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第1章
第77話《シマちゃんの審査開始》
ひなの審査に関しては、しつこい遅延行為+投げやりな告白+キスを嫌がった事で、如実にシマちゃんとの点数差がついたかのように思われたが、何故か観客の一部?は一連の流れにやたら盛り上がっていた。
『こ、これは上質な寝取られシチュだぁああ!』
『キス直前に本命αの名前を悲しそうにつぶやいていたこともポイントが高いでござるな!!』
『いや~いいもの見せてもらったぜwww』
『遅延行為には心底イラつかせられたけどなw』
『バッカお前、あの遅延行為があったからこそ、殊更NTRが映えたんじゃねぇか!』
『相手役の男もモブおじとしての迫力があったし、あれはあれで俺は評価する…!』
『ま、俺的にシチュエーションとしては満点だったよ!!』
(えぇ…。一体どういう感性してるんだあの人達…。まぁいいものを見せて貰ったってのは俺もそう思うけど。)
正直、ひなに恨みがある俺からするとさっきのキスは心が晴れるような展開だったが、何の恨みも無いはずの一部の男性客が盛り上がっている理由がイマイチよく分からない。
寝取られ~とかなんとか聞こえてきた気がするが、まさかそれが高評価ポイントになったのか?
それとも、いちゃいちゃカップルばかり見せられた後に本命と上手くいかずに好みじゃない相手と半ば無理やりくっつけられてしまったから、同情票でも集まっているのだろうか。
まぁなんにせよ、告白成功のボーナスが10000点も入って、さらに観客の中にもひなの事を支持する層がいるとなると、コンテストの勝敗的にはまだまだ決着はついていないってことになる。
(流石にそう何でもかんでも上手くはいかないか。まぁ、ひとまずは、ひなが一泡噴いたところで良しとしよう。…勝負はこれからだ。)
「い、いや~熱烈な告白タイムでしたね…!…ということで、今度こそ以上を持ちまして愛野ひな様の審査を終了したいと思います…!」
ひなの審査邪魔をしないために再度舞台袖に控えていた司会が気まずそうな顔で締めのアナウンスをする。
紆余曲折は経たものの、ようやくひなの審査も終わり、これで残るはシマちゃんただ一人になった。
◇◇◇
「さて、それでは大変長らくお待たせしておりました、エントリーナンバー1番江永シマ様によるプロポーズが始まります…!シマ様、どうぞこちらに登壇していただければと思います!」
司会の突然丁寧になったアナウンスと共にシマちゃんがステージに上がり、悠然とした面持ちで観客に手を振ると、観客席から大きな拍手が送られた。
『来た来た!シマちゃんの出番だ!!』
『もう今日は見れないかと思った~!』
『シマたんの審査、楽しみだなぁ!』
『頑張れー!シマちゃん!』
『え、楽しみかぁ?推しが本命に告白する所を見せられるんだぜ…』
『なー。ガチ恋からしてみれば地獄の審査だわ…』
『どうせシマちゃんもイケメンに告白するんだろうな…。』
『これ以上可愛いΩの子に彼氏が出来る所なんて見とうない~!』
『うっうっ…。もうシマたんのおむらいちゅ食べれないよぉ…』
観客の声を聞くと、シマちゃんの満を持しての登場に歓喜するファンと、シマちゃんにも彼氏が出来る事を危惧して嘆いているファンに真っ二つに割れていた。
(なるほど…、これは本命の男性に告白なんて間違っても出来ないよな…。)
特にシマちゃんはメイド喫茶の店員(多分エース)だから、彼氏バレしたら客足的にも少しまずい立場でもあるわけだ。
俺みたいな小さいΩ相手だと、一発で彼氏じゃないって分かるから友達としてはうってつけだったのだろう。
「え~シマ様はこちらの都合のルール変更により、相手役をエキストラから本命へと変更する準備をしたいという事でしたが、本命とは一体誰をご指名になられるのでしょうか?また、彼とはどういったご関係かについても教えていただければと思います。」
「はい♪」
司会がシマちゃんに対してインタビューをすると、彼は快く返事をして、ゆっくりとステージの中央の前方に歩み出る。
そして、ひな同様胸の所で祈るように指を組んで美しい笑みを浮かべながら言葉を発した。
「彼とは運命の出会いだったんです…。最初は暴力的な男達にも果敢に一人で立ち向かっている所を目撃した所から始まって…それから何度か会う機会があったんですけど、実際に話してみたらびっくりするくらい気が合うし、優しいし、何気にハイスペックだし、『あぁ、この人となら一生付き合っていけそうだな。』って心から思ったんですよね。」
(あれ、なんか、物凄く美化されてるけど、これって俺の事だよな…?)
