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第1章
第117話《すれ違いざま注目を浴びるすずめ》
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まぁその件に関しては巧斗さんの家に泊まらせてもらっている内に考えてみるか…。
◇◇◇
巧斗さんと共に駐車場を後にし、文化祭の会場に向かう道を歩いていると、その間にも何故かちらちらと通行人がこちらの方を横目で見てくるので首を傾げる。
(…?なんで今日はこんなにも通りすがりの人と目線が合うんだ…?)
こういう経験が全くなかったわけではないが、今日はすれ違うほとんどの人に二度見、三度見されているような気がする。
とはいえ、まだ文化祭前で人通りは数十人程度だが、すれ違うたびに「ヤバい」や「あのΩ、誰?」などの声が断片的に聞こえてくると、どうしても気になってしまう。
(やっぱりどこか変なところでもあるのかな…?)
思い当たるのは、この服装くらいだが、そんなに似合ってないだろうか?
つい先ほど、総一郎に「全然似合ってない」と言われたことが一瞬頭をよぎるが、あの巧斗さんが俺に似合うと思って選んでくれた服だと思うと勇気が湧いてくる。
(ま、巧斗さんが似合っているって言ってくれてるんだからそれでいいじゃないか。あまり他の人の目は考えないようにしよう。)
◇◇◇
それからようやっと会場の入り口に着くと、まだ文化祭二日目開催時間ではないにも関わらず、お客さんや学生達で賑わい、出店の方もすでに開店しているところが多かった。
「昨日も思いましたが、この大学の文化祭はやたら規模が大きいですよね?見どころが多くて何処に行こうか迷います。…すずめは何か食べたいものはありますか?」
「俺?俺はたこ焼きが一番好きなんだけど、相田君のお店もう開いてるかなぁ?」
「相田君…というと、今日のダンスの相手になる方ですよね?」
「うん!それでもって、俺の将来の義弟。…妹の彼氏なんだ。…もしかしたらうちの兄と妹もそこにいるかもしれないな。」
「!やはりそうでしたか。それは是非ともお会いして挨拶しておきたいです。」
「う、うん?そうだね?」
何故か相田君の話になるといきなり気合いを入れはじめた巧斗さんに疑問を感じつつも、ひとまず相田君の店へ向かおうと足を進める。
すると、その道中でとある意外な人物に話しかけられた。
「あ、あれ…霧下…?」
「!フクロー君?一昨日ぶりだね?」
声をかけてきたのは、文化祭前日、一緒に体育館の椅子運びのボランティアを行ったひなの元彼(※150万のブレスレット貢がされてポイ捨てされてたけど)の福田哲郎君だった。
彼は3人の友達を連れていて、その人達も何事かと興味津々な様子でこちらを伺っている。
フクロー君自身も少し驚いた表情をしていて、俺の姿を上から下までじっくりと見つめて目を丸くしていた。
「お、おう。…一瞬別人かと思った…。その服、に、似合ってるじゃん。」
「あはは、ありがとう。」
フクロー君が少し照れ臭そうに笑いながらお世辞を言うと、後ろに控えていた彼の友達がわらわらと出てきて声をあげる。
『ウェーイなんだよ福田!この子と知り合いかよ!?』
『あ!もしかしてこの子がひなって子か??』
『あー、こりゃ騙されるわ…。もし俺だったら全財産搾り取られるな…。』
(ええ…、騙されるって、俺そんな悪人面か…?どちらかというと騙される方の顔してると思ってたんだけど…。)
「バカ、ちげーから!一緒にすんなって。こいつは霧下《すずめ》な!」
一瞬とんでもなく失礼な事言われたのかと身構えたけど、フクロー君が人違いである事を慌てて訂正すると、
『マジか…!ごめん…!!』
『今のはナシ!!』
と、90度に頭を下げて謝ってくれたので、まぁそこまで悪い人達ではないみたいだ。
「霧下はその…俺の、友達…だからお前ら変に揶揄うなよ!…ところで、霧下さ。今日どっか時間空いてるか?も、もしよかったら一緒に出店でも回らねーかな…なんて。はは…。」
「え、今日?今日は…。」
フクロー君に友達と紹介されたことに嬉しく思いながらも、文化祭を一緒に見て回るお誘いに関してはどうしたものかと頭を悩ませる。
(うーん。今日はなるべく復讐の根回しに時間を使いたいんだよな。)
なるべく傷つけないように断ろうと口を開こうとすると、突如、巧斗さんが俺の腰に手を回し、腕時計を見ながら
「すずめ、コンテストの準備の方は大丈夫ですか?」
と優しく問いかけてきた。
◇◇◇
巧斗さんと共に駐車場を後にし、文化祭の会場に向かう道を歩いていると、その間にも何故かちらちらと通行人がこちらの方を横目で見てくるので首を傾げる。
(…?なんで今日はこんなにも通りすがりの人と目線が合うんだ…?)
こういう経験が全くなかったわけではないが、今日はすれ違うほとんどの人に二度見、三度見されているような気がする。
とはいえ、まだ文化祭前で人通りは数十人程度だが、すれ違うたびに「ヤバい」や「あのΩ、誰?」などの声が断片的に聞こえてくると、どうしても気になってしまう。
(やっぱりどこか変なところでもあるのかな…?)
思い当たるのは、この服装くらいだが、そんなに似合ってないだろうか?
つい先ほど、総一郎に「全然似合ってない」と言われたことが一瞬頭をよぎるが、あの巧斗さんが俺に似合うと思って選んでくれた服だと思うと勇気が湧いてくる。
(ま、巧斗さんが似合っているって言ってくれてるんだからそれでいいじゃないか。あまり他の人の目は考えないようにしよう。)
◇◇◇
それからようやっと会場の入り口に着くと、まだ文化祭二日目開催時間ではないにも関わらず、お客さんや学生達で賑わい、出店の方もすでに開店しているところが多かった。
「昨日も思いましたが、この大学の文化祭はやたら規模が大きいですよね?見どころが多くて何処に行こうか迷います。…すずめは何か食べたいものはありますか?」
「俺?俺はたこ焼きが一番好きなんだけど、相田君のお店もう開いてるかなぁ?」
「相田君…というと、今日のダンスの相手になる方ですよね?」
「うん!それでもって、俺の将来の義弟。…妹の彼氏なんだ。…もしかしたらうちの兄と妹もそこにいるかもしれないな。」
「!やはりそうでしたか。それは是非ともお会いして挨拶しておきたいです。」
「う、うん?そうだね?」
何故か相田君の話になるといきなり気合いを入れはじめた巧斗さんに疑問を感じつつも、ひとまず相田君の店へ向かおうと足を進める。
すると、その道中でとある意外な人物に話しかけられた。
「あ、あれ…霧下…?」
「!フクロー君?一昨日ぶりだね?」
声をかけてきたのは、文化祭前日、一緒に体育館の椅子運びのボランティアを行ったひなの元彼(※150万のブレスレット貢がされてポイ捨てされてたけど)の福田哲郎君だった。
彼は3人の友達を連れていて、その人達も何事かと興味津々な様子でこちらを伺っている。
フクロー君自身も少し驚いた表情をしていて、俺の姿を上から下までじっくりと見つめて目を丸くしていた。
「お、おう。…一瞬別人かと思った…。その服、に、似合ってるじゃん。」
「あはは、ありがとう。」
フクロー君が少し照れ臭そうに笑いながらお世辞を言うと、後ろに控えていた彼の友達がわらわらと出てきて声をあげる。
『ウェーイなんだよ福田!この子と知り合いかよ!?』
『あ!もしかしてこの子がひなって子か??』
『あー、こりゃ騙されるわ…。もし俺だったら全財産搾り取られるな…。』
(ええ…、騙されるって、俺そんな悪人面か…?どちらかというと騙される方の顔してると思ってたんだけど…。)
「バカ、ちげーから!一緒にすんなって。こいつは霧下《すずめ》な!」
一瞬とんでもなく失礼な事言われたのかと身構えたけど、フクロー君が人違いである事を慌てて訂正すると、
『マジか…!ごめん…!!』
『今のはナシ!!』
と、90度に頭を下げて謝ってくれたので、まぁそこまで悪い人達ではないみたいだ。
「霧下はその…俺の、友達…だからお前ら変に揶揄うなよ!…ところで、霧下さ。今日どっか時間空いてるか?も、もしよかったら一緒に出店でも回らねーかな…なんて。はは…。」
「え、今日?今日は…。」
フクロー君に友達と紹介されたことに嬉しく思いながらも、文化祭を一緒に見て回るお誘いに関してはどうしたものかと頭を悩ませる。
(うーん。今日はなるべく復讐の根回しに時間を使いたいんだよな。)
なるべく傷つけないように断ろうと口を開こうとすると、突如、巧斗さんが俺の腰に手を回し、腕時計を見ながら
「すずめ、コンテストの準備の方は大丈夫ですか?」
と優しく問いかけてきた。
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