浮気αと絶許Ω~裏切りに激怒したオメガの復讐~

飴雨あめ

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第1章

第96話《鷲ノ宮さんとチョーカーを買いに行くすずめ》

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とりあえず今のところは考えすぎてもキリが無いので、ほとぼりが冷めるまで借りるだけだと思う事にしよう…。


俺は気持ちを切り替えて彼に手渡された説明書にさっと目を向ける。

(スマホも帰ったらすぐにでも設定しておかないとな…。)

母親譲りで機械に関して鈍いせいで、前回スマホを買った時は総一郎に初期設定をしてもらうハメになったのだけど、これを機に流石に自分で出来るようにならねば。

初期設定とメッセージアプリのインストールと連絡先の登録くらいならいい加減俺にだって出来るよな?
相田君やシマちゃんの登録先は紙として持っているし、家族の連絡先は頭に記憶しているので、後で登録しておこう。


「巧斗さん、ありがとう…!大切に使わせてもらうね。」
「いえいえ、喜んでいただけて嬉しいです。っと、それでは遅くなる前にここを出ましょうか。電話口でも言いましたが、これから少し寄りたい所があるんです。…すずめが疲れている所申し訳ないのですが…」


巧斗さんが気づかわし気にこちらに目を向けてくるので、とんでもないと声を上げた。

「いや、そんな!まだまだ元気だよ?荷物持ちでもなんでも任せて!」
「そうですか?それは良かった。ではお言葉に甘えましょうか?」


慌てる俺に、巧斗さんが緩やかに笑いながら車のエンジンをかける。



◇◇◇


それから、大学を出て高層ビルの街を通り抜けること約10分、高級店ばかりが立ち並ぶ通りに入ると、その周辺の駐車場に車を止めた。


「さぁすずめ、つきましたよ。こちらです。」
「あ、うん!ってあれ?スーパーとかに行くんじゃなかったんだ…?」

これから買い物って言うから、てっきり夕飯の買い出しの事かと思っていたのだが、どう考えてもこの辺にスーパーは無い。


助手席のドアが自動的に開き、巧斗さんにエスコートされながら、近くにあった街角の高級ジュエリーショップのような店にたどり着く。
外装から内装まで装飾と間接照明が上品に凝っていて、俺が今まで入った事が無いタイプのお店だ。


「あの~ここって…?」
「チョーカーだけを扱っている専門店らしいです。実は俺も始めてくる所なんですが、祝日も開いているようで良かった。」

店に入る時にほんの少し段差があるからか、巧斗さんがまた紳士然として手を差し出すので、リッチな雰囲気に少し戸惑いながらも手を乗せる。


(…チョーカー…?巧斗さんが着けるようにも見えないし、まさかまた俺に何か買ってくれるつもりなのか…?!)


まぁでも今の俺の立場上、もっと頑丈なチョーカーに買い直さなければいけない事は、今日のαおじさん襲来の件で身に染みる程分かったからな…。

それに、おじさんだけで無く、総一郎も無責任に項を噛んでくるかもしれないし、安くて頑丈なのがあったら自分のお小遣いで買ってみるのもいいかもしれない。
確か、夏休みに総一郎がテニスサークル合宿中で不在の時に、日雇いバイトで稼いだお金がまだ数万円残っていたはずだ。

(まぁ、これも復讐完遂のための必要経費だよな!)

…と、巧斗さんに店内を連れられながら、辺りのチョーカーを見渡してみると、一番低価格の品で20万円超えだったのであっという間に肝が冷えた。


(高…!!一番安い奴で20万円…って、これ…よく見たらひなが総一郎に貰ったって自慢してこれみよがしに着けていたオメガローズの高級版チョーカーだ…。)

新作の筈なのに、何故か定価の40万円に赤で横線がひかれて半額になっているそれは、つい最近嫌になるくらい見覚えのあるものだった。

最悪なトラウマがよみがえり、眉を寄せながらそのチョーカーを凝視していると、巧斗さんが不思議そうにこちらを振り返る。


「すずめ?…もしかしてそのチョーカーが気に入ったのですか?」
「え!いや…なんとなく綺麗だなぁって…。あはは…」


欲しいどころか、呪いの品と言っても過言ではない位の代物だが、店内で長々と事情を話すのもアレだと思い愛想笑いで誤魔化す。

「…!それは…確かに見た目は綺麗ですが…これだけはお勧めは出来ませんね…。」
「え、どうしてですか…?」

巧斗さんがそのチョーカーを見た途端、苦い顔をするので思わず聞き返す。



「…いえ、実はですね…この間ニュースにもなっていましたが、オメガローズの新作は脆すぎて普通に引っ張っただけで壊れると評判の品なんですよ…。」

巧斗さんが周りに聞こえないように声を落とし、そっと俺に耳打ちしてきた衝撃の事実に瞠目した。

(はぁ?!引っ張っただけで壊れる…!?そんなのΩに取ってみたらたまったものじゃないだろ…。)

いや、でもそうか…それなら発売直後に半額になっているのも頷けるな。


「そうなんだ…。それは…初耳だったな…。」
「ええ。まぁでも今では既に番がいるΩの方が、結婚後にお洒落のためにつけるアクセサリーとして人気があるらしいですよ。すずめが気に入ったのなら、将来買いに来ましょうね。」

「?う、うん…そうだね…?」

(なんか今、さらっとプロポーズみたいな事言ってたけど言葉のあやだよな…?)


巧斗さんの発言に首を傾げていると、上品なスーツを着た女性店員さんがにこやかな笑顔でこちらに近寄って営業をかけてくる。


「いらっしゃいませお客様。お連れ様のチョーカーをお探しでしょうか?」
「ええ、かなり頑丈でセキュリティもしっかりしていて、尚且つお洒落なものが欲しいのですが…。」

「かしこまりました!…それでしたらぴったりの品がありますよ…!…ああでも、失礼ながらご予算の上限等はありますでしょうか?」
「いえ、無いです。」


あまりにはっきりとした即答に思わず目玉が飛び出た。

(無いです!?!?こんな高級店でそんな事を言ってしまったら破産するのでは…!?)
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