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裸の孝太郎の胸筋に愛おしそうにキスして、舌を這わせた。春の浴衣の襟から、孝太郎は手を滑り込ませた。
「今の春さん……やらしいです。すごく」
孝太郎の腹筋を舐めていたら、春は浴衣を緩めて脱がせられる。顔を上げて春が言った。
「ぼくって実は……バイだったんでしょうか? 孝太郎くんの裸、ドキドキします」
「おれはノンケって事にしてて欲しいです。だって男はおれ以外興味無いですよね」
「そうですね……ッあ……」
孝太郎の手がいきなり春の乳首を摘まむ。艶めいた声上げた春に、孝太郎が身を乗り出して帯を解いて浴衣をはだけさせる。布団の中で互いの身体を触り合い、素肌で抱き合う。
「きもちいい……おれ春さんと裸でくっつくだけで、いつもめちゃくちゃ気持ちいいです。ほんまに」
ぼくもです、と春は答える。1つの生き物になったかのように身体をぴったりと密着させて脚を絡ませながら深いキスを繰り返す。ペニスを擦り合わせるように腰を揺らし出した孝太郎に、少し待ってください、と春はストップをかける。そして春は布団の中に潜り、孝太郎が止める前に勃起したペニスに舌を這わせた。
「春さん!!」
ぎょっとした声を上げた孝太郎が春の頭を押さえて、自身の股間から引き剥がす。
「ッ今、何……!」
目を白黒させて慌てる孝太郎に春は言った。
「上書き、です」
「まさかこういう意味やとは……ッ……春さん……無理ですって……無理しないで下さい、嫌われたくないです、ほんまに」
そう言って孝太郎は腰を引いたが、布団の中で春は追いかける。
「嫌わないし無理してません。それとも、されたくないですか」
「そんなんおれ春さんにやったら何されてもいいですよ! でもこれは……こんなんするの気持ち悪いでしょ。春さんが……」
否定するように春はまた、れろ、と孝太郎のペニスに舌を這わせる。
「ッあ……!」
喘いだ孝太郎が身体を震わせる。春は愛撫を続けた。上書きする、との言葉通りまるで綺麗に毛づくろいをする猫のように余すところなく舐めていく。恥ずかしいのか孝太郎は落ち着きなく、身をよじってあたふたとしていた。時折春の肩を押して孝太郎はフェラチオを止めようとしていたが、春は反対にすっぽりと咥えてしまった。
「あの……ッあ……春さん、あ!」
いきなり孝太郎は春の口の中で暴発させた。春は驚いたが、大人しく口で精を受け止める。孝太郎は、ごめんなさい、と泣きそうな声で謝っていた。起き上がった春は、手を伸ばしてテーブルの上のティッシュを取り吐き出した。
「すみません、お茶……」
春がそう言うと孝太郎は跳ね起き、裸のままバタバタと冷蔵庫まで走り冷たい緑茶のペットボトルを急いで春に渡す。春はそれを口にして、ふー、と息をついた。
「上書き、できましたか?」
そう笑顔で春が聞くと孝太郎は、できすぎました、と膝を抱えて頭を伏せた。
「ごめんなさい、今頭の中でずっとさっきの反芻してます……もぅ……やばい……上書きどころかなんもかんも全部ぶっ飛びました。春さんの口の感触ずっと残りすぎてヤバいです……」
よかった、と笑う春に孝太郎は情けない声を出した。
「なんでこんなん、してくれるんですか……」
「好きだからに決まってるじゃないですか。ぼくがどのくらい好きか、伝わりましたか?」
はい、と答えた孝太郎が、うー、と唸って顔を覆った。
「やっぱり春さんどんどんかっこよぉなってる……大好き……」
そう言って孝太郎が甘えるように、春にもたれかかる。孝太郎を抱き寄せて春は言った。
「ぼくがかっこよくなれてるとしたら孝太郎くんのおかげですよ。こんな素敵な子が毎日ぼくに好きだって言って自信持たせてくれるから……。背伸びしてでも、釣り合うようになりたいんです」
見つめあい、どちらともなくキスをした。何度も何度もキスしながら、また横になる。好き、と互いに繰り返した。誰にも邪魔されない旅館の一室で裸のまま、飽きるまで触り合って慈しむようにじゃれた。
