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第1章
第61話《兄視点…総一郎との再会》
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兄視点《2》~オメガコンテスト開幕!一方その頃兄は~
肩に置かれた手にビクッとなりながらも恐る恐る背後を振り返る。
すると、そこには見覚えのあるハーフっぽい美形の巨人男がこちらを見下ろしていた。
「めじろっ!!また会えて嬉しかよ!!」
「ヴァッ!?…君は確か…根田ドルトラさん!?」
俺が振り返って彼の顔を認識した瞬間、ガバッといきなり抱き締められて、その後流れるように腰を抱かれる。
(おいおい、マジかよ…。噂をすればご本人登場…ってか??)
「ちょ!流石に恥ずかしいから離してくれっ!」
一般的なお祭り並みの人口密度の高い人混みの中で交わされる熱い抱擁にかなりの羞恥心を覚える。
周りに知り合いとかいないだろうな、とあたりを見渡すと、運が悪い事にいつの間にか近くにいたらしい鷹崎君の姿を見かけてしまった。
(げっ!あれはすずめの彼氏君じゃねーか!)
彼はこちらの方向とスマホと見比べながら俺の周辺をずっとうろちょろしている。
さっきから何してるんだこの男…。
探し物をしているにしては全然この周辺から立ち退く気配がしないし…。
まさか、αなのに完全に押し負けている今の俺の無様な姿を写真に撮って、弱味でも握るつもりじゃないだろうな?
すずめが選んだ彼氏に限ってそんな事をするわけがないとは思っているが、これ以上無様な姿を見られるのも嫌なのでドルトラさんの体を無理やり押し戻そうと奮闘するも、1ミリたりともびくともしない。
(うおおぉ!!……え、力強っ!!?)
そういえばこの人、ラグビー部のキャプテンだとかなんとか言ってたな…。
俺もスポーツは好きだが、小さいころから大学の部活までずっとサッカー部だったので、腕の力ではラグビー部に全然かなわない。
相田君に助けを求めようとするも、彼はつばめのお土産を探そうとしているのか飴を販売している出店のラインナップを眺めていてこちらに気付いていない。
「ぜぇ、はぁ…もういいや…。それより、ドルトラさんは何でこんなところにいるんだ?たこ焼き屋は?相田君がここにいるって事は今誰も店番がいないんじゃねえの?」
「ああ!それなんやけど、ついさっきすずめ君がたこ焼きをばんばか売りさばいてくれたもんやけん材料が足らんごとなったんよ。それで丁度今買い出しに行っとった所なんやけど、本当にあの子はすごか!将来有望過ぎるばい!」
「!!ま、まぁ当然だな…!」
すずめがミスターコンの第二次審査の時にたこ焼き店の代理をするって話は昼間根田さんから聞いて知ってはいたが、彼のあの興奮気味な話しぶりからして、相当な売り上げだったのだろう。
おそらく、すずめのあの小動物も叶わない愛くるしさと、アイドルも真っ青な愛嬌の良さと、3つ星シェフ並みの料理の腕前で数多のお客さん達を次々と虜にしたに違いない。
まぁ多少というか大分兄としての贔屓目が入っているかもしれないが、それはご愛嬌だ。
しかし、見た目以外の事で弟の事を他人に褒められる経験は今まで無かったため、ものすごく良い気分になった。
(へぇ、ドルトラさん、中々人見る目があるし結構良い人じゃないか。)
この人に関してはやたらスキンシップが激しくかなり強引な所があるので、正直苦手意識があったのだが、これからも少しだったら相手にしてやらんでもない。
「それじゃ、ちょっと名残惜しかばってん、たこ焼き屋のシフトに戻るけんね。めじろ、また近いうちに会おうな。」
ドルトラさんが軽く俺の額にキスをしてきたので慌てて髪でそこを隠すと、彼は高らかに笑いながらこの場を去っていった。
嵐が去ったようなへとへとば気分で何気なく辺りを眺めていると、やっぱり再度鷹崎君の姿が視界にうつる。
俺がドルトラさんから解放されたのにも関わらず、引き続き辺りをキョロキョロと見渡したかと思うと、スマホを確認して、また辺りをキョロキョロするという中々の奇行を繰り広げていた。
よくよく冷静に彼の様子を観察してみると、何だか困ったような…或いは焦ったような表情を浮かべている。
(あ!もしかして、道に迷ってんのか?)
