お隣どうしの桜と海

八月灯香

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お隣同士の海と桜 ふうふ編

酔っ払い

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沖縄旅行はめちゃくちゃたのしかった。
何より海の水の色が全然違う。
本当に澄んだ青や緑で、海岸もゴミが少なくて開けていて綺麗だ。
紫外線が物凄い強いから俺は桜に日焼け止めをこまめに塗り込められて、紫外線避けのフード付きパーカーを着せられていた。
父さんは「大丈夫」とか言って対策しなかったら1日目で見た事ないレベルですねが真っ赤になってた。


水上アクティビティもいっぱいやって、俺は一回も出来なかったけどフライボードで桜は一発で水面から上がってた。
アスリートの体幹は強く、誰よりも高く飛んでた。
やった事ないとか言ってたけど嘘だろ?ってくらいの動きしててまるでライブでヒーローアクション見てる気持ちになって凄いしか言えなかった。
スタッフのお兄さんもテンション上がってたな。

母さんと菜奈ちゃんは浮き輪のデカいやつに乗って水上ボートで引っ張り回される奴に乗って楽しんでた。

シュノーケルではいろんな種類の魚達が手の届きそうなところにいて、珊瑚礁の近くに海亀がきて俺は亀に着いて行きそうになり速攻桜が止めに来た。

ガイドさんが「この辺はマンタもよく来るんですよ」と言ってた。

父さんは陸の上では元気だったけど船の移動では船酔いでずっと真っ白な顔で辛そうだった、赤くなったり白くなったり大変だな…

夜はみんなでコテージから海岸にでると、母さんの晴れ女パワーが効いたのか曇り空が一気に晴れて星空が顔を出した。
昔の人が夜船で海上を進むのに星を座標にしたなんていうけど俺だったら無理な奴だ。見た事ないレベルの満点の星空を皆んなで観て感動して。
外で寝たいなと思ったけど雨が降ってきた。
コテージで毎晩夜更かししてまたこようねって言ってもらって。
俺は大人5人に甘やかしに甘やかされて大満足だった。



20歳を過ぎてから、桜が仕事とかで遅い日の大人の晩酌に俺も参入できる様になった。

桜はずっと酒は飲まないと決めてるので、晩酌タイムで俺が飲んでても飲む事はない。

そして今日はソールバルグ家での酒盛りで沖縄で買い込んだ 度数40%超えの泡盛の古酒を開けようという話になった。

父さんも母さんも酒には強い。
俺は自分は酒は弱くないと思って舐めてかかったが、俺の場合チャンポンしたら例外というのを初めて経験する事になる。
そして度数43度の古酒があまりにも飲みやすすぎて着実に飲める限界を超えていった。
ある程度酒を飲み進めて、全員がご機嫌になった頃、菜奈ちゃんが
「ねーぇ、海君、高校生の時さぁ、海君学校から女装で帰ってきたじゃなぁぃ。
私もう一回みたぁい!」
と酔っ払ってキラキラの笑顔で言ってきた。
めちゃくちゃ可愛い、本当に可愛い。
菜奈ちゃんは目尻に皺があっても最高に可愛い。
「えへ!いいよぉ~」
女装は二度とやらないと決めてた俺も菜奈ちゃんの笑顔のお願いに快諾してしまう。
ご機嫌状態で母さんと菜奈ちゃんに引っ張られて別部屋で着替えさせられて化粧をされる。
ボウタイのついたフリルブラウスと膝下まである襞スカートを履かされた。
仕上げにどっからか出てきたロングヘアの茶色いウィッグを被せられた。

「やだ~~~~海ちゃん可愛い~~~~」
「本当女の子にしかみえないわね」

と言われてご機嫌でリビングに戻るとグンナーおじさんが俺をみて両手を広げてくるから

「グンナーおじさぁん」
とわざと甘い声を出して抱きついた。
グンナーおじさんの膝に座りながらおじさん車買ってとか俺が言ったり父さんがやっぱり娘欲しいとか言って全員で泣く程笑ってたら、玄関が開く音がしたので俺はルンルンで出迎えにいくと目があった瞬間桜が一瞬固まる。

「海?」

さくらおかえりぃ、と桜に抱きついた。
む、と唇を突き出すと桜がキスを落とすけど俺の顔をガン見している。
へへ、と笑って桜の手を引いてリビングに戻る。
「海の旦那さんかえってきたぁ!」
と無邪気に言うと、菜奈ちゃんが黄色い声をあげて喜んだ。
「大好きな旦那さん帰ってきてよかったわねぇ海ぃ~」とか言いながら母さんがスマホで俺らを撮って居るので俺は「海のだんなさぁん」と完全怪しくなった呂律を繰り出し桜の左腕にベッタリまきついた。

