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第百五十五話 すっぽりと収まったというもの
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「さて、どうかな?」
【これだけいい水路なら綺麗な水が流れるってもんだろ】
昼食後。
僕達は再び川へとやって来ていた。池も完成したことだし、早く拠点で水を汲めるようにしたい。
水路は段々と下りになっていて途中でろ過できる沈殿槽などといった清潔に確保するための措置は取っている。
実家の水道と古代ローマの水道は偉大だ。
とはいえ――
【浄化の魔石をセットすればだいたい綺麗になるからこの水道はウルカが居ないとできなかった】
という便利なものがあり、ゼオラがここへ来る前に絶対必要だからと父さんのお店で上質な魔石が入荷するのを待って作っていたりする。
知恵が働くというか慣れている感じがある。村に住んでいたのかなゼオラ。
なのでそこまで神経質にならずともいいわけだけど、やはり毒などは完全に浄化できるまで時間がかかるのでなにも無い方がいい。
【蓋は後でいいのか?】
「とりあえず水が流れてからだね。ありがとうボルカノ」
【うむ。しかし、キレイな水だな】
【ここは割と北の方だからな。厳寒の月までまだあるのにあそこの山は雪が積もっているだろ? あそこから流れてくる水だからだろうな。ブラッディリーチも汚い水には寄り付かないし】
「そうなんだ」
ゼオラが指さす先にある雪山が冷たくてキレイな水を流しているそうだ。
だから魚も棲んでいるし、魔物も寄ってくる。
……故に、ここがどこも開拓しなかった理由だろうと付け加えてくれた。
「じゃあボルカノが来て減ったって言ってたのは誇張じゃないってことか」
【そうだな。到着した時はそこらじゅうに気配があったぞ。我が少し魔力を放ったら離れていったがな】
「助かるよ。僕はあまり戦いたくないし」
フォルドなら喜んで魔物に突っ込んでいくだろうけど、僕はそういう感じじゃないからね。
それはともかくその間この土地を死守していたわけだから騎士さん達の実力はかなり高いということだ。
ボルカノを復活させてしまった罪でここに来ることになったけど、国王様もそこは適当にしなかったようだ。
【うむ、美味い】
「クルルル♪」
「わふわふ」
ジェニファーは眠たそうにしていたのでタイガとお留守番である。美味しそうに水を飲む動物達を見て僕も喉がごくりとなる。
「……飲んでみようかな」
【これなら大丈夫だと思うぞ】
「うん! ……あ、美味しい」
澄んだ味って形容する感じかな? 泥臭さなども無いので飲みやすい。田舎の井戸水がこんな感じだったね。
「これは早く引かないと! よし、それじゃ板を抜くよー」
【わくわく】
今のはゼオラ……ではなくボルカノだったりする。最近ずっとラースさん達とばかり仕事をしていたので僕と一緒に居るのは久々だ。だからテンションが上がっているのかもしれない。
ぬっと顔を下げて覗き込んでくるボルカノの前で、せき止めていた板をスッと抜く。
「おおおお!」
【おおおお!】
「クルルル!」
「わんわんわん!!」
ざぁっと一気に川から水が水路に流れ出し、あっという間に池に向かっていく。
その勢いが凄くて僕達は大興奮。
そのまま池に向かって流れを追いかけていく。
「わふ? ……わおおおん!?」
すると背後でシルヴァがびっくりした声で吠えた。何事かと思い振り返ると、そこに驚くべきものが、居た。
「なんか水の流れが悪く……? あ!?」
【ぶはは! 運の悪いヤツだなあ】
僕の頭上で笑うゼオラも無理はない。水の流れが悪くなった原因……それはなんかでかい魚が詰まっていたからだ。
【ほう、ブラックサーモンか。この時期は脂がのっていて大変美味い魚だぞ】
ボルカノ曰く、サケの仲間っぽい魔物のようだ。今の時期は日本で言う秋なので秋鮭みたいな感じかな?
