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第百八十八話 人気者というもの
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「ウルカ様!」
「あ、バスレさん! ごめん心配をかけちゃって! 話は後で。ハリヤー、大丈夫かい?」
「わかりました」
アニーは動物達に任せてハリヤーの下へ行こうとするとバスレさんに呼び止められた。説明は後ということで獣医さんを連れて厩舎へ。
「どう?」
「……ふむ。風邪のようですな。栄養を取って水をしっかり飲ませれば回復するでしょう」
「か、風邪……!?」
どうやら珍しく重い風邪をひいたらしい。インフルエンザみたいなやつかな? そう思っていると獣医さんが口を開く。
「ただ、お年寄りなのであまり重い荷物や人を乗せて馬車を引くといったのは今後止めた方がいいかもしれないね。ゆっくり過ごさせてやると長生きするよ」
「はい。ありがとうございます」
獣医さんは微笑みながらハリヤーの鬣を撫でていた。お薬を混ぜた野菜のすりおろしを食べさせると、ハリヤーは『まだまだ現役です』とかそんな感じで鳴いた後、目を瞑った。
「大丈夫かなあ……」
「二、三日もすれば大丈夫だよ。……それより、本当に別の場所へ来たんだなあ。凄いな」
「すみません、無理を言って」
「ああ、それは構わないよ。お金はもらっているしね。ついでに他に動物が居れば診ておくけど? 明日まで暇だしね」
「あ、それなら牧場の牛さん達を診てもらおうかな? ジェニファーは?」
「こけー」
首を振る。元気だと言いたいらしい。
まあそういうことなら宿を案内して牧場まで案内しようかな?
ということでバスレさんにかくかくしかじかをする。
「まったく。驚かせないでください。シルヴァ達が寂しそうに鳴いていましたよ」
「あはは……咄嗟に飛んだからね……」
「ウルカちゃんはこの村の主だから、あんまり無理しちゃいけないよ?」
そこで縁側に座っていたサーラさんが微笑みながら言う。確かにどこかでなにかあった時に誰に知られていないのは危ないかもしれないね。
「うん、ありがとうサーラさん! それじゃちょっと家を建ててくるよ。アニー、行こうか」
「うん! あ、おばあちゃん初めまして! アニーです」
「おや、これは可愛いお嬢ちゃんだね。サーラよ、よろしくね」
「お」
アニーがサーラさんを見て丁寧な挨拶をしていた。今までは元気よくだったけど、ぺこりとお辞儀をしていた。
「ウルカちゃんの恋人かい?」
「うんー!」
「あ、そこはそうなんだ。アニー、挨拶はお母さんと練習でもしたの?」
「そうだよー。ウルカ君と結婚するならきちんとしないと嫌われるって言ってたの」
「まあ、それは確かに。貴族になるわけですから、小さい内に訓練をしておくのがいいとは思いますね」
なるほど。どうなるか分からないと考えていたけど、後数年で成人だしそのつもりでいた方がいいのかもしれないなあ。
「私もお散歩へ行こうかしらね。あら、あれはなにかしら?」
「え?」
「ジェットコースターだよ! 乗るます?」
サーラさんが指したのはアニーの言う通りジェットコースターだった。敬語とかごちゃまぜだけどまあ今はいいだろう。
「シルヴァとフォルテに引いてもらえば移動できるかな? いい?」
「うぉふ!」
「クルル!」
頼もしい返事が来たので、僕達は三連のジェットコースターに乗り込むことに。
先頭はアニーと僕。その後ろにサーラさんとタイガ。最後尾に獣医さんとジェニファーが乗る。ハリヤーは寝息を立てていたので寝かせておく。