「今の春さん……やらしいです。すごく」
孝太郎の腹筋を舐めていたら、春は浴衣を緩めて脱がせられる。顔を上げて春が言った。
「ぼくって実は……バイだったんでしょうか? 孝太郎くんの裸、ドキドキします」
「おれはノンケって事にしてて欲しいです。だって男はおれ以外興味無いですよね」
「そうですね……ッあ……」
孝太郎の手がいきなり春の乳首を摘まむ。艶めいた声上げた春に、孝太郎が身を乗り出して帯を解いて浴衣をはだけさせる。布団の中で互いの身体を触り合い、素肌で抱き合う。
「きもちいい……おれ春さんと裸でくっつくだけで、いつもめちゃくちゃ気持ちいいです。ほんまに」
ぼくもです、と春は答える。1つの生き物になったかのように身体をぴったりと密着させて脚を絡ませながら深いキスを繰り返す。ペニスを擦り合わせるように腰を揺らし出した孝太郎に、少し待ってください、と春はストップをかける。そして春は布団の中に潜り、孝太郎が止める前に勃起したペニスに舌を這わせた。
「春さん!!」
ぎょっとした声を上げた孝太郎が春の頭を押さえて、自身の股間から引き剥がす。
「ッ今、何……!」
目を白黒させて慌てる孝太郎に春は言った。
「上書き、です」
「まさかこういう意味やとは……ッ……春さん……無理ですって……無理しないで下さい、嫌われたくないです、ほんまに」
そう言って孝太郎は腰を引いたが、布団の中で春は追いかける。
「嫌わないし無理してません。それとも、されたくないですか」
「そんなんおれ春さんにやったら何されてもいいですよ! でもこれは……こんなんするの気持ち悪いでしょ。春さんが……」
否定するように春はまた、れろ、と孝太郎のペニスに舌を這わせる。
「ッあ……!」
喘いだ孝太郎が身体を震わせる。春は愛撫を続けた。上書きする、との言葉通りまるで綺麗に毛づくろいをする猫のように余すところなく舐めていく。恥ずかしいのか孝太郎は落ち着きなく、身をよじってあたふたとしていた。時折春の肩を押して孝太郎はフェラチオを止めようとしていたが、春は反対にすっぽりと咥えてしまった。
「あの……ッあ……春さん、あ!」
いきなり孝太郎は春の口の中で暴発させた。春は驚いたが、大人しく口で精を受け止める。孝太郎は、ごめんなさい、と泣きそうな声で謝っていた。起き上がった春は、手を伸ばしてテーブルの上のティッシュを取り吐き出した。
「すみません、お茶……」
春がそう言うと孝太郎は跳ね起き、裸のままバタバタと冷蔵庫まで走り冷たい緑茶のペットボトルを急いで春に渡す。春はそれを口にして、ふー、と息をついた。
「上書き、できましたか?」
そう笑顔で春が聞くと孝太郎は、できすぎました、と膝を抱えて頭を伏せた。
「ごめんなさい、今頭の中でずっとさっきの反芻してます……もぅ……やばい……上書きどころかなんもかんも全部ぶっ飛びました。春さんの口の感触ずっと残りすぎてヤバいです……」
よかった、と笑う春に孝太郎は情けない声を出した。
「なんでこんなん、してくれるんですか……」
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はい、と答えた孝太郎が、うー、と唸って顔を覆った。
「やっぱり春さんどんどんかっこよぉなってる……大好き……」
そう言って孝太郎が甘えるように、春にもたれかかる。孝太郎を抱き寄せて春は言った。
「ぼくがかっこよくなれてるとしたら孝太郎くんのおかげですよ。こんな素敵な子が毎日ぼくに好きだって言って自信持たせてくれるから……。背伸びしてでも、釣り合うようになりたいんです」
見つめあい、どちらともなくキスをした。何度も何度もキスしながら、また横になる。好き、と互いに繰り返した。誰にも邪魔されない旅館の一室で裸のまま、飽きるまで触り合って慈しむようにじゃれた。
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