シマちゃんが柔らかな表情で(おそらく)俺の事を脚色して話しているのを聞いて、シマちゃんのファンや観客達は殊更おおいに嘆き始める。
『ああ…これはもう本命彼氏確定演出ですな…』
『終わった…俺らの恋が…。』
『結局シマたんも勝ち組αを選んでしまうのでござろうか…』
『うう…萎えそう…。』
『あーはいはい、頼りになって優しいスパダリα自慢ね…。』
『いいよねぇΩ様は。無条件でカッコイイ彼氏が出来て。』
『ちょっと、あんた達言い過ぎ!シマ様は悪くないじゃん!』
『でもさぁ、流石にもう飽きたってこの流れ。出場者皆揃ってスパダリαにプロポーズしてんじゃん。ま、一人失敗した人いるけどwww』
『そ、それはそうだけど…。』
『審査を通してマウント取られてんだよ、あたし達βは。』
『うう…。そうなのかなぁ、シマ様…。』
中には今まで出場者たちによるα自慢?が続いた事へのヘイトをシマちゃんに向けてしまう客もいて、聞いていて耳が痛い。
(あ、もしかしてシマちゃん、ここで一見αに告白するような雰囲気を匂わせて好感度を下げておいて、実際にはΩの俺に告白するというオチにする事で好感度を上げる作戦なのかな?)
『こ、これは上質な寝取られシチュだぁああ!』
『キス直前に本命αの名前を悲しそうにつぶやいていたこともポイントが高いでござるな!!』
『いや~いいもの見せてもらったぜwww』
『遅延行為には心底イラつかせられたけどなw』
『バッカお前、あの遅延行為があったからこそ、殊更NTRが映えたんじゃねぇか!』
『相手役の男もモブおじとしての迫力があったし、あれはあれで俺は評価する…!』
『ま、俺的にシチュエーションとしては満点だったよ!!』
(えぇ…。一体どういう感性してるんだあの人達…。まぁいいものを見せて貰ったってのは俺もそう思うけど。)
正直、ひなに恨みがある俺からするとさっきのキスは心が晴れるような展開だったが、何の恨みも無いはずの一部の男性客が盛り上がっている理由がイマイチよく分からない。
寝取られ~とかなんとか聞こえてきた気がするが、まさかそれが高評価ポイントになったのか?