「というか水路は結構大きめに幅を取ったのに詰まるとは思わなかったよ」
【よしよし、我が獲ってやるぞ】
「嬉しそうだねえ」
オオグレさんと一緒で別にご飯は必要ないんだけど、口に入れるんだよね。みんなが食べている中で自分だけ食べられないのは失礼だし楽しくないのだとか。
いつもお茶やご飯をお腹からダイレクトに零しているオオグレさんもそういうのがあるのだろう。
さて、舌がないけど舌なめずりをするボルカノはびちびちと暴れているブラックサーモンに手を伸ばす。
【む、ボルカノ気をつけろ】
掴もうとしたことに気づいたのかブラックサーモンが一層暴れ出した。ゼオラが口を開いた瞬間、ボルカノの手を思い切り尻尾ではたいた!
「凄い音がしたけど!?」
【問題ない。我の鱗と骨を破壊できるほどではない。……今!】
「クルル!」
「やった……!」
ブラックサーモンの二度目の一撃を見切ったボルカノが手を弾こうとした尻尾を掴み、そのままの勢いで地面に叩きつけた!
【一撃か、流石はドラゴン】
「わんわん♪」
【なかなかの大物だな。バスレに捌いてもらって焼くのが良さそうだ】
「でかい……!」
目がバッテンになっているのではというくらいピクリともしないブラックサーモンは横に並ぶとゆうに僕の身長を越えていた。二メートル近くあるよ……。
【この歯には気をつけないとな。こやつは肉食ではないが噛まれると肉を噛みちぎられる】
「うわあ……」
怖い。
やはり僕は引きこもっているのが一番だと思う。
「っと、水が流れ始めたね。池に行こうか」
【こいつは我が持って帰ろう。……また引っ掛からないかな?】
「拡張するのは難しいからちょっと考えないといけないかもね」
しばらく見ていたけどブラックサーモンが引っ掛かることは無かったので拠点へと戻っていく僕達。
今夜はブラックサーモンでごちそうかなと思っていると、トーリアさんもブラッディリーチをしっかり狩って帰ってきた。
果たして池の水もしっかり溜まり、女性の騎士さんにとても感謝された。
さて、改良は必要そうだけどまずはひと段落かな?
【これだけいい水路なら綺麗な水が流れるってもんだろ】
昼食後。
僕達は再び川へとやって来ていた。池も完成したことだし、早く拠点で水を汲めるようにしたい。
水路は段々と下りになっていて途中でろ過できる沈殿槽などといった清潔に確保するための措置は取っている。
実家の水道と古代ローマの水道は偉大だ。
とはいえ――
【浄化の魔石をセットすればだいたい綺麗になるからこの水道はウルカが居ないとできなかった】
という便利なものがあり、ゼオラがここへ来る前に絶対必要だからと父さんのお店で上質な魔石が入荷するのを待って作っていたりする。
知恵が働くというか慣れている感じがある。村に住んでいたのかなゼオラ。
なのでそこまで神経質にならずともいいわけだけど、やはり毒などは完全に浄化できるまで時間がかかるのでなにも無い方がいい。
【蓋は後でいいのか?】
「とりあえず水が流れてからだね。ありがとうボルカノ」
【うむ。しかし、キレイな水だな】
【ここは割と北の方だからな。厳寒の月までまだあるのにあそこの山は雪が積もっているだろ? あそこから流れてくる水だからだろうな。ブラッディリーチも汚い水には寄り付かないし】
「そうなんだ」
ゼオラが指さす先にある雪山が冷たくてキレイな水を流しているそうだ。
だから魚も棲んでいるし、魔物も寄ってくる。
……故に、ここがどこも開拓しなかった理由だろうと付け加えてくれた。
「じゃあボルカノが来て減ったって言ってたのは誇張じゃないってことか」
【そうだな。到着した時はそこらじゅうに気配があったぞ。我が少し魔力を放ったら離れていったがな】
「助かるよ。僕はあまり戦いたくないし」
フォルドなら喜んで魔物に突っ込んでいくだろうけど、僕はそういう感じじゃないからね。
それはともかくその間この土地を死守していたわけだから騎士さん達の実力はかなり高いということだ。
ボルカノを復活させてしまった罪でここに来ることになったけど、国王様もそこは適当にしなかったようだ。
【うむ、美味い】
「クルルル♪」
「わふわふ」
ジェニファーは眠たそうにしていたのでタイガとお留守番である。美味しそうに水を飲む動物達を見て僕も喉がごくりとなる。
「……飲んでみようかな」
【これなら大丈夫だと思うぞ】
「うん! ……あ、美味しい」
澄んだ味って形容する感じかな? 泥臭さなども無いので飲みやすい。田舎の井戸水がこんな感じだったね。
「これは早く引かないと! よし、それじゃ板を抜くよー」
【わくわく】
今のはゼオラ……ではなくボルカノだったりする。最近ずっとラースさん達とばかり仕事をしていたので僕と一緒に居るのは久々だ。だからテンションが上がっているのかもしれない。
ぬっと顔を下げて覗き込んでくるボルカノの前で、せき止めていた板をスッと抜く。
「おおおお!」
【おおおお!】
「クルルル!」
「わんわんわん!!」
ざぁっと一気に川から水が水路に流れ出し、あっという間に池に向かっていく。
その勢いが凄くて僕達は大興奮。
そのまま池に向かって流れを追いかけていく。
「わふ? ……わおおおん!?」
すると背後でシルヴァがびっくりした声で吠えた。何事かと思い振り返ると、そこに驚くべきものが、居た。
「なんか水の流れが悪く……? あ!?」
【ぶはは! 運の悪いヤツだなあ】
僕の頭上で笑うゼオラも無理はない。水の流れが悪くなった原因……それはなんかでかい魚が詰まっていたからだ。
【ほう、ブラックサーモンか。この時期は脂がのっていて大変美味い魚だぞ】
ボルカノ曰く、サケの仲間っぽい魔物のようだ。今の時期は日本で言う秋なので秋鮭みたいな感じかな?
「というか水路は結構大きめに幅を取ったのに詰まるとは思わなかったよ」
【よしよし、我が獲ってやるぞ】
「嬉しそうだねえ」
オオグレさんと一緒で別にご飯は必要ないんだけど、口に入れるんだよね。みんなが食べている中で自分だけ食べられないのは失礼だし楽しくないのだとか。
いつもお茶やご飯をお腹からダイレクトに零しているオオグレさんもそういうのがあるのだろう。
さて、舌がないけど舌なめずりをするボルカノはびちびちと暴れているブラックサーモンに手を伸ばす。
【む、ボルカノ気をつけろ】
掴もうとしたことに気づいたのかブラックサーモンが一層暴れ出した。ゼオラが口を開いた瞬間、ボルカノの手を思い切り尻尾ではたいた!
「凄い音がしたけど!?」
【問題ない。我の鱗と骨を破壊できるほどではない。……今!】
「クルル!」
「やった……!」
ブラックサーモンの二度目の一撃を見切ったボルカノが手を弾こうとした尻尾を掴み、そのままの勢いで地面に叩きつけた!
【一撃か、流石はドラゴン】
「わんわん♪」
【なかなかの大物だな。バスレに捌いてもらって焼くのが良さそうだ】
「でかい……!」
目がバッテンになっているのではというくらいピクリともしないブラックサーモンは横に並ぶとゆうに僕の身長を越えていた。二メートル近くあるよ……。
【この歯には気をつけないとな。こやつは肉食ではないが噛まれると肉を噛みちぎられる】
「うわあ……」
怖い。
やはり僕は引きこもっているのが一番だと思う。
「っと、水が流れ始めたね。池に行こうか」
【こいつは我が持って帰ろう。……また引っ掛からないかな?】
「拡張するのは難しいからちょっと考えないといけないかもね」
しばらく見ていたけどブラックサーモンが引っ掛かることは無かったので拠点へと戻っていく僕達。
今夜はブラックサーモンでごちそうかなと思っていると、トーリアさんもブラッディリーチをしっかり狩って帰ってきた。
果たして池の水もしっかり溜まり、女性の騎士さんにとても感謝された。
さて、改良は必要そうだけどまずはひと段落かな?
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