私がガチなのは内緒である

ありきた

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4章 高校最初の夏休み

22話 Wデート③

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 様々なアクアリウムやショーなどを心行くまで堪能した私たちは、最後に売店へ寄って四人でおそろいのストラップを購入し、水族館を後にした。
 みんなで感想を語りつつ、駅の近くにあるファミレスに入る。
 シェアできる料理を数点と、人数分のドリンクバーを注文。
 朝に集まって昼過ぎまで水族館にいたので、ちょっと遅めの昼食だ。
 各々が好きなドリンクをグラスに注ぎ、席に戻って腰を落ち着ける。

「半端なく楽しかったわね。侮ってたわけじゃないけど、想像以上だったわ」

「いい写真も撮れました。また行きたいです」

「学割でけっこう安くなるし、夏休み中にもう一回行ってもいいかもね~。あっ、でもプールとか海にも行きたいっ」

「いいね、萌恵ちゃんの水――じゃなくて、久しぶりに流れるプールとか入りたいなぁ」

 話が弾んだ勢いで不埒な願望を漏らすところだった。
 なんとかごまかせて――

(萌恵の水着が見たいのね)
(萌恵さんの水着が見たいんですね)
(あたしの水?)

 うん、みんなの表情で分かる。萌恵ちゃんはともかく、芽衣ちゃんと美咲ちゃんは完全に察している。
 私が途中で無理やり軌道修正したから気遣ってくれたんだろうけど、黙っていても心の声が聞こえてくるよ。
 やがて料理が運ばれ、談笑から食事へとシフトする。

「真菜、あ~ん」

 萌恵ちゃんっ!?
 思わず声を荒げてしまいそうなのをどうにか堪え、冷静に状況を分析する。
 八等分にされたピザを一切れ手に取った萌恵ちゃんが、隣に座る私の口元へと近付けた。
 右手でピザを持ち、そのやや下に左手を添えている。
 チーズやトマト、バジルなどが放つ香りが鼻孔をくすぐり、食欲を誘う。
 私に向けられた萌恵ちゃんの柔らかな笑顔は、疲れを癒し、安らぎを与えてくれる。
 以上、一秒足らずで状況を完全に把握した。
 妄想でも勘違いでもない。となれば、人前だからと照れたり遠慮する必要はないわけだ。

「い、いただきます。あーん」

 突然のことに少し動揺しつつも、いつも家でやっているように口内へと迎え入れる。
 私が一口かじった後、萌恵ちゃんも「いただきま~す」と言ってから分の口に運んだ。
 か、間接キス……っ!
 キスの感動が少しも薄れないのと同じで、間接キスにも未だに過剰反応してしまう。

「ん~っ、おいしい!」

 幸せそうに顔をほころばせる萌恵ちゃん。かわいすぎる。
 いや、もう、ほんとにかわいいっ。
 かわいいかわいいかわいいかわいい!
 いますぐ思いっきりぎゅーって抱きしめたい! たくさん頬ずりしてから、唇の感覚がなくなるまでキスしたい! 体の隅々まで愛し尽くしたい!
 萌恵ちゃん好き! 大好き! 愛してる!



 さて、無事に食事を終えてファミレスを出た頃には、すっかり夕陽が町を染めていた。
 どうにか本能を抑え込んだ私の理性に賞賛の拍手を送りたい。

「また遊ぼうね。気が向いたら、家にも来てほしいな」

「予備の布団があるから、お泊りでもいいよ~」

「ぜひ行かせてもらうわ。そのときはお菓子でも持参するわね」

「今日みたいに盛り上がりそうですね。いまから楽しみです」

 私たちは駅前でしばらく話し込み、混雑し始める前に解散する。
 初めてのWデートは、夏休みを彩る素敵な思い出となった。
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