旦那は俺なんだが今日は女装してるしいい、無礼講だ。

「シグルド顔が犯罪者になってるよ」

とグンナーおじさんが言うのでどれ、と桜を見上げたら右手で顔を隠していた。

楽しい空気に俺はもう超ご機嫌だ。
桜は大人の酒盛りのテーブルを見渡した瞬間
ちょっと困った顔で「海、帰ろうか」と桜が言うからなんとなくおとなしく従った。


俺が歩ける状態じゃないからワンメーターの距離だけどタクシーを呼んだ。
父さんもグンナーおじさんも菜奈ちゃんもお酒入ってて車出せないので仕方ない。
タクシーの中では桜が楽しかった?って話しかけてくるからにこにこしながらうんうん頷いた。
マンションに着く頃には酔いがピークに達してもう立てなくなってて、桜が俺を抱き上げて家に入った。

玄関で俺を片膝の上に座らせて靴を脱がせてくれた。
俺は桜の首にしがみついて居るしか出来ない。

ソファに降ろされると「海、水飲んで。」と桜が冷たい水の入ったグラスを持ってきてくれる。

胃の中に冷えた液体が落ちていくのが気持ちいい。
「さくらだっこ…」と言うと桜は俺を抱き上げてソファに座った。
「気持ち悪くない?」と桜が背中を撫でて聞いてくる。
「きもちわうくない」と幼児みたいな喋りが出てきて笑えてくる。
桜の肩に手を置いて身体を持ち上げると、綺麗な一対の緑の瞳が俺を見上げて居る。
この眼はいつも俺を見てくれている。
「さくら…すき…」と桜の唇を舐めて舌を差し入れる。
首の後ろに手があてられてすぐに桜の舌が応えてくる。
ウィッグの髪がサラサラと頬を撫でてきてくすぐったい。
ぴちゃぴちゃと舌を舐める音がやらしい気分にさせてくる。

桜のでかい両手が俺の太腿をグッとつかんで桜の身体におしつけてくる。
いつの間にか俺勃ってる…

「ん……ん………」
唇が塞がれて甲高い声が鼻から漏れる。
「海ちょっと待って。」と桜が俺をソファに下ろして洗面台に行って帰ってきた。
再び俺を膝に乗せると顔を丁寧にメイク落としで拭った。
その間も俺は桜にキスを強請りその度に化粧を落とす手が止められた。

ウィッグを外されて、潰れた髪の毛に桜の指が通される。

「女の子の海も可愛いけど、俺は素の海が一番いい。」

と言ってぎゅっと抱きしめた。
酔いで頭がふわふわしてるのも手伝って気持ちが幸せに満ちて身体を桜に預けた。


そこからの記憶は全く無い。



「ぐぉ………あだまいだい………」

朝起きたら頭が割れるように痛い。
酒を飲んでこんな事になったのは初めてだ…酒は呑んでも呑まれるなとはよく言ったもんだな…
自分の声が響いて脳みそが揺れるみたいになってる。
どうやって着替えてベッドに入ったのか記憶がない。
きっと桜が全部してくれたんだ。

「起きた?」
と桜がペットボトルの水を片手に枕もとにきて背中をさすって起こしてくれる。

お前よくこんな状態の俺を呆れずに見捨てないな。
俺だったらこんなしょーもない事する奴放置するぞ…
しかも多分俺の呼気は今最悪に酒臭いはずだ。

「はい、二日酔いの薬のんで。」
とめちゃくちゃ不味い液体の飲み薬を渡される。
ご丁寧に蓋も開けてくれている…
正直言ってこの薬口の中に入れたら逆に吐くんじゃないかと思うのに、飲み込むとスッとするから不思議だなぁ。
普段家にこんな薬置いてないから俺が寝てる間に買いに出てくれたんだな…

「俺、途中で記憶無いんだけど何かした…?」
と聞くと
「したいって言ってきたけど次の瞬間にはもう寝てた」って返ってきてなんか知らんけど軽く死にたくなった。

「桜ごめんな」というと「海が楽しかったならいいよ」って返ってきた。

俺の嫁は本当に出来た嫁である…

そして後日、ご機嫌でグンナーおじさんの膝の上に乗ってる写真を菜奈ちゃんから見せられた桜は笑いながらグンナーおじさんにキレててめちゃくちゃ怖かった…

家族以外のところでは酒には注意する事とチャンポンはダメ、と桜から厳重注意はくらった。

肝に銘じます…
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