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第八章:動乱の故郷
その152 ……!
しおりを挟む謁見が終わった後、僕はメディナとバス子クロウとアニスを呼びに、外に止めていた馬車へ戻ると、なぜかにらめっこをして遊んでいた二人。
とりあえずメディナを相手にしてにらめっこで勝てるはずがないだろうと思いながら、悔しがるバス子と、なにが面白かったのかめちゃくちゃはしゃぐテッラを連れてお城へと戻る。
戻ると、すでにエリィ達はそれぞれ部屋に通されており、僕達もそれに倣って部屋へ案内された。
「ピッピィ~♪」
テッラは僕についてきたがったので、僕の部屋で遊ばせる。メディナが残念な顔をしているのを感じ、僕もだいぶ彼女の表情が読めるようになってきた気がする。
程なくして夕食の時間になり、僕達は揃って食堂に集まった。
「もっしゅもっしゅ……んま……」
「こら、メディナ、国王様の前だから口にご飯を詰め込むのは止めなさい」
「はっはっは、豪快なお嬢さんだ。気にすることは無い」
「あ、味がわからない……」
「わたしも……」
予期せぬご馳走を目の前にしたメディナが本気を出し、ルビアが窘めていた。クロウは僕と同じ部屋で、みんなでお風呂に行っていたかららしい。
もちろんメディナとバス子にアニスも僕と別れたあと合流したのだそうだ。とりあえずメディナは見た目がかなり違うので冥王だというのはバレていない。
食事はおおむね予想がつくと思うけど、国王様主体で、だいたい父さんが強かったとか数人の女性に声をかけられていたみたいな話がメインである。
ただ、騎士だった父さんは僕の記憶にはないので、イメージが違う話はうんざりすることもなく楽しく聞けた。母さんを追いかけて辞めたって聞いたけど、どこで出会ってお店なんか始めたのか気になるところ……
そんな国王様の愚痴大会の中、食事も穏やかに終わり、就寝という時間になった。
「ほら、ご飯だよ」
「ピ! ピィ~」
カバンから下処理をした野菜と少しのお肉をテーブルの上に出してあげると、なんとも言えない声を出しながら両手で葉野菜を持ち、ゆっくりと咀嚼する。そんな可愛いテッラを尻目に僕はベッドに寝転がり考える。
「……とりあえず明日出発しようかな。書状は届けたから後は”旅の男”が見つかるのを待つばかり、か」
ごろり、と横を向き目を瞑る。
「だね。ペンデス国もちゃんと対策を立ててくれるといいんだけど」
隣のベッドに腰掛けているクロウが呟く。できることはやった。後はなるようにしかならないと返事をせずに考える。
ラーヴァの国王様にはエリィとルビアを連れて実家へ戻っているので何かあれば連絡して欲しいと告げている。父さんが知り合いだったのは僥倖だと思う。
各国が警戒を始めた今、おいそれと行動を起こすとは考えにくい。諦めてくれるのが一番いいけど、姿を知らないのは僕達にはそれを確かめる術がない。
「果報は寝て待て、か……ふあ……」
「それにしても親父さんが騎士団長だったなんて、レオスの強さはそういうところにもあるのかもね」
「うーん、そこは微妙なところだけど……」
「一度手合わせをお願いしようかな? いいだろレオス?」
「……いいんじゃないかな?」
戦闘狂めと思いつつ、修行もしていない父さんがクロウに翻弄される様を見ていたいと思い、生返事を返す。旅の男のことは気になるけど、その間は実家でゆっくり商売でもすればいいかと僕はそのまま目を瞑る。
「ピィ!」
するとテーブルからベッドへダイブしてきたであろうテッラが僕の頭の付近で寝転がった気配を感じつつ、僕はそのまま意識を手放した。クロウがいるせいか、さすがにエリィは部屋に来なかった――
◆ ◇ ◆
<日曜の日>
「それじゃ、今日はもう出発するのね。国王様はもうちょっと居て欲しそうだったけど」
「あくまでも父さんの知り合いだし、長居は迷惑でしょ。早く家に帰って母さんを安心させてあげたいっていうのもあるし」
「それがいい。早く挨拶をしたい」
「なんでメディナさんが張り切ってるのよ……。で、でもそうね、早いに越したことは無いわ」
そろそろ昼も近くなってきたころ、僕とクロウの部屋にみんなが集まって話しあっていた。
「一度顔を見せてから戻ってきてもいいかもしれないわね。旅の男は国に関わる何かを行おうとしていることが多いから、城下町で待つのはアリだと思うわ」
エリィはにっこりと笑いながらそういう。父さんを連れて来れば別の意味で歓迎してくれる可能性もあるかと苦笑しつつ、僕達は帰り支度は始める。
「最後に挨拶はしたいけど……あ、すみません国王様は?」
「今は謁見中でございますね。お昼で一度終了しますからもうしばらくお待ちくださいませ。終わりましたらお部屋へ――」
と、廊下を歩くメイドさんに声をかけると、謁見中とのことらしい。部屋で待つかとみんなに振り返った時、王妃様が慌てて走ってくるのが見えた。
「ああ! みなさん!」
「どうしたんですか? そんなに慌てて?」
「それが……い、いえ、説明している暇はありません! 謁見の間へ!」
王妃様が僕の腕を掴み、バタバタと謁見の間に走って行く。
「いったいなんだってのよ!?」
追いかけてくるルビアが叫んでいるのが聞こえてくる。この慌てようはただごとじゃないと駆け足で謁見の間に入るとそこには――
「ぐ、うう……き、貴様……いったい……!」
「ふうん。術が効きにくいね、なかなかの胆力をお持ちだ」
銀髪の優男が国王様に近づき、手を翳している。見れば騎士達は全員倒れていた。
「国王様!」
僕が叫ぶと、銀髪の男がゆっくりと僕を見る。
ゾクリ……!
目が合った瞬間、僕の全身の毛穴から一瞬で汗が噴きだし、脳が警告を告げる。こいつは危険だ、と。
「うわあああああ!」
「レオス!」
気づけば僕はセブン・デイズを抜いて銀髪の男に斬りかかっていた!
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