「宿の担当は今日、ベルナさんですよ」
「うん! 獣医さんを連れて行くよ。しゅっぱーつ!」
その言葉を受けて二頭はジェットコースターを引き始める。魔物だけあって体の大きさよりも力が強い。
「わーい!」
「これは馬車より面白いわね」
「意外と揺れないもんだ」
道を整備しているのは僕だから鼻が高い。
ゴロゴロと音を立てながら自宅から少し進むと池で騎士やオオグレさんが釣りをしているのが見えた。
「あ、ござるー!」
【んあ? 今、聞こえるはずのない声が聞こえたでござる!? 拙者もしかして危ない……!】
「あんたもう死んでるから怖くないだろ」
【違いないでござる。はて? ……おお、アニーではござらんか……!】
「やっほー!」
オオグレさんが騎士達にツッコミを入れられていた。アンデッドに寛容で嬉しい限りだ。
「お、なんか可愛い女の子がいるな? どこの子だ?」
【あれはウルカ殿の恋人でござるよ】
「な……!? お、俺にも居ないのに……。貴族すげえ」
多分貴族は関係ないと思うけど……。
オオグレさんは釣りを止めてこちらへ駆けてきた。
【これはサーラ殿も】
「こんにちはオオグレさん」
「あわわわわわ……あ、アンデッド……」
「ござるは大丈夫だよー」
「うん。彼は僕の眷属でオオグレさんという剣士です」
【いい反応でござる。よろしくお願い申す】
そういえば獣医さんは初めて会うのか。
とか考えていると、カラカラ笑いながらオオグレさんはアニーを抱っこして僕に尋ねてくる。
【ところでアニーはどうしてここへ来たでござるか?】
「僕の転移魔法でちょっとね。とりあえず獣医さんを宿へ送ってから家を建てようと思ってるんだ」
「遊ぼうー!」
【ふむ、久しぶりなのでそれも良かろう。では拙者も】
「空いてますよ」
【いやはや、これは申し訳ないでござる】
サーラさんはもう慣れたのか……。早いなあ。
オオグレさんが隣に座ると、アニーは目を輝かせてから大きな声を上げた。
「しゅっぱーつ!」
「わおわおーん♪」
「クルルルル♪」
楽しそうでなによりだ。
さて、今日も家を作らないとね。
「あ、バスレさん! ごめん心配をかけちゃって! 話は後で。ハリヤー、大丈夫かい?」
「わかりました」
アニーは動物達に任せてハリヤーの下へ行こうとするとバスレさんに呼び止められた。説明は後ということで獣医さんを連れて厩舎へ。
「どう?」
「……ふむ。風邪のようですな。栄養を取って水をしっかり飲ませれば回復するでしょう」
「か、風邪……!?」
どうやら珍しく重い風邪をひいたらしい。インフルエンザみたいなやつかな? そう思っていると獣医さんが口を開く。
「ただ、お年寄りなのであまり重い荷物や人を乗せて馬車を引くといったのは今後止めた方がいいかもしれないね。ゆっくり過ごさせてやると長生きするよ」
「はい。ありがとうございます」
獣医さんは微笑みながらハリヤーの鬣を撫でていた。お薬を混ぜた野菜のすりおろしを食べさせると、ハリヤーは『まだまだ現役です』とかそんな感じで鳴いた後、目を瞑った。
「大丈夫かなあ……」
「二、三日もすれば大丈夫だよ。……それより、本当に別の場所へ来たんだなあ。凄いな」
「すみません、無理を言って」
「ああ、それは構わないよ。お金はもらっているしね。ついでに他に動物が居れば診ておくけど? 明日まで暇だしね」
「あ、それなら牧場の牛さん達を診てもらおうかな? ジェニファーは?」
「こけー」
首を振る。元気だと言いたいらしい。
まあそういうことなら宿を案内して牧場まで案内しようかな?
