最強魔族の俺が最弱の女勇者を鍛えるワケ ~魔王軍二番手の冥王は人間界でもSランク冒険者のようです~

八神 凪

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第七章:荒れる王都

その133:ザガムの告白

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 「そう言えばザガート達はどうした?」
 「あ、みんな別の部隊で頑張ってましたよ! 私達はゼゼリックにかかりっきりだったので話しては居ませんけど、後方の敵と戦ってくれていました」

 あいつらも無事だったなら良かった。
 最初の印象は悪かったが、宴の席に呼ぶくらいの仲だ、死なれても寝覚めが悪いからな。
 
 「でも、結構あっさり撃退できてよかったですね」
 「ヴァルカンにメモリーが居ればあっという間だからな」
 「まあな……と言いたいところだが、ありゃ結構な相手だったぞ」

 ヴァルカンが難色を示すか、珍しい。
 こいつも俺やメギストスまでいかないまでも実力はあるのだからな。

 「帰って来たわね」
 「ですね! さて、降りますか、先に行きますよブレイブ君!」
 「ぴぎゃー!」
 「あ、いいなあ」
 
 イスラが先に名前を付けたワイバーンを駆って先に庭へ。
 俺達が乗る黒竜達も屋敷の庭ギリギリに入りそうだったので着陸。野次馬が集まって来ていたが、ウチだと分かるとすぐに解散していた。何故だ?

 それはともかく、まずは俺の成果を見せるかとリビングへ向かう。
 
 そして――

 「……あ! みんな、おかえりー!」
 「お、おお……!」
 「わぁ! コギーちゃん!」
 「ふふ、流石ね」

 リビングにいたのコギーとギリィ。
 こちらに気づいて椅子から飛び降りて笑顔を向けるとファム達が一斉に取り囲み、ヴァルカンが抱き上げた。

 「うおおおおおおお、良かった! 良かったなぁおい!!」
 「わわ!? 怖いよヴァルカン兄ちゃん!?」
 「調子はどうなんですか?」
 「ああ、少し体が痛いけど、死んでから時間が経っていないのもあってか元気だよ」

 ルーンベルに声をかけられたギリィも頭をかいて返事をする。
 他の町人も蘇っているが、コギーたちは俺が頼んで屋敷に残って貰ったのだ。

 「冥界でザガムさんと会ったの?」
 「ううん、死んでいる時のことはよく覚えていないんだー。でもね、薄っすらと覚えていることがあるの」
 「覚えていること?」
 「うん。死んだお母さんの声がして、抱きしめてくれたの。で、まだこっちに来たらダメ。元気でねって! あ、えへへ」

 虚ろな目でうろうろしていたが、どうやらそういうことがあったようだ。
 それを聞いたヴァルカンは号泣。
 ファム達も涙を浮かべて頭を撫でたりしていた。

 とりあえずコギーが無事だったということで、また宴でもしようと話している中、ルーンベルが手を叩いて静かにさせてくれた。
 次は俺の報告ということを理解してくれている。

 「それじゃ、コギーちゃんを助けた冥界の話からでいいのかしら?」
 「そうだな。とは言ってもあまり話すことは多くない」
 「あ、待ってくださいザガムさん! こちらの女性、いつ紹介してくれるんですか?」
 「ん? なにを言っている? 誰も居ないぞ」

 ファムが急に手を上げてそんなことを言い出し、その場に居た全員……いや、コギーとギリィ以外は首を傾げていた。

 「え!? ここに黒髪の女の人が居るんですけど……」
 「うん、わたしも見えるよ!」
 「えっと……俺も……」
 
 黒髪の女……ということは恐らくナル、か? それならと俺は死神との戦い、謎の女のことを話す。
 
 「はえー!? この人。ゴーストですか、もしかして!? ずっと黙っているからおかしいと思ったんですよ!?」
 「あ、すり抜ける」

 ファムが俺の後ろに隠れ、コギーが手をかざしながら不思議そうに口を開く。
 
 「あ、笑顔で手を振ってますよ!? ルーンベルさん、ゴーストじゃないですよね……?」
 「うーん、私から見えないし、ただのゴーストっぽくはないわねえ。笑顔で手を振っているなら危険はないんじゃない?」
 「まあ、見えないしな」
 「いいんですか!? あ、ちょ、近づいてきましたぁぁぁ! ひゃうん、背中に張り付いています!?」

