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3.王子の気持ち
しおりを挟む幼い頃から王太子として、完璧を貫いてきた。元々、人より物覚えが良い方で何も苦労なく今まで生きてきたのだが…。
僕が10歳の頃、アリシア・キャロル嬢が6歳を迎え、正式な婚約者になった。
初めて見る彼女は、猫のように大きな黒い目に色白で滑らかな肌、黒く艶やかな長い髪をしていた。こんなに綺麗な令嬢を見たことがなかった。
彼女は緊張をしているのか、唇をキュッと噛みしめ泣かないよう目に力を入れているように思えた。
「ルーカス・ダリアストです。キャロル嬢これからよろしくお願いしますね。」
婚約者として彼女に、嫌な印象を与えない様に、にこやかに笑いかけた。
すると、さっきまで緊張して固い表情だった彼女がこちらを見た。
彼女と目があったときにまるで雷に打たれたような衝撃を受けた。
まるで、僕のことを虫けらを見る様に見てきたのだ。
自分で言うのもあれだが、これでも今までご令嬢達にはかっこいいと騒がれてきた方だと思う。彼女から見たら僕は違うのだろうか?
「アリシア、ルーカス様をそんなに見つめてはルーカス様が困ってしまいますよ」
彼女の父親のクリスが彼女に優しく声をかけるとはっとした様に、彼女が僕から目を離した。僕から目を離した瞬間、彼女はトマトの様に赤くなりながらこちらを再び虫を見る様な目で見てきた。
「アリシア・キャロルですわ、殿下よろしくお願いいたしますわ!」
彼女のこの顔は照れ隠しの時の顔なのかもしれないと思うと何故か可愛く思えてしまった。
その日から彼女は、毎日の様に王妃教育として王宮を訪れるようになった。
彼女のことだから緊張して、また可笑しな表情をしてるかも知れないと、少し勉強の様子を覗いてみた。
彼女は凛とした花の様に、真っ直ぐ背を伸ばし授業を受けている。
その姿を見てあの時の表情は僕の前だけなのだと思うと何故か彼女のあの表情がすごく愛おしく思えた。
僕は少し可笑しいのかもしれない…。
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