鞍馬天狗に拐かされた私。~運命の番で神の子を孕める巫女ですって? それでも規格外は無理です!~

寺原しんまる

文字の大きさ
12 / 12

12

 ****


「なあ、子供はいつ産まれるんや?」
「こ、子供って……。まだ妊娠したかも分からないのに」
「できたに決まっとるやろ~。俺の子種や。何度もピューッとお前の卵巣にひとっ飛びやったからなあ。それに溢れるほどに子種を注いでやったやろ」

 二人は日本庭園を見ながら縁側で寛いでいた。鞍馬は珠音の太股に頭を置き、子供のような笑顔を見せている。そんな彼の頭を優しく撫でながら、珠音はクスクスと笑う。

 大きな身体なのに鞍馬は甘えん坊の幼児みたいだ。愛おしいという感情が沸々と湧き上がる。

「凄い自信ね。出産まで十月十日っていうから、子供ができていたらあと十ヶ月後とかかしら?」
「はあ? 十ヶ月やって~? 子供が産まれるまでそんなに掛るんか~」

 驚いた顔をした鞍馬だったが、珠音の顔を引き寄せて唇を重ねてきた。引き込まれそうな深紅の瞳の中に、自分が映っている。もう彼の中に囚われてしまったと珠音は自覚した。

「異界に住む決心はついたか?」
「……どうせ帰れないんでしょ? それに私には家族もいなかったし。未練がないわけではないけど、しょうがないじゃない」
 
 ハッキリ言って、珠音にはまだこれが愛かは分からない。しかし、心が鞍馬を受け入れようとしているのは分かる。愛だと自信を持って言えるまでは、もう少し時間が必要だが。

「なあ、新婚旅行は何処に行きたい? 国内限定やけど」
「新婚旅行? そうねえ……。ん? ちょっと待って! この山に入ったら下界に戻れないんじゃなかった?」
「あ! しもた!」
「鞍馬天狗様……、折角上手く騙せていたものを! しかし、まだ騙せるかもしれませんぞ! 珠姫様は鈍い――」

 木の葉天狗が運んできた抹茶を置いて、コソコソと何かを鞍馬に話している。

「嘘をついていたのね!」

 鞍馬を押しのけて駆け出したが、簡単に拘束され唇を塞がれた。絡まる舌から流れ込む唾液。それが喉を伝っていく。

「念の為に、今夜も子作りしよか?」
「む、無理! 東京に帰る!」
「無理なもんか~。お前のココは既に俺を誘う匂いを出しとるわ。それにもう帰えさんというたやろ。下界のことを忘れる程に激しく抱いたろな」

 鞍馬の手が太股の間に沈んでいく。指先が触れた先から卑猥な水音が漏れてきた。

「あぁぁぁ! やぁ……」

 珠音の身体は簡単に鞍馬を受け入れてしまう。やはり、運命の番なのかもしれない……。

「帰りたいなんて二度と言うな……。お前は俺の運命の番やねんから――」

 捨て犬のような顔を見せる鞍馬は、ジッと深紅の瞳で珠音を見つめる。そんな顔をされたら、心がギュッと掴まれてしまうではないか。

「……少しだけ、いてあげるわ。本当に少しだけよ」

 二人の熱い絡み合いは、その後、またも三日三晩続いたのだった。


ーーーおわりーーー
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

婚約破棄?いいですけど私巨乳ですよ?

無色
恋愛
 子爵令嬢のディーカは、衆目の中で婚約破棄を告げられる。  身分差を理由に見下されながらも、彼女は淡々と受け入れようとするが、その時ドレスが破れ、隠していた自慢のそれが解き放たれてしまう。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

皇太子殿下は、幼なじみに触れていないと落ち着かない

由香
ファンタジー
幼い頃から一緒に育った皇子は、なぜか距離が近すぎる。 後ろから抱きしめられ、手を取られ、頬に触れられるのが当たり前の日常。 やがて彼は皇太子となるが――その距離は変わらないどころか、むしろ深まっていき。 「触れていないと、落ち着かない」 公の場でも離してくれない彼の執着に、周囲は騒然。 けれどその腕の中は、どうしようもなく安心してしまう。 これは、幼なじみの距離のまま始まる、逃げ場のない溺愛の物語。

推しの旦那様に心の声が筒抜けでした!?〜バレた瞬間、毎回キスで黙らされます〜

由香
恋愛
推しに似ているという理由で政略結婚した相手は、冷酷と噂の公爵様。 ――のはずが。 (無理、顔が良すぎるんだけど!?尊い!!) 心の声が、なぜか全部本人に聞こえていた。 必死に取り繕うも時すでに遅し。 暴走する脳内実況を止めるたび、旦那様はなぜか――キスしてくる。 「黙らせるのにちょうどいい」 いや全然よくないです!!むしろ悪化してます!! 無表情公爵様 × 心の声だだ漏れ令嬢 甘くて騒がしい新婚生活、開幕。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。