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約束

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「今度の土曜日、一緒に出かけない?」
 彼女は僕の目を見ながら言った。鼓動が速くなり、顔が熱くなったが平然を装った。
「うん、いいよ。」
「良かった。」
 彼女は微笑んでいた。ちなみに今日は水曜日なので3日後だ。
「気になっていた喫茶店があるんだけど、1人では入りづらくて。」
「女友達とじゃなくていいの?」
「うん、いいの。私には友達がいないから。」
「どういうこと?」
「内緒。」
 彼女のバス停に着き、他愛のない話をしているうちにバスが来た。
「ありがとう。また明日ね。」
「また明日。」
 そして彼女はまた一番後ろの席に座り、僕に向けて小さく手を振った。以前よりも素敵な笑顔だった。
 次の日、彼女は学校を休んだ。
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