それとも、いちゃいちゃカップルばかり見せられた後に本命と上手くいかずに好みじゃない相手と半ば無理やりくっつけられてしまったから、同情票でも集まっているのだろうか。
まぁなんにせよ、告白成功のボーナスが10000点も入って、さらに観客の中にもひなの事を支持する層がいるとなると、コンテストの勝敗的にはまだまだ決着はついていないってことになる。
(流石にそう何でもかんでも上手くはいかないか。まぁ、ひとまずは、ひなが一泡噴いたところで良しとしよう。…勝負はこれからだ。)
「い、いや~熱烈な告白タイムでしたね…!…ということで、今度こそ以上を持ちまして愛野ひな様の審査を終了したいと思います…!」
ひなの審査邪魔をしないために再度舞台袖に控えていた司会が気まずそうな顔で締めのアナウンスをする。
紆余曲折は経たものの、ようやくひなの審査も終わり、これで残るはシマちゃんただ一人になった。
◇◇◇
「さて、それでは大変長らくお待たせしておりました、エントリーナンバー1番江永シマ様によるプロポーズが始まります…!シマ様、どうぞこちらに登壇していただければと思います!」
司会の突然丁寧になったアナウンスと共にシマちゃんがステージに上がり、悠然とした面持ちで観客に手を振ると、観客席から大きな拍手が送られた。
『来た来た!シマちゃんの出番だ!!』
『もう今日は見れないかと思った~!』
『シマたんの審査、楽しみだなぁ!』
『頑張れー!シマちゃん!』
『え、楽しみかぁ?推しが本命に告白する所を見せられるんだぜ…』
『なー。ガチ恋からしてみれば地獄の審査だわ…』
『どうせシマちゃんもイケメンに告白するんだろうな…。』
『これ以上可愛いΩの子に彼氏が出来る所なんて見とうない~!』
『うっうっ…。もうシマたんのおむらいちゅ食べれないよぉ…』
観客の声を聞くと、シマちゃんの満を持しての登場に歓喜するファンと、シマちゃんにも彼氏が出来る事を危惧して嘆いているファンに真っ二つに割れていた。
(なるほど…、これは本命の男性に告白なんて間違っても出来ないよな…。)
特にシマちゃんはメイド喫茶の店員(多分エース)だから、彼氏バレしたら客足的にも少しまずい立場でもあるわけだ。
俺みたいな小さいΩ相手だと、一発で彼氏じゃないって分かるから友達としてはうってつけだったのだろう。
「え~シマ様はこちらの都合のルール変更により、相手役をエキストラから本命へと変更する準備をしたいという事でしたが、本命とは一体誰をご指名になられるのでしょうか?また、彼とはどういったご関係かについても教えていただければと思います。」
「はい♪」
司会がシマちゃんに対してインタビューをすると、彼は快く返事をして、ゆっくりとステージの中央の前方に歩み出る。
そして、ひな同様胸の所で祈るように指を組んで美しい笑みを浮かべながら言葉を発した。
「彼とは運命の出会いだったんです…。最初は暴力的な男達にも果敢に一人で立ち向かっている所を目撃した所から始まって…それから何度か会う機会があったんですけど、実際に話してみたらびっくりするくらい気が合うし、優しいし、何気にハイスペックだし、『あぁ、この人となら一生付き合っていけそうだな。』って心から思ったんですよね。」
(あれ、なんか、物凄く美化されてるけど、これって俺の事だよな…?)
シマちゃんが柔らかな表情で(おそらく)俺の事を脚色して話しているのを聞いて、シマちゃんのファンや観客達は殊更おおいに嘆き始める。
『ああ…これはもう本命彼氏確定演出ですな…』
『終わった…俺らの恋が…。』
『結局シマたんも勝ち組αを選んでしまうのでござろうか…』
『うう…萎えそう…。』
『あーはいはい、頼りになって優しいスパダリα自慢ね…。』
『いいよねぇΩ様は。無条件でカッコイイ彼氏が出来て。』
『ちょっと、あんた達言い過ぎ!シマ様は悪くないじゃん!』
『でもさぁ、流石にもう飽きたってこの流れ。出場者皆揃ってスパダリαにプロポーズしてんじゃん。ま、一人失敗した人いるけどwww』
『そ、それはそうだけど…。』
『審査を通してマウント取られてんだよ、あたし達βは。』
『うう…。そうなのかなぁ、シマ様…。』
中には今まで出場者たちによるα自慢?が続いた事へのヘイトをシマちゃんに向けてしまう客もいて、聞いていて耳が痛い。
(あ、もしかしてシマちゃん、ここで一見αに告白するような雰囲気を匂わせて好感度を下げておいて、実際にはΩの俺に告白するというオチにする事で好感度を上げる作戦なのかな?)
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