俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪

文字の大きさ
202 / 253
第八章:エスペランサ動乱編

第百九十四話 絶体絶命からの救援

しおりを挟む
 
 一瞬。

 ほんの一瞬の出来事だった。国王へ話しかけようと、まばたきをした瞬間。たったその一瞬で、真横にいたルルカが捕えられ、リファが肩口から胸のあたりまでバッサリ斬られていた。
 フードを被った人影はルルカを串刺しにしたまま、リファの髪を掴み俺とジェイグから距離を取った。

 「う……」


 「ルルカ! リファ! くそ……!」

 俺が駆け出そうとしたところで、フードをかぶった男が俺達に手を翳す。

 「≪神経の楔≫」

 「ぐ……!?」

 「動けない!?」

 芙蓉とティリアが叫び、俺も体を動かそうとするが、う、動か、ねぇ……!? 何だこりゃ、魔法か!? だったら……!

 「ナルレア!」

 <動いています! どうやら私には効かないみたいですね! ルルカ様とリファ様を放しなさい!>

 「フッ……そう言われて素直に手放すヤツは居ないさ? いいのかい? このままこの子達の首を刎ねてトドメを刺してもいいんだがね?」

 「う、うう……」

 そう言ってルルカから刃を引き抜き、足元に居るリファの頭に突きつける。その直後、飛びかかろうとしたナルレアの動きが止まる。

 <カケル様……!>

 「すまん、ナルレア……今は動くな……」

 「カ、カケルさ、ん……」

 まずい、ルルカの顔が青白くなってきた……! 当然だが、出血が酷いせいだ。『還元の光』があればすぐに回復してやれるのに!

 「カケルさん! メリーヌさんが!」

 「師匠!? さっき倒れた音がしたのはまさか……!?」

 首も動かない状態だが、ごほごほと師匠が咳き込む声が聞こえてくる。

 「(ぐ、ぬかった……斬られるまでまるで気配を感じなかったわい……ル、ルルカにリファもやられたのじゃな……嫌な予感はこれじゃったか……こ、これで気付いてくれれば、よ、良いが……)≪爆裂轟弾≫!」

 「メリーヌさん、そんな体で魔法を使ったら!?」

 ドゴォォォン!!

 どうやら師匠が放った魔法がどこかに着弾し、轟音が響き渡り、師匠がか細い声で呟いた。

 「後は……任せるぞ……フフ、若返ってからお主らとの旅は楽しかったのう……ここまで、のよう――」

 「おい師匠!? 嘘だろ!?」

 「メリーヌさん!」

 