 まああいつなら危険は無いかと話を続ける。

 「ファム、出発前に、帰ったら話したいことがあると言っていたが、その話をしよう」
 「あ、そ、そうですね……! なんでしょう!」
 「ついに言うのね」
 「ああ」
 
 ルーンベルが期待した顔で頷き、俺も頷き返した後、全員を前に口を開く。

 「……俺は――」
 「俺は……?」

 ごくりと喉を鳴らすファム。
 俺は一度、目を閉じてから深呼吸をして、言う。

 「俺は冥界で死神とやらと戦い気を失った。その時に過去の記憶を思い出したのだが、どうやら俺は勇者の血を引いているらしい」
 「「「ぶっ!?」」」
 「わあ、そうなんですか! お揃いです!!」
 
 ファムが手を合わせてお揃いだと口にしながら喜ぶ。
 だが、他のみんなは噴きだしていた。
 俺が首を傾げていると、ルーンベルが変な顔で詰め寄ってくる。

 「あんたいきなり何を言い出すのよ!? ザガムは魔族で【冥王】なんでしょうが! んで、こっちのヴァルカンは【炎王】でメモリーさんは【樹王】!!」
 「え!? ザガムさん勇者の血を引いているのに【冥王】なんですか?」
 「ややこしくなったじゃないか」
 「誰のせいよ!?」

 肩で息をするルーンベルを落ち着かせ、もう一度ファムに話をする。
 大魔王メギストスを倒したい理由などをだ。
 すると、深刻な顔でファムが顎に手を当てて呟いた。

 「……そう、だったんですね」
 「ファム、ショックかもしれないけど……」

 ルーンベルが困った顔で肩に手を置くが、ファムはすぐに顔を上げてから言う。
 
 「え? ショックはありませんけど? ザガムさん強い理由が分かったな、って」
 「俺は一応、魔族だぞ。それに騙したような形だ、嫁になっていいのか?」
 「うーん……でも、困っていた私を助けてくれたのは間違いないですし、勇者の血を引いているんですよね」
 「分かったのは最近だがな」
 「なら気にしませんよ! ヴァルカンさんやイザールさんたちが魔族というのは驚きましたが、優しい方ですし、友達になれたからいいんです!」
 
 ファムが手を合わせて笑うと、ヴァルカンが顔を赤らめて頬を掻き、イザールが頭を下げる。

 「人間も魔族も関係ない、か。150年前の勇者である俺の母もそういう思いで大魔王クロウラーと戦ったのかもしれないな」
 「でもよ、よくわからねえが人間の男が封印をしたんだろ?」
 「封印はどういってもいつかは解ける。それが最近だったってことだろう」
 「だけど、今の大魔王メギストスはどうするつもりかしら? ……いや、ちょっと待って」

 ルーンベルが怪訝そうな顔をして少し考える仕草をとり、俺達が見守っていると、閃いたという感じで口を開いた。

 「……なら、メギストスはどうやって大魔王になったの? ザガムは知ってる? ヴァルカンは?」
 「俺は小さい時に拾われたが、その時にはすでに大魔王だったぞ」
 「そういや、俺は80年位前に生まれたけどもうそうだったな」
 「……」
 「なにか気になることでも?」
 「150年前……メモリーさんはなにか……もしかすると――」

 イスラが尋ねると、ルーンベルが目を瞑ってぶつぶつ呟き、再度口を開いた。

 「怪しいのはやっぱりザガムを拾ったというメギストスね。あいつに話を聞かないと進まない気がするわ」
 「確かに……ではやはり行くしかあるまい、魔族領へ」
 
 元々考えていたことだが、今度こそ行かなければならないと、俺の直感が告げていた。
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