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第1章
第95話《鷲ノ宮さんと車中にて》
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そういえば、彼には電話口で出来ればタメ語かつ、巧斗さん呼びで話してほしいと言われてたんだった。
色々ありすぎて完全に忘れてたな…。
「ごめんなさい、つい…。だって巧斗さんがあまりにカッコいい紳士だから…」
「!………はぁ…。あまり可愛いことを言われると、なんだか試されている気分になりますね…。」
二度目の敬語を使うというミスに申し訳なく思い、手を合わせながら巧斗さんと見上げて謝ると、ふいっと手で口元を覆い、顔を背けてため息をつかれた。
あれ…なんだか今の仕草…、どっかで見た事あるような気がするんだけど…気のせいか?
それから数分歩いて、ようやく駐車場まで辿りつくと、例の見覚えのあるド派手な蛍光ピンクのビカビカ車が見えてくる。
「あ。着きましたね。あれが俺の車です!ちょっとさっきまでお買い物に行っていて、中が荷物で散らかっていますが…どうぞ乗ってください。」
「いえいえそんな…!それじゃあお邪魔します。」
さっきまで王子様みたいな佇まいだった巧斗さんがほんの少しはしゃいだ声を出して車へと近寄り、助手席のドアを開けてくれる。
彼にエスコートされて助手席に座ると、彼の言う通り、ルームミラー越しにお高そうなデパートの紙袋や箱が後部座席にわんさか乗っているのが見えた。
買い物というよりは、プレゼントが積まれているといった状況だ。
「わあ、すごい…。これ全部今日のお買い物…??」
想像以上の量に驚きながら問いかけると、巧斗さんはちょっと照れくさそうに笑った。
「ええまぁ…実はさっき、君が泊まりに来るというので、色々必要なものを買い揃えようとして、つい張り切りすぎてしまいました。あぁでも本当に日用雑貨とか、必要最低限のものしか買ってないんですよ?」
巧斗さんが俺に気を遣わせないためか、慌てて言い訳をするが、それにしても有名高級ブランドのロゴが入った荷物ばっかりなのはどういうことだろうか…。
(この人本当に何者なんだろう…。石油王かなにか…?)
巧斗さんが俺が座ったのを微笑みながら確認すると、執事のように恭しく外から助手席のドアを閉め、運転席に座る。
…この人といると何から何までお世話されすぎて、まるでどこかのお姫様にでもなったような気分だ。
(まぁでも、このまま甘えまくってたら駄目だよな。)
せめて彼の自宅にお邪魔している間は、料理に掃除に洗濯にと、家事に精を出そう。
「なんだか色々気を遣ってもらってごめんね。お詫びにもならないけど、何か俺に出来る事とかあったらなんでも言ってね?」
「…なんでも…?あ、いえいえ、すずめは何も気にしなくていいんですよ。でも、そうですね。…でしたら一旦すずめのスマホをお借りしたいのですがいいですか?」
「?スマホ?いいよ?」
巧斗さんのお願いに、俺はすぐに頷き、バッグからスマホを取り出し彼に渡す。
スマホを受け取った巧斗さんは、スマホの電源を入れ、取得したアプリが並ぶ画面に切り替えて、GPSと書かれたアイコンのアプリをアンインストールしようとする。
すると、勝手にスマホ画面がバグってフリーズして再起動になったので、俺はその事について言及した。
「ああ、そのGPSアプリ、俺も消そうとしたんだけど、どうやっても消せないんだ。なんでもスマホの初期設定アプリだから消したら壊れるんだって。」
「消したら壊れる…?それは誰に聞きましたか?」
「え、あ…総一郎君…だけど…。」
戸惑いながら総一郎の名を出す俺に、巧斗さんが険しい声を出した。
「そう、ですか…。とりあえず、このスマホは高度な改造が施されているみたいなので、しばらくは俺が買ってきたスマホを使ってください。こちらの呪ぶt…いえ、スマホは俺が責任をもって修理に出しておきます。」
(…今巧斗さん、俺のスマホの事を呪物って言いかけなかった?)
まさか、そんなヤバイ事になっていたとはつゆ知らず、呑気に今日までこのスマホを愛用していたとは…。
俺が思わずぶるっと身震いをしていると、巧斗さんは後部座席から、今まさに買ってきたばかりだと思われる新しいスマホの箱を取り出し、俺に手渡す。
(!これ…つい最近テレビでCMにでてた〇十万するやつだ…。)
「え、こんな高そうなものをお借りしちゃってもいいの!?」
気持ちは嬉しいけど、間違って割ってしまったら一大事だ。
「もちろん。それは君に買ったものなので、すずめがよければずっと使ってもらえると嬉しいな。」
巧斗さんは俺のスマホの電源を再度切りながら、なんてことないように新しいスマホの説明書とケースを追加で手渡してくる。
(軽い流れで大変なものを貰ってしまった…。)
まだまだ沢山ある買い物の荷物のうちの一つがこれって…一体俺のためにいくら使ったのか、なんとなく怖くて聞き出せない…。
色々ありすぎて完全に忘れてたな…。
「ごめんなさい、つい…。だって巧斗さんがあまりにカッコいい紳士だから…」
「!………はぁ…。あまり可愛いことを言われると、なんだか試されている気分になりますね…。」
二度目の敬語を使うというミスに申し訳なく思い、手を合わせながら巧斗さんと見上げて謝ると、ふいっと手で口元を覆い、顔を背けてため息をつかれた。
あれ…なんだか今の仕草…、どっかで見た事あるような気がするんだけど…気のせいか?
