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52話 シンプルな理由の説明からの斬新な提案
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「葵先輩、昨日はありがとうございました」
部室に来てすぐ、葵先輩に借りた体操服を返却する。
「悠理の役に立ててよかったよ。っていうか、洗わなくてもよかったのに~」
実は昨日の部活でも同様のことを言われたんだけど、さすがに中距離走で汗だくになった体操服を洗わずに返すわけにはいかない。
「次はわたしの体操服を着てもらいたいわぁ❤ もちろん、洗濯せずに返してね❤」
「そ、それはちょっと」
私が難色を示すと、姫歌先輩の顔色が一瞬にして青ざめた。
「え……も、もしかして、わたしの体操服は、着たくない、の?」
いつもの大人びた余裕はなく、眦に涙をにじませ、泣き出してしまうのをどうにか堪えているような表情を浮かべる。
童顔に反して色っぽい息遣いも鳴りを潜め、ただただ悲しげな声音になっていた。
そこはかとない罪悪感に襲われ、慌てて「違いますよ!」と大声を上げる。
「そういう意味じゃないです。着たいか着たくないかで言えば、お金を払ってでも着たいですよ。ただ、胸のサイズが違いすぎて、私が姫歌先輩の服を着ると一部分だけ残念なことになるから着れないってだけです」
身長や腰回りは大差なくても、胸部だけはもはや別次元。いくら体操服が多少の伸縮性を備えていても、あれほどの爆乳を包んで無事なわけがない。
胸の辺りだけ生地が伸びていることは明白であり、本人以外が着用すると大変虚しい思いをすることになる。
ちなみに、真里亜先輩に関しても同じ理由が挙げられる。逆にアリス先輩はかなり小柄だから、彼女の服を私が着ると間違いなく丈が足りない。
以上の理由から、グループ全体にメッセージを送らず、葵先輩個人に連絡して体操服を借りた。
「ほ、ほんとに?」
「本当に本当です。だから、そんな悲しい顔をしないでください」
滅多に見れない弱気な表情も魅力的ではあるけれど、やっぱり好きな人には笑っていてほしい。
不安を感じさせたくないので、念のために一通りの説明をしておく。
事の経緯をすべて話すと、みんなすんなり納得してくれた。
「よかったぁ❤ それじゃあ、いまからブラウスを脱ぐから、そこにおしっこして❤」
刹那、沈黙が走る。
自信がないテスト終了直前の時間よりも必死に思考を働かせたものの、答えに至る足がかりすら導き出せなかった。
葵先輩と真里亜先輩も私と同様に絶句して、姫歌先輩の方を注視している。
アリス先輩も、テーブルの下でピタリと動きを止めた。
「えっと、なんでですか?」
「汗を染み込ませてもらうのは難しそうだから、代わりにと思ったの❤」
「なるほど、そういうことですか。お断りします」
「だったら、一日パンツを交換するのはどうかしら❤」
「それも――あ、でも、うーん……」
即答で断ろうとしたものの、寸でのところで思い留まる。
パンツを交換するぐらいなら、いいのかな?
恋人なんだし、いつか体を重ねることを思えば……いや、でもさすがに……むむむ……。
「いいじゃん! あーしも賛成! ローテーションで悠理とパンツを交換すれば平等だよね!」
「あ、アリスも、め、名案だと、思う」
「異論はないわね。ドМ心の琴線には触れないけど、素敵な提案だわ」
三人とも乗り気だ。
恋人同士なら普通。とまではいかなくても、頑なに拒絶するようなことではないのかもしれない。
いや、でも、この先輩たちはいろんな意味で特別だからなぁ。
「と、とりあえず保留ということでお願いします」
とりあえずはキスやエッチと同じく、先延ばしにしてもらいたい。
否定的な意見ではなかったからか、先輩たちは快く承諾してくれた。
パンツを交換して穿く、か。また一つ、私の中で新しい扉が開いた気がする。
部室に来てすぐ、葵先輩に借りた体操服を返却する。
「悠理の役に立ててよかったよ。っていうか、洗わなくてもよかったのに~」
実は昨日の部活でも同様のことを言われたんだけど、さすがに中距離走で汗だくになった体操服を洗わずに返すわけにはいかない。
「次はわたしの体操服を着てもらいたいわぁ❤ もちろん、洗濯せずに返してね❤」
「そ、それはちょっと」
私が難色を示すと、姫歌先輩の顔色が一瞬にして青ざめた。
「え……も、もしかして、わたしの体操服は、着たくない、の?」
いつもの大人びた余裕はなく、眦に涙をにじませ、泣き出してしまうのをどうにか堪えているような表情を浮かべる。
童顔に反して色っぽい息遣いも鳴りを潜め、ただただ悲しげな声音になっていた。
そこはかとない罪悪感に襲われ、慌てて「違いますよ!」と大声を上げる。
「そういう意味じゃないです。着たいか着たくないかで言えば、お金を払ってでも着たいですよ。ただ、胸のサイズが違いすぎて、私が姫歌先輩の服を着ると一部分だけ残念なことになるから着れないってだけです」
身長や腰回りは大差なくても、胸部だけはもはや別次元。いくら体操服が多少の伸縮性を備えていても、あれほどの爆乳を包んで無事なわけがない。
胸の辺りだけ生地が伸びていることは明白であり、本人以外が着用すると大変虚しい思いをすることになる。
ちなみに、真里亜先輩に関しても同じ理由が挙げられる。逆にアリス先輩はかなり小柄だから、彼女の服を私が着ると間違いなく丈が足りない。
以上の理由から、グループ全体にメッセージを送らず、葵先輩個人に連絡して体操服を借りた。
「ほ、ほんとに?」
「本当に本当です。だから、そんな悲しい顔をしないでください」
滅多に見れない弱気な表情も魅力的ではあるけれど、やっぱり好きな人には笑っていてほしい。
不安を感じさせたくないので、念のために一通りの説明をしておく。
事の経緯をすべて話すと、みんなすんなり納得してくれた。
「よかったぁ❤ それじゃあ、いまからブラウスを脱ぐから、そこにおしっこして❤」
刹那、沈黙が走る。
自信がないテスト終了直前の時間よりも必死に思考を働かせたものの、答えに至る足がかりすら導き出せなかった。
葵先輩と真里亜先輩も私と同様に絶句して、姫歌先輩の方を注視している。
アリス先輩も、テーブルの下でピタリと動きを止めた。
「えっと、なんでですか?」
「汗を染み込ませてもらうのは難しそうだから、代わりにと思ったの❤」
「なるほど、そういうことですか。お断りします」
「だったら、一日パンツを交換するのはどうかしら❤」
「それも――あ、でも、うーん……」
即答で断ろうとしたものの、寸でのところで思い留まる。
パンツを交換するぐらいなら、いいのかな?
恋人なんだし、いつか体を重ねることを思えば……いや、でもさすがに……むむむ……。
「いいじゃん! あーしも賛成! ローテーションで悠理とパンツを交換すれば平等だよね!」
「あ、アリスも、め、名案だと、思う」
「異論はないわね。ドМ心の琴線には触れないけど、素敵な提案だわ」
三人とも乗り気だ。
恋人同士なら普通。とまではいかなくても、頑なに拒絶するようなことではないのかもしれない。
いや、でも、この先輩たちはいろんな意味で特別だからなぁ。
「と、とりあえず保留ということでお願いします」
とりあえずはキスやエッチと同じく、先延ばしにしてもらいたい。
否定的な意見ではなかったからか、先輩たちは快く承諾してくれた。
パンツを交換して穿く、か。また一つ、私の中で新しい扉が開いた気がする。
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