116 / 169
第1章
第116話《鷹と鷲とすずめの修羅場》
しおりを挟む
「…何が言いたい?まさか…貴様ならすずめを幸せに出来るとでも言うつもりか?家柄も無名で顔も表に晒せないような不細工な庶民が?ハッ、笑わせるな。」
一旦黙り込んだ総一郎だが余程逆鱗に触れられたのか、今度は殺気の籠った目を向けながら巧斗さんの事を貶してくる。
(いやいや、どの口が言ってるんだ!俺からしてみれば、お前と一緒になる事が一番の不幸だよ!このまま総一郎とひなが籍を入れようものなら、俺はいつ不倫相手として訴えられるか、一生怯えなきゃならないだろうが!あと、巧斗さんはお前が思っている数千倍はすごい人だからな!)
とんでも発言をかましてくる総一郎に逐一ツッコミを入れてやりたいが、まだまだこれから復讐を控えている身なので、声を大にして言えないのが非常にもどかしい。
「おや、そうでしょうか?こんな俺でも、少なくともあなたよりは幸せに出来ると思いますよ?なんせ俺にはすずめにバレれば即関係が崩れそうな《傷》なんて一つもありませんから。いついかなる時も一途です。」
「………っ!!ふざけるな!俺とすずめの絆はそんな簡単に崩れるようなものじゃない!」
(いや、もう既にガラッガラに崩れ落ちてるけど??何を言ってるんだ???)
こいつ…いくら浮気しても俺なら許してくれるとでも思っているのか?
俺が未だにお前と縁を切って無いのは、あくまでも復讐のためであって、復讐さえ終わればこちらの方から即サヨナラだ。
しかし、やはりなんだかんだ言っても《傷(ひなとの婚約)》について触れられるのは相当バツが悪いのか、巧斗さんへの攻撃を止めて情に訴えかけてくる総一郎は、俺からしてみればかなり滑稽だ。
「…はぁ………巧斗さん、もう行こう。俺お腹がすいてきちゃった。」
「ふふ、そうですね。実は俺もです。では早速出店の方を回りましょうか。」
総一郎の逆ギレが見ていられなくなり、現実逃避をしたいのもあって、俺は巧斗さんに一刻も早くここを去る事を提案すると、彼はふわっと微笑んでそれに賛同した。
総一郎の存在を無視して、そのまま二人で駐車場を出て文化祭の会場に向かおうとしたその瞬間、
『待て!!すずめっ!!!!』
と、総一郎が執念深く俺の手首を掴もうとした。
しかし、その手を巧斗さんが凄まじい速さでスパンッ!と叩き落とす。
(!!びっくりした…腕を掴まれるかと思った…。というか巧斗さん、一体何者なんだ…?昨日も思ったけど、手刀の速さが空手のプロのそれだ…。)
こんな特技まであるなんて、すごい頼りにはなるけど、あまりにハイスペックすぎて、もはや人間離れしているようにも感じる。
「っ!すずめ、頼むからその男抜きで二人きりで話をさせてくれ!!今が無理なら後からでもいい!!!そこの男は他人だろ?それに比べて僕達は将来の番であり恋人の筈だ!!!」
総一郎が叩かれた手を押さえながら、大声で俺を呼び止めてくると、その声に周囲の通行人たちがこちらをちらちらと見始め、やがて囁き声が聞こえてきた。
《え、何々?修羅場?》
《やだ、あれって鷹崎様じゃない?》
《α同士のΩの奪い合いを間近で見るの初めて~…》
《つか、あんなΩ今までうちの大学にいたか…?マジやべえんだけど!》
それから段々とギャラリーが集まり始め、俺はその注目を浴びている恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
(えー…。今のこいつと二人きりになるだなんて冗談じゃないぞ…。あと、お願いだから大きな声で将来の番とか言うの目立つからやめてくれ…。)
「さ、行きましょう。今の彼はどう考えても冷静じゃない。二人きりになれば何をしてくるか分かりませんよ。」
「う、うん。そうだね…。」
総一郎の方を振り返って、(頼むから黙っていてくれ…!)と、必死に念力を込めていると、巧斗さんが俺が総一郎に後ろ髪を引かれて絆されようとしているとでも思ったのか、いつになく鋭い目をしながら俺の腰を抱いて文化祭会場に向かわせようとエスコートしてくる。
(いや、流石に今の総一郎についていくほど馬鹿ではないつもりだけど……心配してくれているんだろうな。)
俺は巧斗さんの気遣いに感謝しながら前を向き、それからは総一郎を振り返らなかった。
総一郎の叫び声がずっと背後から響いていたが、俺は何とかそれらを聞き流しながら巧斗さんと共に駐車場を後にする。
去り際の最後あたりに俺達を追っかけてくるのを諦めた総一郎が、「絶対に取り戻す…!!どんな手を使ってでも…!」等と呻いているのが聞こえ、背筋がゾッとした。
総一郎も、俺の事を本気で愛している訳でもあるまいに、ただ他のαに家政婦扱いしていたΩを取られたというだけで、ここまで執着してくるだなんて異常なプライドの高さだ…。
俺としては、このまま総一郎の恋人の座をキープしつつ、復讐完了後にこっぴどく振ってやる計画だったのが、これも成り行き次第ではいずれ考え直した方がいいのかもしれない…。
一旦黙り込んだ総一郎だが余程逆鱗に触れられたのか、今度は殺気の籠った目を向けながら巧斗さんの事を貶してくる。
(いやいや、どの口が言ってるんだ!俺からしてみれば、お前と一緒になる事が一番の不幸だよ!このまま総一郎とひなが籍を入れようものなら、俺はいつ不倫相手として訴えられるか、一生怯えなきゃならないだろうが!あと、巧斗さんはお前が思っている数千倍はすごい人だからな!)
とんでも発言をかましてくる総一郎に逐一ツッコミを入れてやりたいが、まだまだこれから復讐を控えている身なので、声を大にして言えないのが非常にもどかしい。
「おや、そうでしょうか?こんな俺でも、少なくともあなたよりは幸せに出来ると思いますよ?なんせ俺にはすずめにバレれば即関係が崩れそうな《傷》なんて一つもありませんから。いついかなる時も一途です。」
「………っ!!ふざけるな!俺とすずめの絆はそんな簡単に崩れるようなものじゃない!」
(いや、もう既にガラッガラに崩れ落ちてるけど??何を言ってるんだ???)
こいつ…いくら浮気しても俺なら許してくれるとでも思っているのか?
俺が未だにお前と縁を切って無いのは、あくまでも復讐のためであって、復讐さえ終わればこちらの方から即サヨナラだ。
しかし、やはりなんだかんだ言っても《傷(ひなとの婚約)》について触れられるのは相当バツが悪いのか、巧斗さんへの攻撃を止めて情に訴えかけてくる総一郎は、俺からしてみればかなり滑稽だ。
「…はぁ………巧斗さん、もう行こう。俺お腹がすいてきちゃった。」
「ふふ、そうですね。実は俺もです。では早速出店の方を回りましょうか。」
総一郎の逆ギレが見ていられなくなり、現実逃避をしたいのもあって、俺は巧斗さんに一刻も早くここを去る事を提案すると、彼はふわっと微笑んでそれに賛同した。
総一郎の存在を無視して、そのまま二人で駐車場を出て文化祭の会場に向かおうとしたその瞬間、
『待て!!すずめっ!!!!』
と、総一郎が執念深く俺の手首を掴もうとした。
しかし、その手を巧斗さんが凄まじい速さでスパンッ!と叩き落とす。
(!!びっくりした…腕を掴まれるかと思った…。というか巧斗さん、一体何者なんだ…?昨日も思ったけど、手刀の速さが空手のプロのそれだ…。)
こんな特技まであるなんて、すごい頼りにはなるけど、あまりにハイスペックすぎて、もはや人間離れしているようにも感じる。
「っ!すずめ、頼むからその男抜きで二人きりで話をさせてくれ!!今が無理なら後からでもいい!!!そこの男は他人だろ?それに比べて僕達は将来の番であり恋人の筈だ!!!」
総一郎が叩かれた手を押さえながら、大声で俺を呼び止めてくると、その声に周囲の通行人たちがこちらをちらちらと見始め、やがて囁き声が聞こえてきた。
《え、何々?修羅場?》
《やだ、あれって鷹崎様じゃない?》
《α同士のΩの奪い合いを間近で見るの初めて~…》
《つか、あんなΩ今までうちの大学にいたか…?マジやべえんだけど!》
それから段々とギャラリーが集まり始め、俺はその注目を浴びている恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
(えー…。今のこいつと二人きりになるだなんて冗談じゃないぞ…。あと、お願いだから大きな声で将来の番とか言うの目立つからやめてくれ…。)
「さ、行きましょう。今の彼はどう考えても冷静じゃない。二人きりになれば何をしてくるか分かりませんよ。」
「う、うん。そうだね…。」
総一郎の方を振り返って、(頼むから黙っていてくれ…!)と、必死に念力を込めていると、巧斗さんが俺が総一郎に後ろ髪を引かれて絆されようとしているとでも思ったのか、いつになく鋭い目をしながら俺の腰を抱いて文化祭会場に向かわせようとエスコートしてくる。
(いや、流石に今の総一郎についていくほど馬鹿ではないつもりだけど……心配してくれているんだろうな。)
俺は巧斗さんの気遣いに感謝しながら前を向き、それからは総一郎を振り返らなかった。
総一郎の叫び声がずっと背後から響いていたが、俺は何とかそれらを聞き流しながら巧斗さんと共に駐車場を後にする。
去り際の最後あたりに俺達を追っかけてくるのを諦めた総一郎が、「絶対に取り戻す…!!どんな手を使ってでも…!」等と呻いているのが聞こえ、背筋がゾッとした。
総一郎も、俺の事を本気で愛している訳でもあるまいに、ただ他のαに家政婦扱いしていたΩを取られたというだけで、ここまで執着してくるだなんて異常なプライドの高さだ…。
俺としては、このまま総一郎の恋人の座をキープしつつ、復讐完了後にこっぴどく振ってやる計画だったのが、これも成り行き次第ではいずれ考え直した方がいいのかもしれない…。
2,281
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱えて、離縁をつきつけ家を出た。
そこで待っていたのは、
最悪の出来事――
けれど同時に、人生の転機だった。
夫は、愛人と好きに生きればいい。
けれど、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
彼女が選び直す人生と、
辿り着く本当の幸せの行方とは。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います
塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる