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最終章:罪と罰の果て
その173 休む暇は無い
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<ノーマッドの町>
「この町は久しぶりだね」
「そういえばレオス君は大魔王退治に同行していたんだっけ」
馬車から降りてきたルルカさんに言われ頷く。僕達は国境を越え、ついにアマルティアの喉元にあるノーマッドの町へと到着していた。
大魔王を倒す前に寄った町なんだけど、大魔王城に近いせいもあって町民は暗い顔をしていた。あの時はエスカラーチが支配していたと思っていたけど、事情を知った今、どちらかと言えばエスカラーチが『なにもしなかった』ことによる退廃が原因だと思う。今度はアマルティアが潜伏したことを考えると、不憫な土地のような気がする。
「宿は取れたぜ」
「あ、はい」
ガクさんが親指で中へ入るよう促してきたのでぞろぞろと宿へはいる。ふたり一組の部屋は集まるには難しいということで、一度荷物を置いた後、食堂へ集合する。もちろん明日に突入する大魔王城の作戦についてだ。
「……召喚魔法が使えるようになったから俺達も一緒に戦うぞ?」
「うーん……まとめていくとあっという間に全滅しそうなんだよね。でも、向かう先が同じなら一緒かなあ」
「だな。途中、刺客が出るようならそっちもなんとかしねぇとダメだ。一気に突入した方がいいってのは俺も賛成だ」
カクェールさんの意見にガクさんも同意のようだった。しかし、アマルティアの異常さを知らないので無理はない。ガクさん達はともかく、ルルカさん達女性陣は対峙して欲しくないかな。そう思い僕は提案をする。
「えっと、考えたんだけどカクェールさん達はエリィ達を探してくれませんか? アマルティアの性格からして、あいつは玉座にいる。だけどエリィ達はどこかに監禁されていると思うんです。だからそっちをお願いしていいですか」
「いや、だったらレオスが探した方が――」
「いえ、対抗手段を持っている僕がアマルティアの相手をします。最悪、エリィ達を助け出せたらそのまま逃げてくれると助かります」
ここだけは譲れないと、僕はカクェールさんの言葉をさえぎってぴしゃりと言い放った。
「……召喚魔法はどうするんだい? ティリアさんが使った方が確実だろ?」
「多分、僕でも使えるよ。ソレイユ……女神が託したのが僕だからね。その辺も考慮されているかも」
クロウにはそう答えたけど、実際にはどうだかわからないんだけどね。大魔王が召喚されたものと違う魔法であれば『僕だけにしか使えない』可能性は高い。だけど、この世界の無事をソレイユが願うなら、僕以外の人間に使えるようにしておいても彼女なら不思議ではない。
「なら、俺とカゲト、レオスで玉座を攻めるぞ」
「僕もそっちに入れてもらえますか?」
「クロウ?」
僕が首を傾げると、クロウは続ける。
「あの時、僕がもっと役に立てばエリィさん達は攫われなかったかもしれないんだ。それに今度はアニスがいないから逃げずに最後まで戦わせてもらいたいんだ」
「……今度は死ぬかもしれないよ」
「その時はその時さ。僕は親が居ないからね、その辺は気にしないでいいよ」
「アニスはどうするんだよ」
「大丈夫、アニスは強いよ。カクェール、それでいいかな?」
するとカクェールさんがため息を吐いてからクロウへ言う。
「はあ……言いだしたら聞かないか、お前は。……死ぬなよ?」
こくりと頷き、この時点で突入後のメンバーが決定する。フェロシティが言うには刺客は残りふたり。先に倒したレベルの相手ならよほどの搦手が無い限り負けることは無いはずだ。
なのでいかに早くアマルティアを倒すだけ。運ばれてきた夕食を口にしながらそんなことを考えていると、おかみさんであろう人が子供をあやしながら近所の人と話しているのが聞こえてきた。
「――聞いたかい? 大魔王に娘がいたって話」
「今はその話題ばかりだろう? 知らないヤツの方が少ないんじゃないかい」
大魔王の娘と聞いて、僕はドキッとする。ベルゼラのことか……? 何となく気になり、僕は耳を傾ける。
「はは。まあねえ。で、その娘の公開処刑、見に行くのかい? 確か……三日後だっけ?」
公開処刑……!?
「あたしはこの子もいるし、わざわざ城まで行かないよ。ま、城を占拠して、国をボロボロにしてくれた大魔王の娘が死ぬところはスカッとするだろうけどね」
やっぱりそう言う認識か……。まあ、大魔王が領地系をする理由なんてないからね。恨むならアマルティアと国王なんだけど、知る由もないか。
「……」
ガクさんがくいっと顎を部屋へ向ける。恐らく出発するぞ、と言いたいのだろう。僕達は小さく頷き、席を立とうとしたところでさらに衝撃な会話が聞こえてくる。
「そういえば別にこの前泊って行った客、勇者様だったんだろ?」
「そうなんだよ! 大魔王討伐の時にも来てたみたいだけど、顔なんて忘れてたから驚いたね」
「剣聖様と一緒に処刑の話を振りまいていたから、多分勇者様捕らえたんだろうね。わざわざ戻ってきてまでありがたい話じゃないか」
「まったくだ。新しい国王に剣聖様がなるらしいよ? これで景気が良くなるといいけどねえ」
そこまで話した後、おかみさん達は仕事に戻り僕達だけが残される。立ち尽くしていた僕達は早々に支度を始めた。
――十分もしないうちに宿の受付に勢ぞろいする。
「すまねぇ、チェックアウトだ」
「は? 料金は――」
「取っといてくれ。急ぐぞレオス」
「うん!」
馬車へ急ぎ、一気に町を出る。ここから城までは半日もあれば到着する! あの時は不意打ちだったけど、今度は助ける……!
あの時……? 僕はエリーと死に別れた後……う……
「大丈夫かいレオス?」
頭を押さえた僕を心配してくれるクロウに笑って手を上げて大丈夫だとジェスチャーする。
何だろう、ベルゼラのことを僕は知っている? 前世で? でもだったらどうして思い出さないんだろう……ソレイユもそのことには触れなかった。
そういえばエリィが「その内思い出す」みたいなことを言っていたような……
いや、今はそれは考えても仕方がない。とにかく助けるんだ。
アマルティア、お前は刺し違えてでも必ず倒してやる……
「この町は久しぶりだね」
「そういえばレオス君は大魔王退治に同行していたんだっけ」
馬車から降りてきたルルカさんに言われ頷く。僕達は国境を越え、ついにアマルティアの喉元にあるノーマッドの町へと到着していた。
大魔王を倒す前に寄った町なんだけど、大魔王城に近いせいもあって町民は暗い顔をしていた。あの時はエスカラーチが支配していたと思っていたけど、事情を知った今、どちらかと言えばエスカラーチが『なにもしなかった』ことによる退廃が原因だと思う。今度はアマルティアが潜伏したことを考えると、不憫な土地のような気がする。
「宿は取れたぜ」
「あ、はい」
ガクさんが親指で中へ入るよう促してきたのでぞろぞろと宿へはいる。ふたり一組の部屋は集まるには難しいということで、一度荷物を置いた後、食堂へ集合する。もちろん明日に突入する大魔王城の作戦についてだ。
「……召喚魔法が使えるようになったから俺達も一緒に戦うぞ?」
「うーん……まとめていくとあっという間に全滅しそうなんだよね。でも、向かう先が同じなら一緒かなあ」
「だな。途中、刺客が出るようならそっちもなんとかしねぇとダメだ。一気に突入した方がいいってのは俺も賛成だ」
カクェールさんの意見にガクさんも同意のようだった。しかし、アマルティアの異常さを知らないので無理はない。ガクさん達はともかく、ルルカさん達女性陣は対峙して欲しくないかな。そう思い僕は提案をする。
「えっと、考えたんだけどカクェールさん達はエリィ達を探してくれませんか? アマルティアの性格からして、あいつは玉座にいる。だけどエリィ達はどこかに監禁されていると思うんです。だからそっちをお願いしていいですか」
「いや、だったらレオスが探した方が――」
「いえ、対抗手段を持っている僕がアマルティアの相手をします。最悪、エリィ達を助け出せたらそのまま逃げてくれると助かります」
ここだけは譲れないと、僕はカクェールさんの言葉をさえぎってぴしゃりと言い放った。
「……召喚魔法はどうするんだい? ティリアさんが使った方が確実だろ?」
