18 / 76
誕生日
しおりを挟む夏休みが始まってすぐ、
毎年、俺の誕生日はお隣とウチでアホみたいな事をやって祝ってくれる。
前日から普段は開放されっぱなしのお隣かうちのリビングのドアは硬く閉じられて、俺は侵入禁止にされる。
当日は朝からお隣とみんなで車で出掛けて、海まで行ってワーワー大はしゃぎする。
「海は海にいかないと。」
って毎年言ってる。
雨が降ったとしても海岸ドライブしてる。
浸かるつもりなかったのに膝まで来た波に足を取られて倒れてしまった。
全身ずぶ濡れになった俺は逃げる父さんに抱きついて巻き添えにしたりして走り回った。
桜が俺を横抱きにして海の中に入ってって投げ落としたりグンナーおじさんもテンション上がって飛び込んだりして結局男どもは塩まみれになった。
母さんと菜奈ちゃんは日傘の下で仲良くこっち見て笑ってた。
海岸に海の家があったからシャワー借りれてよかった。
散々遊んで夕方ごろに帰って来て、準備が終わるまで俺は自分の部屋に軟禁状態になる。
毎年の恒例だからこの日は友達と出掛けるのは無しだ。
部屋で適当な映画をかけながら待機している。
なんか、グンナーおじさんが俺グッズをデザイナーの本気出して作ってくるからもう笑うしかない。
菜奈ちゃんも毎年凝ったケーキを作ってくれるし。
母さんの料理も毎年のテーマに合わせて作られる。
「海ー!降りておいで!」
「はーい!」
階段を降りてリビングに入ると、そんなサイズのあるの!?っていう信じられないくらいデカいサイズのクラッカーを発射された。
金色のテープが大量に噴き出てきた。
量、テープの量!この至近距離で2発もくらって前が全く見えない。
でもちゃんと考えられてるもんで、テープの根元が纏まってるから即回収できた。
今年のテーマは架空のハンバーガーショップらしい。
壁にUMIバーガーのポスターまである。
完全にやり過ぎてる。
準備段階から俺の部屋に笑い声が聞こえてたのこれか。
「出たなTシャツ!!」
お隣一家と父さん母さんが俺の0歳から毎年撮った誕生日の俺の写真がレイアウトされた揃いのTシャツ着てる。
店員のユニフォームっぽいやつ。
ちなみに去年は古い映画オマージュだった。
毎年Tシャツは俺の写真とか絵が追加されてっていて、今年はロゴ風にデザインされた俺の似顔絵の周りに0歳から17歳までの俺の写真が円形にレイアウトされてて自分の顔なんだけど変にオシャレになってて笑ってしまう。
ちなみに俺の分もあるんだけど、俺のはメタリックインクで『Today's hiro』ってレタリングアートのプリントが足されて派手になっている。
って言うかグンナーおじさんが桜の誕生日にはやらないのに俺のはやってくるんだよな…
桜の誕生日も盛大なんだけど、俺の誕生日はなんか大人達もベクトルがおかしくなっている。
俺が二十歳になる迄は意地でもやるとか言ってるし。
こんなんだから俺の世に言う反抗期は多分来てない。
周りの同級生は親と仲悪いとか喋らないとか言ってるけど、そんな事言ってる暇ない。
でな。
桜、祝ってくれるのは嬉しいけどお前ハイブランドのモデルとかもやってんのにこんなTシャツ嬉しそうに着てるんじゃねぇよ。
そんなの着てるとこどっかに漏れたら私服センスやばい奴ってなるぞ!
何のデザインですか?
お隣の子です。って意味わかんなすぎるだろ。
しかも今年は俺の似顔絵でラバーキーホルダーまで作ってる。
コースターまである!!!
クオリティが本物だから凄いしグッズとしても最高なんだけど俺が使ったらこれ自己愛爆発してることにならないか?
母さんが全員分のハンバーガープレートを作ってくれてて、バーガーに刺さった串はUMIバーガーフラッグになっていた。
芸が細かい…
「海君お誕生日おめでとう~!」
って菜奈ちゃんが作ってくれたケーキは、8号サイズの凝ったデコレーションしたケーキの上に、大きなクッキーにアイシングで似顔絵が描かれててこれも凄すぎて笑ってしまった。
人数に対してケーキがデカすぎる。
その頃には俺の頭に紙で出来た王冠まで被せられている。
でも明日もこのケーキ食べれるの嬉しい。
来年追加されるであろう写真は俺がそのケーキを前に笑いすぎて泣いてる写真になるなこれ…
才能の無駄遣いが爆発してる。
一日中ずっと声出して笑った。
似顔絵のクッキーも出来が良すぎてしばらくタッパーに入れて冷凍庫に保管してたけど、ダメになる前にオヤツに食べた。
こうして俺は盛大に祝福されて彼女も出来ず、身長も伸びぬまま18歳になった。
*
「海君さぁ、彼女欲しい欲しい言ってるけど、全部断ってるじゃん。
あれってなんか身長以外にも理由あるんじゃ無いの?」
「理由ぅ~~?」
夏休み平日、矢作と服とか見ようぜって出掛けてるけど、暑いし平日なのにも関わらず人が多過ぎて矢作の心が早々に折れて何とか席のあったエアコンが効いてるカフェのカウンター席で話してる。
矢作は今日は彼女がバイトで居ないから遊んでくれるモードだ。
エアコン効いてる店内でも氷ギッチリ入ったアイスティーがどんどん水っぽくなる。
「だってさぁ、海君高校入って今まで何人に告白されてんの?しかもこないだの背が低めの子も断ったし。お試しもダメ感あってなんかある気がする。」
そんな事言われてもなぁ~。
俺はなんか、付き合うなら俺も好きになりたいなぁって欲求が出て来てしまったんだもん…
「海君初恋ってあった?」
「初恋…」
初恋…初恋!???
