してからソアラを連れて合流する。

【フレイムバードの素材はアリですね。貰えるとは太っ腹……!】
「なんか偉い人みたいだしお金には困っていないんじゃない? とりあえずドラゴンの話を聞いてみたいわね」
【この火山にでもいるんでしょうか? こっち側は攻めていないから知らないんですよねえ】

 フレイムバードの素材は快く譲ってくれ、レスバがホクホクしていた。売ればお金になるし、武器や防具の素材としても優秀なのだとか。
 どちらにせよ一度話をしてみようかと近づいて行くと、そこで驚愕の場面に出くわした。

『やあ、これはお揃いで。カナとレスバ、だったかな』
「あんた……!」
【渡りある――】
『おっと、それ以上は良くない。ここではアヤネと呼んでくれると嬉しいね』
「……」

 そういって喜び合うドワーフの騎士に目を向けるのは、あたし達をここへ飛ばした張本人……渡り歩く者だった――
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