「多分、僕でも使えるよ。ソレイユ……女神が託したのが僕だからね。その辺も考慮されているかも」
クロウにはそう答えたけど、実際にはどうだかわからないんだけどね。大魔王が召喚されたものと違う魔法であれば『僕だけにしか使えない』可能性は高い。だけど、この世界の無事をソレイユが願うなら、僕以外の人間に使えるようにしておいても彼女なら不思議ではない。
「なら、俺とカゲト、レオスで玉座を攻めるぞ」
「僕もそっちに入れてもらえますか?」
「クロウ?」
僕が首を傾げると、クロウは続ける。
「あの時、僕がもっと役に立てばエリィさん達は攫われなかったかもしれないんだ。それに今度はアニスがいないから逃げずに最後まで戦わせてもらいたいんだ」
「……今度は死ぬかもしれないよ」
「その時はその時さ。僕は親が居ないからね、その辺は気にしないでいいよ」
「アニスはどうするんだよ」
「大丈夫、アニスは強いよ。カクェール、それでいいかな?」
するとカクェールさんがため息を吐いてからクロウへ言う。
「はあ……言いだしたら聞かないか、お前は。……死ぬなよ?」
こくりと頷き、この時点で突入後のメンバーが決定する。フェロシティが言うには刺客は残りふたり。先に倒したレベルの相手ならよほどの搦手が無い限り負けることは無いはずだ。
なのでいかに早くアマルティアを倒すだけ。運ばれてきた夕食を口にしながらそんなことを考えていると、おかみさんであろう人が子供をあやしながら近所の人と話しているのが聞こえてきた。
「――聞いたかい? 大魔王に娘がいたって話」
「今はその話題ばかりだろう? 知らないヤツの方が少ないんじゃないかい」
大魔王の娘と聞いて、僕はドキッとする。ベルゼラのことか……? 何となく気になり、僕は耳を傾ける。
「はは。まあねえ。で、その娘の公開処刑、見に行くのかい? 確か……三日後だっけ?」
公開処刑……!?
「あたしはこの子もいるし、わざわざ城まで行かないよ。ま、城を占拠して、国をボロボロにしてくれた大魔王の娘が死ぬところはスカッとするだろうけどね」
やっぱりそう言う認識か……。まあ、大魔王が領地系をする理由なんてないからね。恨むならアマルティアと国王なんだけど、知る由もないか。
「……」
ガクさんがくいっと顎を部屋へ向ける。恐らく出発するぞ、と言いたいのだろう。僕達は小さく頷き、席を立とうとしたところでさらに衝撃な会話が聞こえてくる。
「そういえば別にこの前泊って行った客、勇者様だったんだろ?」
「そうなんだよ! 大魔王討伐の時にも来てたみたいだけど、顔なんて忘れてたから驚いたね」
「剣聖様と一緒に処刑の話を振りまいていたから、多分勇者様捕らえたんだろうね。わざわざ戻ってきてまでありがたい話じゃないか」
「まったくだ。新しい国王に剣聖様がなるらしいよ? これで景気が良くなるといいけどねえ」
そこまで話した後、おかみさん達は仕事に戻り僕達だけが残される。立ち尽くしていた僕達は早々に支度を始めた。
――十分もしないうちに宿の受付に勢ぞろいする。
「すまねぇ、チェックアウトだ」
「は? 料金は――」
「取っといてくれ。急ぐぞレオス」
「うん!」
馬車へ急ぎ、一気に町を出る。ここから城までは半日もあれば到着する! あの時は不意打ちだったけど、今度は助ける……!
あの時……? 僕はエリーと死に別れた後……う……
「大丈夫かいレオス?」
頭を押さえた僕を心配してくれるクロウに笑って手を上げて大丈夫だとジェスチャーする。
何だろう、ベルゼラのことを僕は知っている? 前世で? でもだったらどうして思い出さないんだろう……ソレイユもそのことには触れなかった。
そういえばエリィが「その内思い出す」みたいなことを言っていたような……
いや、今はそれは考えても仕方がない。とにかく助けるんだ。
アマルティア、お前は刺し違えてでも必ず倒してやる……
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