ということでバスレさんにかくかくしかじかをする。
「まったく。驚かせないでください。シルヴァ達が寂しそうに鳴いていましたよ」
「あはは……咄嗟に飛んだからね……」
「ウルカちゃんはこの村の主だから、あんまり無理しちゃいけないよ?」
そこで縁側に座っていたサーラさんが微笑みながら言う。確かにどこかでなにかあった時に誰に知られていないのは危ないかもしれないね。
「うん、ありがとうサーラさん! それじゃちょっと家を建ててくるよ。アニー、行こうか」
「うん! あ、おばあちゃん初めまして! アニーです」
「おや、これは可愛いお嬢ちゃんだね。サーラよ、よろしくね」
「お」
アニーがサーラさんを見て丁寧な挨拶をしていた。今までは元気よくだったけど、ぺこりとお辞儀をしていた。
「ウルカちゃんの恋人かい?」
「うんー!」
「あ、そこはそうなんだ。アニー、挨拶はお母さんと練習でもしたの?」
「そうだよー。ウルカ君と結婚するならきちんとしないと嫌われるって言ってたの」
「まあ、それは確かに。貴族になるわけですから、小さい内に訓練をしておくのがいいとは思いますね」
なるほど。どうなるか分からないと考えていたけど、後数年で成人だしそのつもりでいた方がいいのかもしれないなあ。
「私もお散歩へ行こうかしらね。あら、あれはなにかしら?」
「え?」
「ジェットコースターだよ! 乗るます?」
サーラさんが指したのはアニーの言う通りジェットコースターだった。敬語とかごちゃまぜだけどまあ今はいいだろう。
「シルヴァとフォルテに引いてもらえば移動できるかな? いい?」
「うぉふ!」
「クルル!」
頼もしい返事が来たので、僕達は三連のジェットコースターに乗り込むことに。
先頭はアニーと僕。その後ろにサーラさんとタイガ。最後尾に獣医さんとジェニファーが乗る。ハリヤーは寝息を立てていたので寝かせておく。
「宿の担当は今日、ベルナさんですよ」
「うん! 獣医さんを連れて行くよ。しゅっぱーつ!」
その言葉を受けて二頭はジェットコースターを引き始める。魔物だけあって体の大きさよりも力が強い。
「わーい!」
「これは馬車より面白いわね」
「意外と揺れないもんだ」
道を整備しているのは僕だから鼻が高い。
ゴロゴロと音を立てながら自宅から少し進むと池で騎士やオオグレさんが釣りをしているのが見えた。
「あ、ござるー!」
【んあ? 今、聞こえるはずのない声が聞こえたでござる!? 拙者もしかして危ない……!】
「あんたもう死んでるから怖くないだろ」
【違いないでござる。はて? ……おお、アニーではござらんか……!】
「やっほー!」
オオグレさんが騎士達にツッコミを入れられていた。アンデッドに寛容で嬉しい限りだ。
「お、なんか可愛い女の子がいるな? どこの子だ?」
【あれはウルカ殿の恋人でござるよ】
「な……!? お、俺にも居ないのに……。貴族すげえ」
多分貴族は関係ないと思うけど……。
オオグレさんは釣りを止めてこちらへ駆けてきた。
【これはサーラ殿も】
「こんにちはオオグレさん」
「あわわわわわ……あ、アンデッド……」
「ござるは大丈夫だよー」
「うん。彼は僕の眷属でオオグレさんという剣士です」
【いい反応でござる。よろしくお願い申す】
そういえば獣医さんは初めて会うのか。
とか考えていると、カラカラ笑いながらオオグレさんはアニーを抱っこして僕に尋ねてくる。
【ところでアニーはどうしてここへ来たでござるか?】
「僕の転移魔法でちょっとね。とりあえず獣医さんを宿へ送ってから家を建てようと思ってるんだ」
「遊ぼうー!」
【ふむ、久しぶりなのでそれも良かろう。では拙者も】
「空いてますよ」
【いやはや、これは申し訳ないでござる】
サーラさんはもう慣れたのか……。早いなあ。
オオグレさんが隣に座ると、アニーは目を輝かせてから大きな声を上げた。
「しゅっぱーつ!」
「わおわおーん♪」
「クルルルル♪」
楽しそうでなによりだ。
さて、今日も家を作らないとね。
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