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第六章:大魔王復活?
その93 再びチェイシャの元へ
しおりを挟むさて、お風呂へ行く前にバス子が心配だと思い僕達はエリィ達の四人部屋へと足を運ぶ。え? エリィは僕の部屋に侵入するから一緒でいいじゃないかって? 流石に結婚前の女の子と同室は避けたいからね。というか……恋人ですらないんだよね……うーん。
「バス子、具合はどう?」
それはともかく、ルビアが声をかけながら部屋に入ると、
「ああ、姐さん……温泉はどうでしたか……あ、レオスさんもおかえりなさい……うう、お腹がー」
「回復魔法は病気には効かないですし、残念ですけどバス子ちゃんはお留守番ですね」
青い顔をしたバス子が力なく微笑み、お腹の痛さを強調したところでエリィが困った顔で呟くと、バス子の耳が大きくなる。
「……お留守番ってなんですか? 皆さんどこへ出かけるんです……?」
そこへベルゼラが眉を上げてバス子の鼻に指を突きつけながら言う。
「レオスさんが温泉を解放したのが村の方々に知れ渡ったのよ。それで村長さんがご馳走をいてくれるんですって。でも、その調子じゃ無理でしょ? まあ、ちゃんとお料理は持ってきてあげるから安心なさいな」
「ごちそう……」
ぴくぴくと耳が動きバス子から表情が一瞬消え、目を瞑る。諦めたのかな? と、思った次の瞬間――
「えっへっへ! あれ、おかしいですね、さっきまであんなに痛かったお腹がスッキリシャッキリ痛くなくなりましたよ! さあ行きましょう! ご馳走がわたしたちを待っています!」
「え? あんた仮病だったわけ?」
「いや、そんなまさか。姐さんたちとお風呂に行くのにわざわざ仮病を使う必要はないでしょう? ホント、さっきまでとんでもなかったんですって。女の子の日みたいな感じの」
真顔でスラスラと言い訳を口から吐き出すバス子。あるんだ、魔族にも。温泉が嫌いって訳じゃなさそうだけど腹痛は仮病だよね? まあ、聞いても言わないだろうからそこはスルーしとこうか。
「治ったなら行こうか? と言っても僕が温泉に浸かってからだけどね」
「全然かまいませんよ! ゆっくり浸かって来てください! あ、なんなら背中を流しますよ! 一緒に入ります? げひゃひゃひゃひゃ!」
「遠慮しておくよ……帰ってくるまで命があるといいね」
「? なんのこ――」
バス子が言い終わらないうちに僕は女子部屋を立ち去り、温泉へと向かう。程なくして到着した温泉は誰も入っておらず、硫黄臭さのあるお風呂はゆっくりと体の疲れを癒してくれ、雨の音を聞きながらじっと目を瞑っているとウトウトしてしまう。30分ほど浸かり、体も温まったので宿へ戻ると、ちょうど村長さんに頼まれていた使いの人が呼びに来たところだった。
「それでは遠慮なく召し上がってください」
「ありがとうございます」
僕がお礼を言うと、それを皮切りに食事が始まる。
「はぐ……はぐ……おほ、この鶏肉おいしいですねえ」
「ウチの村で飼育している鶏ですよ。ささ、お野菜もどうぞ」
「いただきますね!」
「あら、このスープ玉ねぎの味がしっかりしているわ」
「バス子、ちょっと落ち着いて食べてよ……」
下品な食べ方をするバス子を尻目に食事が進む僕へ村長さんが再度お礼を述べてきた。
「この度は本当にありがとうございました。たまたま立ち寄った三人の冒険者へ依頼をしたのですが、彼等もラリアーモンキーには手を焼いており、雨がやんでから高ランクの冒険者を雇うつもりでした。それをまさかレオス様一人で片づけるとは」
「いえいえ、彼女達が退屈していましたし、温泉は入りたかったですからね」
「ご謙遜を。Cランクにはなかなかなれないものですよ? 彼らの話だとジョブは魔法使いだとか」
三人とはあの冒険者達のことだと思う。僕はにこっとほほ笑んで訂正をする。
「あ、僕は商人なんですよ。だから戦いより商売をしていたいんですよね。あ、そうだ何かこの村にしかないものとかありますか? 良かったら買っていきたいんですけど」
「商人!? いやいや、強力な魔法で岩を吹き飛ばしたと……」
「そういう商人です」
「へえ……あ、いや、何か事情がおありなのでしょう、これ以上は詮索しません。で、ではこの村でしか採れない――」
明らかに「なんでそんな嘘をつくの?」って顔をされたけど、村長さんは話を変えてくれた。とはいえ確かに最近戦ってばかりだったから殺伐としてるよね……公王様からもらったお金もあるし、予定していた荷台の改造と交易品探しでもしようかな?
そんな感じで村長さんの招待を余すことなく受けた僕達は宿へ戻ると、みんなにチェイシャの話をするため集まってもらう。
「炎の精霊、こんなところに居たのね」
「私も初めて知りましたよ。精霊に詳しい人はそんなに多くありませんし、精霊魔法を使える人もいますけど、基本的に下位精霊と契約をしている人ですし」
「下位精霊なんているの?」
「はい。下位精霊というのは――」
「待った。それは今度にしましょう。で、そのチェイシャとかいうのと契約ができるのね?」
ルビアが解説を始めようとしたエリィをたしなめて僕へ訪ねてきたので頷いて肯定し、話を続けた。
「それと大魔王の復活儀式について何か知らないか聞いてみるつもりだよ。精霊ともなれば知識はあるでしょ?」
「えっへっへ、精霊ですか……売ればお金になりますかね!」
「恥知らずなことを言うんじゃないわよ!」
ベルゼラに拳骨をくらういつもの風景を見た後、僕達は速やかに就寝。ぐっすりと眠り、翌朝チェイシャの元へと出発する。
<火曜の日>
「雨、まだ降るのかしら。いいかげんうっとおしいわね」
「そういえば本当に止みませんね。でも、レオス君の魔法で濡れずに進めるからいいじゃないですか」
僕の腕を取って歩くご機嫌なエリィと、空を見上げてぼやくルビア。フルシールドを傘のように展開して濡れないようカバーしている僕であった。
「おや、猿共ですよ」
「ああ、ラリアーモンキーは襲ってこないよ。ボス猿を倒したからね」
「えっへっへ、流石はレオスさん! で、どこです?」
バス子が謎の僕上げをしながらキョロキョロと周囲を見渡し、僕は温泉が湧いているところからさらに奥だと告げさらに歩く。
「ふう……山道、は……中々来るものがあるわ、ね」
「そういえばベルゼラは敬語を止めたね」
「え? ええ、エリィが仲間なんだからと言ってくれたので。レオスさんもベルと呼んでいいのよ?」
「それはちょっと……女の子の時なら良かったけど」
「じゃあ待ちます! 早く呼んでね!」
僕が苦笑して言うと、ベルゼラはぷうと頬を膨らませて不服そうだった。
そして――
<……来たか>
「大きいわね……あなたがチェイシャ?」
<左様。さて、話が先か? 契約が先か?>
例の暑い部屋まで行くと、チェイシャが寝そべって佇んでいて、僕達の気配を察知し頭を上げて問うてくる。話が聞きたいけどどうしようかな? そんなことを考えているとルビアがチェイシャに話しかけていた
「ごめんなさい、ぶしつけで悪いんだけどもしあなたと契約したらどうなるのかしら?」
<む? ……ふむ、良い質問じゃぞ娘。確かにどうなるかはレオスに言っておらんかったな。わらわと契約すれば炎の精霊魔法が使えるようになる。ファイアやフレイムと言った魔法と似ておるが少し違う。デメリットは特にないのう>
そこでルビアが少し考えた後、僕達をチラリと一瞬見て再度訪ねていた。
「あたしって魔法のセンスが全然ないんだけど、あたしでも使えるようになる……?」
<そうじゃな。もしかすると十全とはいかぬかもしれんが使えると思うぞ>
「……!」
それを聞いたルビアは目を輝かせてチェイシャに詰め寄っていく。
「ならあたしが契約したいわ! みんな、いい?」
「僕は拒否られたからいいよ」
「私もいいですよ!」
「ルビアさんでいいと思うわ」
「姐さん、気性が荒いからちょうどいいんじゃないですかね? えっへっへ」
「ありがと、みんな。さて、それじゃああたしはどうすればいいの?」
ルビアが鼻息を荒くして聞くと、チェイシャはニヤリと笑ってスックと立ち上がって口を開く。
<もちろん決まっておろう? わらわが認めたらじゃ!>
ゴゴゴゴゴ……
丸い床からさらに床が飛び出し、戦いの舞台へと変化していく。広さは50メートルと言ったところかな。
「……上等。拳聖の実力を見せてあげるわ」
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