それから数分歩いて、ようやく駐車場まで辿りつくと、例の見覚えのあるド派手な蛍光ピンクのビカビカ車が見えてくる。
「あ。着きましたね。あれが俺の車です!ちょっとさっきまでお買い物に行っていて、中が荷物で散らかっていますが…どうぞ乗ってください。」
「いえいえそんな…!それじゃあお邪魔します。」
さっきまで王子様みたいな佇まいだった巧斗さんがほんの少しはしゃいだ声を出して車へと近寄り、助手席のドアを開けてくれる。
彼にエスコートされて助手席に座ると、彼の言う通り、ルームミラー越しにお高そうなデパートの紙袋や箱が後部座席にわんさか乗っているのが見えた。
買い物というよりは、プレゼントが積まれているといった状況だ。
「わあ、すごい…。これ全部今日のお買い物…??」
想像以上の量に驚きながら問いかけると、巧斗さんはちょっと照れくさそうに笑った。
「ええまぁ…実はさっき、君が泊まりに来るというので、色々必要なものを買い揃えようとして、つい張り切りすぎてしまいました。あぁでも本当に日用雑貨とか、必要最低限のものしか買ってないんですよ?」
巧斗さんが俺に気を遣わせないためか、慌てて言い訳をするが、それにしても有名高級ブランドのロゴが入った荷物ばっかりなのはどういうことだろうか…。
(この人本当に何者なんだろう…。石油王かなにか…?)
巧斗さんが俺が座ったのを微笑みながら確認すると、執事のように恭しく外から助手席のドアを閉め、運転席に座る。
…この人といると何から何までお世話されすぎて、まるでどこかのお姫様にでもなったような気分だ。
(まぁでも、このまま甘えまくってたら駄目だよな。)
せめて彼の自宅にお邪魔している間は、料理に掃除に洗濯にと、家事に精を出そう。
「なんだか色々気を遣ってもらってごめんね。お詫びにもならないけど、何か俺に出来る事とかあったらなんでも言ってね?」
「…なんでも…?あ、いえいえ、すずめは何も気にしなくていいんですよ。でも、そうですね。…でしたら一旦すずめのスマホをお借りしたいのですがいいですか?」
「?スマホ?いいよ?」
巧斗さんのお願いに、俺はすぐに頷き、バッグからスマホを取り出し彼に渡す。
スマホを受け取った巧斗さんは、スマホの電源を入れ、取得したアプリが並ぶ画面に切り替えて、GPSと書かれたアイコンのアプリをアンインストールしようとする。
すると、勝手にスマホ画面がバグってフリーズして再起動になったので、俺はその事について言及した。
「ああ、そのGPSアプリ、俺も消そうとしたんだけど、どうやっても消せないんだ。なんでもスマホの初期設定アプリだから消したら壊れるんだって。」
「消したら壊れる…?それは誰に聞きましたか?」
「え、あ…総一郎君…だけど…。」
戸惑いながら総一郎の名を出す俺に、巧斗さんが険しい声を出した。
「そう、ですか…。とりあえず、このスマホは高度な改造が施されているみたいなので、しばらくは俺が買ってきたスマホを使ってください。こちらの呪ぶt…いえ、スマホは俺が責任をもって修理に出しておきます。」
(…今巧斗さん、俺のスマホの事を呪物って言いかけなかった?)
まさか、そんなヤバイ事になっていたとはつゆ知らず、呑気に今日までこのスマホを愛用していたとは…。
俺が思わずぶるっと身震いをしていると、巧斗さんは後部座席から、今まさに買ってきたばかりだと思われる新しいスマホの箱を取り出し、俺に手渡す。
(!これ…つい最近テレビでCMにでてた〇十万するやつだ…。)
「え、こんな高そうなものをお借りしちゃってもいいの!?」
気持ちは嬉しいけど、間違って割ってしまったら一大事だ。
「もちろん。それは君に買ったものなので、すずめがよければずっと使ってもらえると嬉しいな。」
巧斗さんは俺のスマホの電源を再度切りながら、なんてことないように新しいスマホの説明書とケースを追加で手渡してくる。
(軽い流れで大変なものを貰ってしまった…。)
まだまだ沢山ある買い物の荷物のうちの一つがこれって…一体俺のためにいくら使ったのか、なんとなく怖くて聞き出せない…。
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