34 / 258
波乱の学校生活
32.孤高の生徒に俺はなる……かもしれない
そんなわけで強制的に学校へ行かされることになった訳だが、正直な話としては面倒である。
なんせ子供は好奇心の塊だ。
じゃれついてくる子は必ずいる。
そうなると邪険に扱うのが難しいんだよな……。例えばルークとルーナを部屋から追い出すとするだろ? そしたら大泣きするんだ。
懐かれたら終わりだと思っていい。まあ双子は可愛いが。
で、前世の友人関係はというと悪くなかったと思う。カラオケ合コン、ゲーセンなどなどよく遊んでいたしな。
だが、あの事件以降、あまりよろしくない事務所に出入りしていたことや、路地裏の怪しい店とか情報屋に接触していたことを責められたもんだ。
『家族はそんなことを望んでいない』とか言ってさ。
俺はそいつをぶん殴った。全力で。
だってそうだろ? 他人のお前になにが解るかって話だ。
実際、家族はそう思っていたかもしれない。両親も妹も、亡くなった本当の両親やカーネリア母さん達と同じくらい優しかったから。
だけどそれがどうした? そうだったかもしれないしそうじゃなかったかもしれないんだ。
残された俺の幸せ?
俺の幸せは恐らく家族が死んだ時点で終わったのだ。それを蚊帳の外に居る人間にとやかく言われる筋合いはないのだ。
……心配してくれるやつもいたが、俺を売るやつも居た。
俺がゼルガイド父さん達のフォーゲンバーグ家から早く出たいのは、俺という人間が相手を倒そうとした時、それが弱点になり得る可能性があるからだ。
だからなるべく人に知られないのが好ましい――
「ひとがいっぱいー!」
「アルにいちゃ、いっぱい!」
「はいはい。校庭に集合みたいだね、家族も行くのかな?」
考え事をしながら進んでいくと、校庭に人が集まっていき、カーネリア母さんが口を開く。
「みたいだね、あたしたちは後ろで見てるから、行っておいで。ほら、ルークにルーナ、抱っこしてあげるからおいで」
「にいちゃとおてて繋ぐー!」
「二人とも、アルは今からあそこに行くんだ。ほらパパとママと一緒に行くよ」
「やー!」
強く掴んでしゃがみ込む双子に苦笑する。
さすがにこのまま並ぶわけにもいかないので俺も目線を合わせて二人に言う。
「離してくれないと、家に帰ったら一緒に遊ばないぞ?」
「「やーー!!」」
ガーンといった効果音が出てきそうなくらいショックな顔ですぐに手を離す双子。可愛い。俺は二人の背中を軽く叩いてから立ち上がる。
「それじゃ、行ってくるよ。どうせ面白い話でもないだろうけど」
「こら、そんなこと言うんじゃないの!」
「あはは、冗談だって! 行ってくるよ」
「ばいばい……」
今生の別れみたいな顔で手を振るルーナに返してから前を向いて集合場所へ向かう。
「さて、一番後ろでいいかな」
貴族は概ねゼルガイド父さんやさっきの嫌な奴(もう名前を忘れた)みたいな城勤めの人や、ライノス父さんみたいに他に仕事を持っていて適当な土地に屋敷を持っている家族くらいなので、ここに通うのは一般人が多いらしい。
「侯爵で貴族の息子に近づく奴も少ないかな? ここはあえて尊大な態度で嫌な奴アピールを……」
「嫌な奴、ですか?」
「うん、あんまりクラスメイトに近づいて欲しくない……って君、誰?」
「僕はラッドって言います! さっきの双子って兄妹ですか? 可愛かったですね!」
「ああ、うん、自慢だからね。それじゃ俺はこれで――」
「待って!? 今日から入学だよね!? 一緒に行こうよ!」
――なるべく人に関わらないのが好ましい、のだが、早速妙なのに捕まった……。
とりあえず無視して歩き始めるのだが――
「いっぱい人が居るね! 友達いっぱいできるかな? 楽しみで昨日は眠れなかったよ。あ、そうそう僕にも妹がいるんだよ。ひとつ下だから来年入って来るんだ。あの双子ちゃんたちはいくつ?」
ぐいぐい来る。
明らかに嫌そうな顔をしている俺に。だけどお構いなしにペラペラと話しかけてくるんだこれが……
<凄い圧です>
そうだねリグレット……。
空気を読まない……というか子供らしく読めないと言うべきか。
集まっている同年代を見て目をキラッキラさせているのは子供らしくていいと思うけどな。
「悪い、俺に話しかけないで――」
「居たぞラッド様だ!!」
「げ!? もう見つかった!」
「お待ちください一人なんて危険すぎますぞ!!」
「さっさと列に入らないと目立っちゃうな! それじゃ先に行くね! 君、名前は!」
「あ? ああ、アル……」
「アル、またね!」
慌ただしく駆け出し、振り返りながら笑顔を向けてくるラッド。
思わず片手を上げて見送ってしまった。
直後、俺の脇を平民とは違う服を着た男と爺さんがすり抜けていく。
「……どっかの貴族の息子かな? 同じクラスにならないといいけど」
<一年くらいはいいんじゃないんですか? 旅に出たらどうせ顔を合わせないでしょうし>
「そこは妥協できないかなあ」
リグレットの言葉に、俺は頭を掻きながら列の一番後ろに並ぶのだった。
あなたにおすすめの小説
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる
アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。
自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。
魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。
しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。
前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。
「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。