 ◆ ◇ ◆






 ――メリーヌの大魔法が放たれる少し前のユニオン――



 「ごめんなさい! ウチの猫が飛び出しちゃって!」

 「大丈夫。へっくんはこれくらいじゃへこたれない」

 「チャーさん、こっちに来るの」

 「にゃー……うずうずしてしまう……」

 アニスがチャーさんをハニワから引きはがすと、ハニワは慌ててメガネをかけた女の子の肩へと避難した。そこへフェアレイターがクロウとアニスを迎えに席までやってくる。

 「騒がしくして悪かったのう」

 「がっはっは! 爺さんの孫か? ……って、あんたかなり腕が立つな?」

 「さて、どうかな? お主は魔王か」

 「おう、土刻の魔王フェルゼンとは俺のことだ。どうだい、いっちょ手合せしてくれねぇか?」

 イスに座ってニヤリと笑う

 「フェルゼンさん、いきなりは失礼ですよ!? 俺はグランツと言います。フェルゼンさんを除いた三人で燃える瞳というパーティを組んでいます」

 「エリンです! あなた可愛いわね~無愛想なのはトレーネそっくりだけど」

 エリンがアニスの髪の毛を撫でながらそう言うと、メガネの女の子も前に出てきて、チャコシルフィドを撫でながら口を開いた。

 「実は私もそう思っていた。私はトレーネ、よろしく。こっちはハニワゴーレムのへっくん」

 「~♪」

 紹介されたへっくんこと、ヘレ・クヴァーレが肩の上で手を前にして丁寧なおじぎをする。

 「これはどうもご丁寧に……私はアニス。で、こっちがクロウ君と猫のチャーさん」

 「あ、ああ、クロウです。よろしく……ん? グランツ? 燃える瞳? どこかで聞いたような……」

 「にゃー」

 「~!?」

 わざとらしく猫の鳴き声をだすチャコシルフィドの目はハニワを狙っていた。そこでクロウが何かを思い出し、大声を上げた。

 「あー! 燃える瞳でグランツって、カケルの知り合いじゃなかったか!?」

 「き、君! カケルさんを知っているのか!?」

 「お、そうそう、そうだぜ! 俺達はカケルの知りあいだ! あいつは今どこにいる?」

 「うーん、フェルゼンさんが言うとサギっぽく聞こえるのは何故かしら……」

 エリンが苦笑しながら言うと、クロウが話を続ける。

 「カケルは今、リファさん……お姫様が殺されたという噂を聞いてお城に行っているんだ。リファさんは死んでないことを言いにね。僕達はお留守番ってところさ」

 「カケルはお城にいる! 兄貴、すぐ行こう、今行こう!」

 トレーネが装備一式を手に取り、立ち上がるが、それをフェアレイターが諫める。

 「悪いが今は止めてくれ。というか嫌でも出向くことになるじゃろうからそれまで待ってくれるか? とりあえ魔王と出会えたのは僥倖だった。嫌な予感がしておってな、城から姫殺しの誤解が解けただけで戻って来るとは思えないのじゃ」

 「あなたは?」

 「ん? そうか、自己紹介をしておらんかったか。わしの名はフェアレイター。破壊神の力の一部を司る者だ」

 ザッ……!

 その言葉を聞いて即座に構えるグランツとエリン、そしてトレーネ。だが、戦闘狂であるフェルゼンは動いていなかった。

 「フェルゼンさん!」

 「グランツよ、慌てるな。この爺さん、殺気の一つも出しちゃいないぜ? 訳ありか? いや、あんたよりも強いのが出てくる、か?」

 「どうじゃろうな。わしの勘が厄介事が起こると告げておる――」

 ドゴォォォン!!

 「な、何だ今の轟音!?」

 グランツが叫ぶと、フェアレイターが即座に外に出て、ユニオンの屋根に登った。音がした方を目を細めて確認し、外に出てきたクロウ達に声をかける。
 
 「クロウ、アニス! それとカケルに縁がある者達よ! どうやら、悪い予感が当たったらしいわい。城へ急ぐぞ!」

 「へへ、面白くなってきたじゃねぇか。カケルが居ると飽きないなやっぱ。グランツ、油断するなよ? 教えたことをやりゃあいい」

 「……はい! 行きましょう!」

 「アニス、乗れぃ!」

 「うん」

 フェアレイターの肩にアニスが乗り、そのまま駆け出すフェアレイター。クロウもローブを羽織ってその後を追いかけはじめる。

 「何が来ても特訓の成果をするだけだ……!」

 「カケル、やっと会える……! へっくん、頑張ろう」

 「~!」

 コクコクと頷き、土で作った剣と盾、そして兜を装備したヘレ・クヴァ―レがトレーネの頭へと移動する。通りを全力で走っている時、フェアレイタ―は別の場所から城に向かう二つの影を見つけた。

 「(む、あれはもしや……さて、大事になってなければ良いが)」
しおりを挟む
感想 586

あなたにおすすめの小説

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた

アイイロモンペ
ファンタジー
 2020.9.6.完結いたしました。  2020.9.28. 追補を入れました。  2021.4. 2. 追補を追加しました。  人が精霊と袂を分かった世界。  魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。  幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。  ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。  人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。  そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。  オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...