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第2話 マッドサイエンティスト
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「ザザザザザザっ!!」
黒光りする虫の大群が足を攫う
「うわっ!!!!」
その虫は足をのぼり、ズボンの中にまで侵入してくる。
「やめろ、入ってくんな。この、この!」
特有の不快感。人によっちゃ失神モノの出来事。このドアを開けると何が起こるか分からないから本当に毎日ハラハラする。
「おい!ナルミ!遅いじゃないか!」
「すみません博士!これなにしてたんですか?ゴキブリが沢山出てきましたけど」
「放射能をゴキブリに照射してみたんだそしたら、分裂して大量発生した。」
「そんな馬鹿な」
「いまから逃げた実験体を処分しに行くぞ」
「行くぞってどうやって?」
博士はラボの奥にあるドアに向かう
「音声認証」
萌え声気味の合成音声が流れる。博士の趣味だそうだ
「オノ・トーイ」
「オノ博士を、認識。後ろの方は如何なされますか?、」
可愛い声でいうなり機関銃を突きつけられる
「ひぃ」
「ワシの助手じゃ、通してやれ」
「承知致しました。」
機関銃が下げられ、奥へと誘われる
俺も初めて見るラボの奥。そこには一つのメカニックスーツがあった
「博士、これは?」
「反重力理を利用したサポートスーツ。隣にあるホバーボードと連携しておる。逃がした実験体には一匹一匹マイクロチップを埋め込んでるんだ、それを追跡して一匹残らず処分する」
「処分方法は?」
「奴らは高周波の音波を受けるとなぜか死滅する特質を会得しておる。それを利用するのだ。ナルミ、しばらくここを留守にする。もしかしたら深夜までかかるかもしれない。わしの冷蔵庫にエナジードリンクがあるからそれを飲みなさい。ほかにやばい薬品があるけどそれには手をつけないように、じゃ。」
博士はサポートスーツを、着るなりホバーボードを抱え、ゴキブリ退治に行った。
「あの人、いつも行動が突飛なんだよな。まあ、作るものは凄いんだけど」
退屈する自分の人生において唯一の刺激である、オノ博士との研究。この前はトカゲとコウモリを遺伝子レベルで結合させ小さなドラゴンを作った、まあ、ものの二分でゲロを吐きながら脱糞して死滅したけど。おそらく、遺伝子同士が拒絶反応を起こしたんだろう。
ラボの奥にはなにやら怪しげな発明品が沢山並んでいる。あの博士が作るものだから、あまり触らない方がいいだろう。下手したら死ぬまである。
「冷蔵庫にエナジードリンク。これかな」
博士の冷蔵庫には、マヨネーズが、5本。セロリの漬物(おそらく腐ってる)がタッパーに入って2つ。そしてよくわからない液体が何十本も陳列。そして唯一あった飲料らしきもの。
「ENERGY "X"」
新発売なのだろうか、見たことの無いアルミ缶。黒い缶に筆字で白く"X"
正直、連日深夜まで起きていたので眠かった。
これはかなり効き目がありそうだ。
おれはその間のプルタブを開ける。
そして、立ち込める人工甘味料の匂いをひとしきり楽しみ口をつける。
・・・
うっ、うまい。
自分は結構エナジードリンクが好きだが、予想もしないくらいの美味さにビビった。
強炭酸だけどかなりイける。うまい、美味すぎる!!
あっというまに飲みきってしまった、おまけに目はギンギン
「こりゃ、効果抜群だ。」
飲んだ後に気がついたが、缶のデザインをよく見ると市販のものとは思えない、どうも成分表示が無いようだ。たぶん、徹夜作業が多い博士が自分で目覚まし用のエナジードリンクを開発したんだろう。そう思った。
数分後、目眩がしてきた。
心拍数も高まる。
「こ、これ、効き目ありすぎだよォ博士ぇ」
うう、頭が痛い、それに、なんだかいても立ってもいられない気分になってきた。ものすごい発汗。意識していないのに目が泳ぎ始め、なぜだけ走りたい気分になって来た。体が、暑い、かゆい、潰しちゃダメなのに、自分の顔についてるニキビを潰さないと気が気でない。熱い。外に出たい。解き放たれたい。ぶっ飛びたい。明らかに異常だ、さっきのエナジードリンク、まさか、飲んじゃいけないやつだったんじゃ。
目が覚めると
スカイツリーのてっぺんに立っていた。
何故だ?記憶が無い。
一面に広がるニュートーキョーの夜景。
その綺麗さと、今自分の置かれてる状況。
両方に息を呑んだ
「え、これ、夢か?」
夢でもない
「どうやってここまで来た?」
暫くして気を取り直すと、ヘリの音に気づいた
すぐ目の前を飛んでいる。
「君、そこは関係者以外立ち入り禁止だ、直ちに係員に従って降りなさい。」
寝ぼけてここまで来てしまったのだろうか、そんなことは無いだろう
「ねえ、そのヘリの中快適そうだね?」
何言ってるんだ俺は
「飛び乗っていーい?」
何言ってるんだ俺は!!
自分の意思とは真逆に、俺の体は、ヘリに飛び乗るため助走をつけようと十歩ほど後に引いた
「係員の指示に従いなさい」
うしろから係員の声が聞こえる。
それに従うべきなのに
飛び乗れるはずじゃないのに。
身体は
いや、おれは
「大丈夫か?」
見慣れた顔。オノ博士だ。
「ここは」
「ラボだよ、いつもの」
何故か、オノ博士の声がいつものとぼけたトーンじゃなくてえらく真面目だ。
「一体、俺は何を。」
「ワシはなぁ、昔憧れてたんだよ。テレビとか漫画によく出てくるな、かっちょいいコスチュームに身を包み、怪力そうな男を投げ飛ばし、隕石とかを一発の拳で砕いたり。目から光線を出したり、悪役に無理難題を押し付けられても、結局はみんなを救うあの姿。ワシはそれに憧れてたんだァ。」
「博士、何の話ですか?」
「己の信念、時には葛藤し、時には協力し、剣で切り裂き、ビームで爆破、盾を投げては、蜘蛛糸で縛り付け、崖から飛び降り蹴りを食らわせ、五人で巨大ロボを操り、悪を必ず討ち、非力な人間は必ず救う。毎週日曜は心が踊った。映画館に行っては彼等に心通わせフィクションにもかかわらず。スクリーノ中で死んでしまった時は泣いたよ」
「博士!何が言いたいんですか!」
「ナルミ、お前、ヒーローになれ」
黒光りする虫の大群が足を攫う
「うわっ!!!!」
その虫は足をのぼり、ズボンの中にまで侵入してくる。
「やめろ、入ってくんな。この、この!」
特有の不快感。人によっちゃ失神モノの出来事。このドアを開けると何が起こるか分からないから本当に毎日ハラハラする。
「おい!ナルミ!遅いじゃないか!」
「すみません博士!これなにしてたんですか?ゴキブリが沢山出てきましたけど」
「放射能をゴキブリに照射してみたんだそしたら、分裂して大量発生した。」
「そんな馬鹿な」
「いまから逃げた実験体を処分しに行くぞ」
「行くぞってどうやって?」
博士はラボの奥にあるドアに向かう
「音声認証」
萌え声気味の合成音声が流れる。博士の趣味だそうだ
「オノ・トーイ」
「オノ博士を、認識。後ろの方は如何なされますか?、」
可愛い声でいうなり機関銃を突きつけられる
「ひぃ」
「ワシの助手じゃ、通してやれ」
「承知致しました。」
機関銃が下げられ、奥へと誘われる
俺も初めて見るラボの奥。そこには一つのメカニックスーツがあった
「博士、これは?」
「反重力理を利用したサポートスーツ。隣にあるホバーボードと連携しておる。逃がした実験体には一匹一匹マイクロチップを埋め込んでるんだ、それを追跡して一匹残らず処分する」
「処分方法は?」
「奴らは高周波の音波を受けるとなぜか死滅する特質を会得しておる。それを利用するのだ。ナルミ、しばらくここを留守にする。もしかしたら深夜までかかるかもしれない。わしの冷蔵庫にエナジードリンクがあるからそれを飲みなさい。ほかにやばい薬品があるけどそれには手をつけないように、じゃ。」
博士はサポートスーツを、着るなりホバーボードを抱え、ゴキブリ退治に行った。
「あの人、いつも行動が突飛なんだよな。まあ、作るものは凄いんだけど」
退屈する自分の人生において唯一の刺激である、オノ博士との研究。この前はトカゲとコウモリを遺伝子レベルで結合させ小さなドラゴンを作った、まあ、ものの二分でゲロを吐きながら脱糞して死滅したけど。おそらく、遺伝子同士が拒絶反応を起こしたんだろう。
ラボの奥にはなにやら怪しげな発明品が沢山並んでいる。あの博士が作るものだから、あまり触らない方がいいだろう。下手したら死ぬまである。
「冷蔵庫にエナジードリンク。これかな」
博士の冷蔵庫には、マヨネーズが、5本。セロリの漬物(おそらく腐ってる)がタッパーに入って2つ。そしてよくわからない液体が何十本も陳列。そして唯一あった飲料らしきもの。
「ENERGY "X"」
新発売なのだろうか、見たことの無いアルミ缶。黒い缶に筆字で白く"X"
正直、連日深夜まで起きていたので眠かった。
これはかなり効き目がありそうだ。
おれはその間のプルタブを開ける。
そして、立ち込める人工甘味料の匂いをひとしきり楽しみ口をつける。
・・・
うっ、うまい。
自分は結構エナジードリンクが好きだが、予想もしないくらいの美味さにビビった。
強炭酸だけどかなりイける。うまい、美味すぎる!!
あっというまに飲みきってしまった、おまけに目はギンギン
「こりゃ、効果抜群だ。」
飲んだ後に気がついたが、缶のデザインをよく見ると市販のものとは思えない、どうも成分表示が無いようだ。たぶん、徹夜作業が多い博士が自分で目覚まし用のエナジードリンクを開発したんだろう。そう思った。
数分後、目眩がしてきた。
心拍数も高まる。
「こ、これ、効き目ありすぎだよォ博士ぇ」
うう、頭が痛い、それに、なんだかいても立ってもいられない気分になってきた。ものすごい発汗。意識していないのに目が泳ぎ始め、なぜだけ走りたい気分になって来た。体が、暑い、かゆい、潰しちゃダメなのに、自分の顔についてるニキビを潰さないと気が気でない。熱い。外に出たい。解き放たれたい。ぶっ飛びたい。明らかに異常だ、さっきのエナジードリンク、まさか、飲んじゃいけないやつだったんじゃ。
目が覚めると
スカイツリーのてっぺんに立っていた。
何故だ?記憶が無い。
一面に広がるニュートーキョーの夜景。
その綺麗さと、今自分の置かれてる状況。
両方に息を呑んだ
「え、これ、夢か?」
夢でもない
「どうやってここまで来た?」
暫くして気を取り直すと、ヘリの音に気づいた
すぐ目の前を飛んでいる。
「君、そこは関係者以外立ち入り禁止だ、直ちに係員に従って降りなさい。」
寝ぼけてここまで来てしまったのだろうか、そんなことは無いだろう
「ねえ、そのヘリの中快適そうだね?」
何言ってるんだ俺は
「飛び乗っていーい?」
何言ってるんだ俺は!!
自分の意思とは真逆に、俺の体は、ヘリに飛び乗るため助走をつけようと十歩ほど後に引いた
「係員の指示に従いなさい」
うしろから係員の声が聞こえる。
それに従うべきなのに
飛び乗れるはずじゃないのに。
身体は
いや、おれは
「大丈夫か?」
見慣れた顔。オノ博士だ。
「ここは」
「ラボだよ、いつもの」
何故か、オノ博士の声がいつものとぼけたトーンじゃなくてえらく真面目だ。
「一体、俺は何を。」
「ワシはなぁ、昔憧れてたんだよ。テレビとか漫画によく出てくるな、かっちょいいコスチュームに身を包み、怪力そうな男を投げ飛ばし、隕石とかを一発の拳で砕いたり。目から光線を出したり、悪役に無理難題を押し付けられても、結局はみんなを救うあの姿。ワシはそれに憧れてたんだァ。」
「博士、何の話ですか?」
「己の信念、時には葛藤し、時には協力し、剣で切り裂き、ビームで爆破、盾を投げては、蜘蛛糸で縛り付け、崖から飛び降り蹴りを食らわせ、五人で巨大ロボを操り、悪を必ず討ち、非力な人間は必ず救う。毎週日曜は心が踊った。映画館に行っては彼等に心通わせフィクションにもかかわらず。スクリーノ中で死んでしまった時は泣いたよ」
「博士!何が言いたいんですか!」
「ナルミ、お前、ヒーローになれ」
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