あの顔は見覚えがある。つばめとすずめが小さい頃、両親とはぐれて迷子になった時に全く同じような表情を浮かべていた。
もしそうだったとしたら、迷っている弟の彼氏をスルーしてしまうのは、将来の義兄としてはあまりにも印象が悪いかなと思い、鷹崎君に話しかけてみようとこちらから彼に近づいた。
(よっしゃ!ここは俺が世界で一番人格者で心優しい義兄だという事を見せつけてやろう。)
「なぁ、鷹崎k…!?」
俺がにこやかに話しかけようとしたその瞬間、鷹崎君が凄まじい殺気の籠った瞳孔の開いた目で、こちらの方というか俺よりちょっと上の方を睨みつけてきた。
(こ、こ、怖えええぇぇ!!)
彼の気迫に思わず後ずさり、いつのまにか俺の丁度真後ろにいた相田君にぶつかる。
その後、鷹崎君は一旦その場を離れたようだが、あそこまで憎まれているなんて思いもよらなかったので未だに心臓がバクバクしている。
(なんなんだあれ…。美形が怒るとあんな怖いのか…?!)
あまりにもびっくりしすぎて一瞬ちびりそうになっ…てはないぞ、うん。
「な、なぁ相田君よ…。俺、なんか鷹崎君を怒らせるような事をしちゃったのかな?」
「はっはっは!大丈夫っすよ!あの人は元々そういう顔なんす!なんせコンテスト前に軽く挨拶した時もあんな顔だったっすから!!生まれつきっす!」
相田君は鷹崎君のあの顔を見ても全然動じていないようで、何故だかからっと笑い飛ばしている。
いやいやいやいや、そんな訳はないだろう!?
俺の記憶が正しければコンテストの時とか、なんなら午前中自己紹介した時だってあんな顔じゃなかったぞ…。
兄視点《2》~オメガコンテスト開幕!一方その頃兄は~
肩に置かれた手にビクッとなりながらも恐る恐る背後を振り返る。
すると、そこには見覚えのあるハーフっぽい美形の巨人男がこちらを見下ろしていた。
「めじろっ!!また会えて嬉しかよ!!」
「ヴァッ!?…君は確か…根田ドルトラさん!?」
俺が振り返って彼の顔を認識した瞬間、ガバッといきなり抱き締められて、その後流れるように腰を抱かれる。
(おいおい、マジかよ…。噂をすればご本人登場…ってか??)
「ちょ!流石に恥ずかしいから離してくれっ!」
一般的なお祭り並みの人口密度の高い人混みの中で交わされる熱い抱擁にかなりの羞恥心を覚える。
周りに知り合いとかいないだろうな、とあたりを見渡すと、運が悪い事にいつの間にか近くにいたらしい鷹崎君の姿を見かけてしまった。
(げっ!あれはすずめの彼氏君じゃねーか!)
彼はこちらの方向とスマホと見比べながら俺の周辺をずっとうろちょろしている。
さっきから何してるんだこの男…。
探し物をしているにしては全然この周辺から立ち退く気配がしないし…。
まさか、αなのに完全に押し負けている今の俺の無様な姿を写真に撮って、弱味でも握るつもりじゃないだろうな?
すずめが選んだ彼氏に限ってそんな事をするわけがないとは思っているが、これ以上無様な姿を見られるのも嫌なのでドルトラさんの体を無理やり押し戻そうと奮闘するも、1ミリたりともびくともしない。
(うおおぉ!!……え、力強っ!!?)