無くは無いよ!!!!!!
ただ変に散った初恋だから人に言って無いだけで。
まて、その変な初恋が原因ってこと!?
「あ~~~~~~」
「何どした。」
うぐぐ、関係無い事ないんじゃないかこれ。
俺はすぐさまスマホのアルバムの中にある昔のめちゃくちゃ美少女時代の桜の写真を見せた。
ガンちゃんと秀一は美少女桜を知ってるけど、矢作は中学からの同級だから桜の美少女時代を知らないんだ。
しかも今とは髪の毛の色と目が違う。
「おわ、何この子。CG?じゃないよね?」
「これ、俺の初恋。しかもこの子もめちゃくちゃ俺の事甘やかして来てたの。」
「へぇ~!海君お隣も海外の人だしグローバルだねぇ。」
「….桜なんだよ」
「え?」
「だから桜、これ」
コンコンと指先で画面を叩く。
振り返って考えてみると俺の恋の基準点があのかつての美少女桜なんだと言う事をジワジワ認識してしまう。
「これソールバルグさんなの!?」
「髪の毛と眼の色変わったんだよあいつ。
しかも俺そん時の桜の事ちんこ生えてるけど女の子だと思ってたんだよな…」
「どう言う事!??」
「なんかハーフの子供とかだと成長期にそういう事あるんだって。
この見た目で語尾にハートマークつけて名前呼ばれてみろ、幼児の俺はそれだけでもうメロメロだったんだ、おまけに結婚しよって言ったら“いいよ”って言ってハグだぞ。そんなもんわけわからなくなるわ、っていうかなったわ。全てはそこから狂ってんのかぁあああ!!!」
矢作はゲラゲラ笑ってたけど笑い事じゃない。
由々しき事態だ。
女の子の基準があの頃の桜がベースなんだとしたらもう出会いなんて必死に探しに行かないと可能性がゼロなんじゃないのか!
おい!どうすんだこれ!!!!!!
このまま行くと現実には過去の桜レベルに可愛くて俺を甘やかす女子と出会えない限りは孤独に生きていく羽目になるのか!?
「ああ~~~~」
つい悲惨な声が出てしまって矢作が元気だしなよ、セクシー動画後であげるからとか笑いながら俺の背中をバシバシ叩いた。
16
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)
星乃和花
恋愛
おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。
団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。
副団長「彼女のご飯は軍事物資です」
私「えっ重い」
胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!?
ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。
(月水金21:00更新ー本編16話+後日談6話)
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら
たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生
海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。
そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…?
※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。
※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
青い月の天使~あの日の約束の旋律
夏目奈緖
BL
溺愛ドS×天然系男子 俺様副社長から愛される。古い家柄の養子に入った主人公の愛情あふれる日常を綴っています。心臓に疾患を抱えながら、ロックバンドのボーカルとしてステージに立つ夏樹。彼を溺愛するのは、年上で俺様な副社長・黒崎圭一。夏樹は養子として名家に迎えられ、音楽と経営、二つの人生の狭間で揺れていた。それでも黒崎は、束縛と独占欲を隠すことなく、夏樹のすべてを受け止めようとする。ステージを降りる日が近づくかもしれない中、家族の問題、過去の傷、そして未来への不安が静かに忍び寄る。繋いだ手を、決して離さないと誓った二人の、溺愛と再生の物語。※本作からでもお読みいただけます。
黒崎家には黒崎の兄弟達が住んでいる。黒崎の4番目の兄の一貴に親子鑑定を受けて、正式に親子にならないかと、父の隆から申し出があり、一貴の心が揺れる。そして、親子鑑定に恐れを持ち、精神的に落ち込み、愛情を一身に求める子供の人格が現われる。自身も母親から愛されなかった記憶を持つ黒崎は心を痛める。黒崎家に起こることと、黒崎に寄り添う夏樹。
作品時系列:「恋人はメリーゴーランド少年だった。」→「恋人はメリーゴーランド少年だった~永遠の誓い編」→「アイアンエンジェル~あの日の旋律」→「夏椿の天使~あの日に出会った旋律」→「白い雫の天使~親愛なる人への旋律」→「上弦の月の天使~結ばれた約束の夜」→本作「青い月の天使~あの日の約束の旋律」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる