俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪

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第四章:風の国 エリアランド王国編

第七十五話 ひとまずの別れ?

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 ゆっくりと接舷し、俺達は無事港へと到着。

 地面の固さを感じながら、乗船していた人達と共に一か所へ集まっていた。


 「それでは急ピッチで修理を進めます。一週間もあれば出航できると思うので、それまでには戻ってきてください」

 はい、と、俺達全員に証明チケットを手渡し、別のお客さんのところへと向かう船員。これが無いと乗せてくれないらしいので失くさないようカバンへとしまう。

 「さて、どうするかな……とりあえず宿探しからか。お前達はどうするんだ? 俺は船が出るまでここで観光でもしておくよ」

 「あ、そうか。忘れてたけど、同行してるわけじゃないんだもんね。ボク達は風斬の魔王様へ会いに行ってくるからここでお別れだね」

 ルルカが思い出したように言う。もう少し寂しがって欲しいものだが、それはそれで面倒なので言わないでおく。

 「ここから馬車で二日くらいみたいなので、フエーゴ行きの船に乗るため戻ってきますよ。その時はまた一緒に行きましょう」

 「ああ、どうせ行き先は一緒だしな」

 ティリアも俺が同行しないことについて特に言及がないところをみると、そのつもりはないみたいで安心する。

 後、全然関係ないが、馬車は乗る時先に乗せていたみたいで最初気付かなかったけど、さっき降りるとき豪華な馬車をリファがドヤ顔で乗って下船していた。

 「着いて来てくれないのか……」

 リファが残念そうに言い、目に見えて肩を落とす。こいつは感情がハッキリしていて分かりやすいのがいいな。

 「そうだな。アウロラが俺をここに寄越した本当の理由は気になるけど、あいつの言い分としては『好きに生きていい』だったから、気にしないで生きていくことにするつもりだ。……あのデヴァイン教とやらを見る限り、メリーヌ師匠も気になるしな」

 総本山へ向かったメリーヌ師匠が今一番の懸念点だ。アウロラを称えているようだけどどうにも胡散臭い。フエーゴに行った後はそっちへ向かうつもりだったりする。

 そんな事を考えていると、ふいに空が翳ったので、俺は上を見上げる」

 「ん? ありゃ……ドラゴン!?」

 空を数匹のドラゴンが飛んでいた。あれ、危ないんじゃないか?

 「ああ、あれは竜の騎士ドラグーンですね。この国は森や林と平野がきれいに分散している地形なので、上空からの攻撃や偵察が有効なんです。あの高さを狙える武器もありませんしね。乗っているのはワイバーンなのでドラゴンの親戚みたいな感じですけど」

 竜の騎士……ということはやっぱり武器は槍なのだろうか? 少し興味はあるけど、ここでノコノコと着いて行ったらおそらく何かに巻き込まれることになるであろうと勘が告げていた。

 「ふ、ふーん。まあ俺には関係ないな」

 「……気になるんだ」

 ルルカに言われてドキッとする。顔に出ていただろうか。

 「そんなことない」

 「カケルの武器は槍だしな、竜の騎士もそうだぞ」

 やっぱりかー!

 何故か嬉しそうに言うリファ達に、俺はくるりと海岸へ向き、背中越しに手を振る。

 「ほら、早く行けよ。一週間なんてすぐ来るぞ」

 「……そうですね、行きましょうリファ、ルルカ」

 「ちぇー」

 「残念だ……」

 ティリアが二人を窘めてくれたようで、気配が遠ざかっていくのを背中で感じる。

 また一週間後に会うことになるけど、このままメリーヌ師匠を追う船に乗ってもいいか? ま、その辺りは後で考えるとして、俺はカバンからずるりとクラーケンの足を取り出した。あの時、海に全部捨てている中、どさくさに紛れて一本カバンに収納しておいたのだ。


 「……食えるだろうか……」

 でかい。

 それは間違いないが味はどうだろう……砂浜に行って俺は火を熾すことにした。

 「≪炎弾≫」

 適当に木を集めて少し切ったクラーケンの足を焼く。そろそろ頃合いだと思い、一切れ口に運ぶと……


 「おええええええ……」

 臭い!? これはアンモニア臭か!? おえええ!? それにめちゃくちゃ固いししょっぱい!

 「ダイオウイカ、みたいなものか……」

 するとナルレアが話しかけてきた。

 <そのようですね、カケル様はダイオウイカを食したことがありませんからレシピはありませんね>

 これは自分で調理法を考えろということか……スルメなら食ったことあるが、どうもそれとは一線を画すらしく、まったく閃かなかった。

 「現時点をもってクラーケンの足を破棄! これより帰還する!」

 <……>

 そこはノッてくれよ!? 

 一人で叫んでいたのが気恥ずかしくなり、俺は砂浜へクラーケンの足を捨ててその場を立ち去ろうと振り向く。

 するととそこに……


 「残念でしたねお嬢様。美味しくないそうです」

 「食べごたえはありそうでしたけど……残念です」

 「段々臭いがきつくなってきたわね、埋めた方がいいんじゃ?」

 ティリア達が立っており、ガクッと俺は崩れる。

 「お前等行ったんじゃなかったのかよ!?」

 「いえ、きっとクラーケンの足を食べるのだろうと思って隠れて着いてきました」

 俺が叫ぶと、ティリアが答えてくれた。キリッとした顔で言われてもなあ……後、見てたのか……

 「お嬢様の食い意地は今に始まったことじゃないしね。ボクとしてはクラーケンを食べようだなんて人間には会ったことが無いから興味深かったよ? たこ焼きもそうだけど、カケルさんの発想は見ていて面白いかな。さて、それじゃ食べ物にはありつけなかったし、そろそろ本当に行きましょう。夜の森は危ないですから」

 「そうなのか? もう夕方近いし、途中に町が無いなら一泊して行った方がいいんじゃないか?」

 「あまり猶予はありませんし、朝から出ても一日は野営になるでしょう。それに私達に勝てる人や魔物はそう居ないので大丈夫ですよ」

 ニコッと笑い、今度こそティリア達はここから立ち去って行った。

 「……俺も行くか……」

 とりあえず宿を探そう。

 できればユニオンで魔物討伐の依頼でもしてレベルとお金を稼いでおくかな……。

 最近まで必ず誰かいたので、何となく寂しさを感じながら町中へ向かって歩き出す。


 
 「臭っ!? 何この臭い!?」

 「わんわん!」

 「あ、ダメよコロちゃんそんなのを口にしたら!?」

 「わぉえぇぇぇ……」

 「コロちゃーん!? 毒、毒なのね!? 誰の仕業かしら……! 見つけて警備団へ突きだしてやる……!」




 「やべっ!?」

 俺は慌てて海岸から駆け出した。
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