そういえばこの人、ラグビー部のキャプテンだとかなんとか言ってたな…。
俺もスポーツは好きだが、小さいころから大学の部活までずっとサッカー部だったので、腕の力ではラグビー部に全然かなわない。
相田君に助けを求めようとするも、彼はつばめのお土産を探そうとしているのか飴を販売している出店のラインナップを眺めていてこちらに気付いていない。
「ぜぇ、はぁ…もういいや…。それより、ドルトラさんは何でこんなところにいるんだ?たこ焼き屋は?相田君がここにいるって事は今誰も店番がいないんじゃねえの?」
「ああ!それなんやけど、ついさっきすずめ君がたこ焼きをばんばか売りさばいてくれたもんやけん材料が足らんごとなったんよ。それで丁度今買い出しに行っとった所なんやけど、本当にあの子はすごか!将来有望過ぎるばい!」
「!!ま、まぁ当然だな…!」
すずめがミスターコンの第二次審査の時にたこ焼き店の代理をするって話は昼間根田さんから聞いて知ってはいたが、彼のあの興奮気味な話しぶりからして、相当な売り上げだったのだろう。
おそらく、すずめのあの小動物も叶わない愛くるしさと、アイドルも真っ青な愛嬌の良さと、3つ星シェフ並みの料理の腕前で数多のお客さん達を次々と虜にしたに違いない。
まぁ多少というか大分兄としての贔屓目が入っているかもしれないが、それはご愛嬌だ。
しかし、見た目以外の事で弟の事を他人に褒められる経験は今まで無かったため、ものすごく良い気分になった。
(へぇ、ドルトラさん、中々人見る目があるし結構良い人じゃないか。)
この人に関してはやたらスキンシップが激しくかなり強引な所があるので、正直苦手意識があったのだが、これからも少しだったら相手にしてやらんでもない。
「それじゃ、ちょっと名残惜しかばってん、たこ焼き屋のシフトに戻るけんね。めじろ、また近いうちに会おうな。」
ドルトラさんが軽く俺の額にキスをしてきたので慌てて髪でそこを隠すと、彼は高らかに笑いながらこの場を去っていった。
嵐が去ったようなへとへとば気分で何気なく辺りを眺めていると、やっぱり再度鷹崎君の姿が視界にうつる。
俺がドルトラさんから解放されたのにも関わらず、引き続き辺りをキョロキョロと見渡したかと思うと、スマホを確認して、また辺りをキョロキョロするという中々の奇行を繰り広げていた。
よくよく冷静に彼の様子を観察してみると、何だか困ったような…或いは焦ったような表情を浮かべている。
(あ!もしかして、道に迷ってんのか?)
あの顔は見覚えがある。つばめとすずめが小さい頃、両親とはぐれて迷子になった時に全く同じような表情を浮かべていた。
もしそうだったとしたら、迷っている弟の彼氏をスルーしてしまうのは、将来の義兄としてはあまりにも印象が悪いかなと思い、鷹崎君に話しかけてみようとこちらから彼に近づいた。
(よっしゃ!ここは俺が世界で一番人格者で心優しい義兄だという事を見せつけてやろう。)
「なぁ、鷹崎k…!?」
俺がにこやかに話しかけようとしたその瞬間、鷹崎君が凄まじい殺気の籠った瞳孔の開いた目で、こちらの方というか俺よりちょっと上の方を睨みつけてきた。
(こ、こ、怖えええぇぇ!!)
彼の気迫に思わず後ずさり、いつのまにか俺の丁度真後ろにいた相田君にぶつかる。
その後、鷹崎君は一旦その場を離れたようだが、あそこまで憎まれているなんて思いもよらなかったので未だに心臓がバクバクしている。
(なんなんだあれ…。美形が怒るとあんな怖いのか…?!)
あまりにもびっくりしすぎて一瞬ちびりそうになっ…てはないぞ、うん。
「な、なぁ相田君よ…。俺、なんか鷹崎君を怒らせるような事をしちゃったのかな?」
「はっはっは!大丈夫っすよ!あの人は元々そういう顔なんす!なんせコンテスト前に軽く挨拶した時もあんな顔だったっすから!!生まれつきっす!」
相田君は鷹崎君のあの顔を見ても全然動じていないようで、何故だかからっと笑い飛ばしている。
いやいやいやいや、そんな訳はないだろう!?
俺の記憶が正しければコンテストの時とか、なんなら午前中自己紹介した時だってあんな顔じゃなかったぞ…。
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