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中年柔道家、再始動

おっさん、再始動

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道場の名は田茂道場

なんでも、ここはオリンピック金メダリストの田茂重行が作った道場だ、俺が小学校の時のあこがれの人だ。

*「入門希望ですか?」

品のいい女性が俺のところに歩み寄ってきた

道場には小学生や中学生がたくさん練習している。

「はい、昔・・柔道をやっておりまして、暇な時間も、でき始めたので。また始めてみようかと思いまして・・」

*「まあ、それはとても素敵です、夫もそういう方に習ってほしいって言ってました、いつまでも現役ってね」

田茂重行はもう、この世にはいない。
『金メダリスト、白血病には勝てず』という見出しがずいぶん昔の新聞を飾った

この女性は、田茂さんの奥さんだ、まだ40代くらいのまだまだ綺麗な女性、すべてを田茂重行が残した
道場に捧げている感じだ。
名前を田茂良子さんという。


良子
「でも、社会人の部門は、夜7時からですけどだいじょうぶですか?」

「はい、問題ありません・・」

しかし練習している中学生の中には、え!中学生?というような子も混じっている

良子
「では、こちらで受付をしてください、どうですか?せっかく胴着持ってきているなら、中学生達の相手してみませんか?
うちの子は、県の代表の子もいるくらい強いですよ」

面白い、俺の柔道人生は中学で止まっている。
最近の中学生はどんなもんだろう・・・全国レベルを相手にできるのはいい経験だ・・
俺も全中で全国優勝しているからな、そのあとグレたけど。

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良子
「北原さん!社会部に新しく入門された、勢能大樹さんです」

子供たちを指導している人に向かって、良子さんは俺を紹介してくれた。

北原
「勢能・・・聞いたことあるけど・・・どこだったかな・・」

北原という人は俺と同じくらいの年齢かな。

北原
「もしかして、勢能道場の子だった?」

俺を知っているのか?
「昔の話ですよ、今は親父の道場もなくなりました」


北原
「いや、覚えていますよ・・・神奈川県の全中で1年生で軽重量級を制覇した勢能君でしょ?
そのあと!全中でも優勝して、神童現れるって、俺らの代なら、みんな忘れないよ・・・」

良子
「そんなすごい人だったの?」

北原
「凄いなんてもんじゃない・・・年齢別で分けれなくなった全中を、1年生で制覇ですからね
全国的にも有名でしたよ、でも2年生から名前を聞かなくなって、みんなでどうしたのか不思議に思ってましたが」

「恥ずかしながら、親父に反発しちゃってね・・・いや、若気の至りですよ」

北原
「ああ!勢能道場の勢能さんは厳しいので有名でしたからね・・・」

「高校も中退して、必死で生きてきました、最近無性に柔道がしたくなりましてね」

北原
「あのまま行けば、オリンピックの金メダルだって、狙えたでしょうに・・・」

昔話が長くなりそうだったので、柔軟に入り、練習に混ぜてもらうようお願いした


北原
「浩紀~お前、ちょっと相手してもらえ!」

でた!本当に中学生?な子だ、名前は田島浩紀君15歳

今年の全中90kg級神奈川県代表だ・・・


こうして中学生の中ではこの道場1番の実力のある子と乱取りを取らせてもらえることとなる。
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