21 / 46
第三章:真相の追及
第21話 まだ終わってはいませんのね
しおりを挟む――里中さんと繁華街とやらを移動し始めて一時間ほど探索を試みましたが才原さんの姿は確認できずですわ。
『はんばあがあ』ショップに『げえせん』、衣料品のお店や『こすめ』を扱っているお店など手当たり次第に見ましたがやはりこう広いとなかなか見つからないものですわね。
町、ということであればわたくしの世界でももちろんありましたが規模が違いすぎて見て回るのが精一杯ですわ。
「こう、どうして似たような店舗がたくさんあるのでしょう……」
「え? そりゃあ……取り扱う種類がいっぱいある……りますけど、一つの店には入りきらないじゃないですか」
「なるほど」
それは言い得て妙ですわ。
それにしても食事をできるお店も雑貨を売る店もあれば『でぱあと』と呼ばれる大きな複合施設もあり、買い物は困らないことが分かりました。
ついでに言えば娯楽施設もたくさんあるようですし、この世界は魔物も居ない……平和な場所ですわね。
「あのカラオケというのはなんですか?」
「カラオケを知らない……!? いや、マジ……本当に?」
「ええ」
涼太との訓練は勉学系ばかりでそういった知識は後回しにしましたから仕方ありませんわ。
スマホを取り出して調べてみると『歌う場所』ですわね。ゲーセンもそうでしたがあまり騒がしいところは好きではありませんから遠慮しておきたいですわね。
「さて、これだけ動き回っても居ないとなるとこの場所には来ていないのでは無いでしょうか?」
「うーん、どうだろ。確か新作のマニキュアが発売されるのが今日だから……」
「あら、里中さんもコスメに興味がおありで?」
どうやら当たりをつけてここへ来たらしく、コスメの発売日とのこと。そうであれば佐藤さんが食いついているはずだと言う。
それはともかく発売日を知っているとは、と里中さんへ尋ねてみると、
「あ、うん。委員長なんて地味な感じだけど、私も興味はありますよ。今度、その変身のやり方を教えて欲しいかも」
「ふふ、里中さんも素材はいいですし、キレイになりますわよ」
「ありがとうございます!」
喜ぶ彼女へわたくしは微笑みながら言う。そのまましばらく歩いて行き、裏通りのお店というのも確認したところで前を歩く里中さんへ声をかけました。
「この辺りはお店はあまり無いみたいですね。これからどうしましょうか? 他にアテはありますか? そうでなければ結構歩いてきたので戻ろうかと」
「うーん……そうですねえ……。ちょっと休んでから考えます? 私、喉が渇いたんですけど」
「ああ、それはいいですわね。買いに行きましょうか、お代は出させてください」
「あ、病み上がりで連れまわしちゃったから私が買ってくるよ。近くに公園があるからそこで待ってて!」
「あ、里中さん」
……行ってしまいました。わたくしの身体を気遣っていただけるのはありがたいですわね。元気ですけど。
「わたくしはまだこの世界でカフェに行ったことが無いので買い物をしたかったのですが」
そう呟いて彼女が示唆した公園へ足を運ぶ。確かに近くに広場というには狭いですが、そういう場所がありました。
「それにしても一歩道を外れると寂しい感じがしますわね。建物が大きいから狭く感じる――」
そう呟きながら周囲を見ていると、目の前に黒く大きな自動車が通り……過ぎずに目の前で止まる。
その瞬間――
「……!」
「こいつか」
――黒い大きな自動車から顔を隠した人間が三人出てきて、即座にわたくしへ手を伸ばしてきました……!!
「あなた達は何者でしょうか?」
「……」
返事は無し。
わたくしはすぐにバックステップをすると、前に出てきた者の手を逃れる。すぐに踵を返そうとしたところですでに一人回り込んでいたようで挟まれた形に。
「この世界にも盗賊がいらっしゃるのですね? わたくしに何か御用でしょうか。人を待たせていますので帰りたいのですが」
「大丈夫だ。あの車で送ってやるから」
「どこに連れていかれるのやら……」
「よく見れば上玉だな。これは楽しみだぜ」
「それは後だ」
どこの世界にも誘拐はあるのですね。それと別のちょっとお腹の出ている男が怪しいことを口走る。
金銭目的では無さそうですわね? さっきの『こいつか』ということからわたくしを狙っての犯行。
「……ふっ」
「?」
「なにがおかしい……!」
「いえ。キナ臭くなってきたと思いましてね。飛び降りて生き残った女子高生ですが、復帰して少ししたらこういう誘拐に巻き込まれるなんて怪しいじゃありませんか?」
「……」
「ごちゃごちゃうるせえぞ……!」
ちょっと身長の低い……声からして男が苛立ちながら掴みかかってきました。短気ですこと。
わたくしはすぐに身をかがめると、顎をに向けて下から拳を打ち上げます。
「フッ……!!」
「がっ!? こい、つ……お、おお……?」
「脳が揺らされてすぐ回復は難しいですわよ? <ウインドボム>」
「うぐあああ!?」
顎を打ち抜かれて膝から崩れ落ちそうになっている小柄な男に、わたくしは腹へ拳を叩き込むと同時に魔法を放つ。
爆発的な空気圧が膨れ上がり男を吹き飛ばすと、黒い自動車まで飛んでいき背中から叩きつけられた形になりました。
「な、なんだこの女……!?」
「一気にかかるぞ」
「ふん、来なさいな。凶悪令嬢とまで言われたわたくしの力をお見せしましょう」
0
あなたにおすすめの小説
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する
タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。
社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。
孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。
そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。
追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる