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4章 高校最初の夏休み
21話 Wデート②
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集合から数十分としないうちに、水族館へと到着した。
萌恵ちゃんと腕を組んだままもう片方の手でパンフレットを持ち、四人で談笑しながら館内を歩く。
もちろん、マナーを守って声量は抑えている。
「真菜、見て見て。すごくかわいいよ~」
水槽にギリギリまで顔を寄せて、食い入るようにクリオネを眺める萌恵ちゃん。
水の中をのんびり泳ぐ小さな姿は確かに愛らしく、美咲ちゃんと芽衣ちゃんもすっかり目を奪われている。
私も同じように感動を覚えているものの、どうしても萌恵ちゃんに意識が向いてしまう。
もし許されるのであれば、「萌恵ちゃんの方がかわいいよ!」と全力で叫んでいたところだ。
***
トイレ休憩を挟んで、天井を貫く円柱状の水槽を楽しむ。
たくさんのクラゲが水中を漂っていて、色とりどりの照明に照らされて幻想的な光景を作り出している。
「わ~、きれいだねっ」
「うん、思わず見惚れちゃうよ」
しみじみとつぶやく私の視線は、無邪気に瞳を輝かせる萌恵ちゃんに向いていた。
いま口にした通り、思わず見惚れてしまうほどに美しい。
本当なら水槽内の生き物に集中するべきなんだろうけど、こんなときでも萌恵ちゃんのことばかり考えてしまう。
「――ん? 真菜、どうかした?」
私の視線に気付いた萌恵ちゃんが、不思議そうに訊ねてきた。
「ご、ごめん、なんでもないの。萌恵ちゃんがあまりにも魅力的すぎて、視線が勝手に動いただけだから」
「んふふっ、ありがと~。実はあたしも、お魚だけじゃなくて、水槽に反射する真菜の顔もこっそり見つめてたんだ~。やっぱり、どうしても意識しちゃうよねっ」
「萌恵ちゃん……っ」
う、嬉しすぎる!
ありがとう萌恵ちゃん! 大好き! 無限に言い続けても足りないぐらい大好き! 言葉では言い表せないほど愛してる!
だ、ダメだ、感情を抑えないと。
落ち着け私、深呼吸しながら素数を数えよう。
周りに人が少ないとはいえ、人前であることには変わらない。
小さい子もいる中で、堂々と恋人を抱きしめて唇を奪うわけにもいかない。
「真菜さん、ちょっと震えていませんか?」
「そっとしておいてあげなさい。真菜はいま、自分自身と戦ってるのよ」
美咲ちゃん、心配してくれてありがとう。
芽衣ちゃん、さすが片思い時代の同志だね。よく分かってくれてる。
「あっ、そうだ」
萌恵ちゃんがなにかを思い付いたらしく、くいっと私の腕を引いて少し隣にずれる。
「ど、どうしたの?」
「んふふっ、この位置なら誰にも見られないから――ちゅっ」
柔らかくて温かな感触が、唇に触れる。
「っ!?」
心の底から期待していた。だけど、この場では無理だと諦めていた。
だからこそ、驚きと感激が尋常じゃなく大きい。
幸いにも私の唇は萌恵ちゃんの唇によって塞がれ、驚きの声は周りに漏れずに済む。
数秒ほど口付けを堪能し、誰かに見られる前に唇を離す。
萌恵ちゃんの素敵な閃きのおかげで、しばらくはキスの余韻に浸ることで欲求を抑制できそうだ。
「あ、あんたたち、大胆すぎるわよ」
「め、目が離せませんでした」
他のお客さんには見られていなかったけど、同伴者である美咲ちゃんと芽衣ちゃんにはしっかりと目撃されてしまう。
友達にキスを見られるというのはどうにも気恥ずかしく、私と萌恵ちゃんは二人そろって顔を赤くした。
萌恵ちゃんと腕を組んだままもう片方の手でパンフレットを持ち、四人で談笑しながら館内を歩く。
もちろん、マナーを守って声量は抑えている。
「真菜、見て見て。すごくかわいいよ~」
水槽にギリギリまで顔を寄せて、食い入るようにクリオネを眺める萌恵ちゃん。
水の中をのんびり泳ぐ小さな姿は確かに愛らしく、美咲ちゃんと芽衣ちゃんもすっかり目を奪われている。
私も同じように感動を覚えているものの、どうしても萌恵ちゃんに意識が向いてしまう。
もし許されるのであれば、「萌恵ちゃんの方がかわいいよ!」と全力で叫んでいたところだ。
***
トイレ休憩を挟んで、天井を貫く円柱状の水槽を楽しむ。
たくさんのクラゲが水中を漂っていて、色とりどりの照明に照らされて幻想的な光景を作り出している。
「わ~、きれいだねっ」
「うん、思わず見惚れちゃうよ」
しみじみとつぶやく私の視線は、無邪気に瞳を輝かせる萌恵ちゃんに向いていた。
いま口にした通り、思わず見惚れてしまうほどに美しい。
本当なら水槽内の生き物に集中するべきなんだろうけど、こんなときでも萌恵ちゃんのことばかり考えてしまう。
「――ん? 真菜、どうかした?」
私の視線に気付いた萌恵ちゃんが、不思議そうに訊ねてきた。
「ご、ごめん、なんでもないの。萌恵ちゃんがあまりにも魅力的すぎて、視線が勝手に動いただけだから」
「んふふっ、ありがと~。実はあたしも、お魚だけじゃなくて、水槽に反射する真菜の顔もこっそり見つめてたんだ~。やっぱり、どうしても意識しちゃうよねっ」
「萌恵ちゃん……っ」
う、嬉しすぎる!
ありがとう萌恵ちゃん! 大好き! 無限に言い続けても足りないぐらい大好き! 言葉では言い表せないほど愛してる!
だ、ダメだ、感情を抑えないと。
落ち着け私、深呼吸しながら素数を数えよう。
周りに人が少ないとはいえ、人前であることには変わらない。
小さい子もいる中で、堂々と恋人を抱きしめて唇を奪うわけにもいかない。
「真菜さん、ちょっと震えていませんか?」
「そっとしておいてあげなさい。真菜はいま、自分自身と戦ってるのよ」
美咲ちゃん、心配してくれてありがとう。
芽衣ちゃん、さすが片思い時代の同志だね。よく分かってくれてる。
「あっ、そうだ」
萌恵ちゃんがなにかを思い付いたらしく、くいっと私の腕を引いて少し隣にずれる。
「ど、どうしたの?」
「んふふっ、この位置なら誰にも見られないから――ちゅっ」
柔らかくて温かな感触が、唇に触れる。
「っ!?」
心の底から期待していた。だけど、この場では無理だと諦めていた。
だからこそ、驚きと感激が尋常じゃなく大きい。
幸いにも私の唇は萌恵ちゃんの唇によって塞がれ、驚きの声は周りに漏れずに済む。
数秒ほど口付けを堪能し、誰かに見られる前に唇を離す。
萌恵ちゃんの素敵な閃きのおかげで、しばらくはキスの余韻に浸ることで欲求を抑制できそうだ。
「あ、あんたたち、大胆すぎるわよ」
「め、目が離せませんでした」
他のお客さんには見られていなかったけど、同伴者である美咲ちゃんと芽衣ちゃんにはしっかりと目撃されてしまう。
友達にキスを見られるというのはどうにも気恥ずかしく、私と萌恵ちゃんは二人そろって顔を赤くした。
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