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第1章
第146話《なぜか滝にうたれようとする巧斗さんと、何やらご満悦のシマちゃん》
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シマちゃんは両手を挙げて、巧斗さんからの視線から逃れるように、わたわたと俺の陰に隠れた。
「けちー!すずめちゃ~ん、この人が魔王みたいに、か弱い僕をいぢめてくるよぅ~。」
「どうとでも。いくらすずめの大親友の貴方でもこれだけは譲れませんよ?」
俺の腕をぎゅっと掴んで、笑いをこらえながら泣きまねをするシマちゃんと、腕を組んで笑顔で圧をかけている巧斗さんに思わずクスっとしてしまう。
(ふふ、オムライスの事で小競り合いするだなんて、まるでコントのようなやり取りだなぁ。…もしかして二人とも、この失敗したアメーバオムライスを取り合う事で俺が気落ちしないようにしてくれてるのかな?)
「あ、すずめちゃん今笑ったでしょ~!大親友のピンチにひどーい!」
「えっ。いや、あはは。…二人とも優しいなって思って。」
「んん?僕が優しいのはすごく分かるとして、鷲ノ宮さんが???」
「優しい…ですか?今のやり取りが…?我ながら大人げないと思ったのですが…。」
(…あれ?なんか二人とも心外だって顔してる。…まさか、本当にオムライスを取り合っていた、とか?そんなにお腹減ってたのかな?)
良い人達だなぁと勝手にジーンときていたけど、ただの勘違いだったのか?
特に巧斗さんはついさっき沢山たこ焼きを食べたから、ここに連れてくるときもお腹が減ってるかどうか不安だったけど、この様子なら取りこし苦労だったのかもしれない。
「ま、まぁでも、その…俺嬉しいよ。せっかくの美味しそうなオムライスを、ケチャップまみれのべちゃべちゃにしちゃったのに、それでも食べたいって思ってもらえるなんて…。」
「それは当たり前でしょう。思わずその場で食らいつくそうかと思いましたよ。」
「ぶふっ、それ絶対オムライスの事じゃないよねwww」
???
さっきからなんだか様子がおかしい巧斗さんと、何かがツボにハマったらしくクっクっと笑い転げているシマちゃんに余計状況が分からなくなってしまった。
まぁ二人とも(なんかベクトルは違うけど)笑ってくれてるからいいか。
冷えないうちに、とっととオムライスを食べよう。
(って、ああっ!!)
丁度いただきますをしようと手を合わせた所で、俺はふとある事に気づいてシマちゃんに話しかけた。
「…そうだ!順番で言ったら、次は巧斗さんがシマちゃんのオムライスに絵を描く番だよね??!」
アメーバオムライスを生み出してしまった事件ですっかり忘れていたけど、まだシマちゃんの分のオムライスが無地のままなのだ。
ハートの描き合いっこという事は、今の所、シマちゃん→俺→巧斗さんの順で回っているので、てっきり次は巧斗さんが絵を描くのだと思って、ケチャップを渡そうとしたのだが――
「え、順番?そんなルールないよ?今度はすずめちゃんが僕にハートを描く番なの♡はいじゃぁ、可愛く描いてね♪」
シマちゃんは当然のように自分のオムライスを俺の前にコト…と差し出した。
その瞬間ガタッと巧斗さんの方から何やら派手な物音がしたような気がするが、オムライスの事で頭がいっぱいだった俺はそのままシマちゃんに視線を集中させた。
「ええっ?!俺でいいの?!…また失敗しちゃうかもよ…?!」
「いーのいーの♬失敗しても成功しても僕としては面白…じゃなかった嬉しいし♪」
先程の失敗が頭をよぎった俺が思わず戸惑いの声を漏らすと、シマちゃんは満面の笑顔で俺がいいのだと説得してきた。
「江永さん…貴方、何がとは言いませんが面白がっていませんか…?」
「えー?なんのことだか、わかんないにゃんねぇ。」
そして、怪訝な目を向ける巧斗さんに対して、シマちゃんは突然メイドモードになって首をかしげながらニヤニヤしながら返事をして、俺にケチャップを再度握らせてきた。
(うう…なぜか俺がまた描くことになってしまった…。)
しかし、任されたからには次こそは完璧なハートを描こうと俺は気合を入れなおす。
また俺が失敗するのを心配しているのか、巧斗さんも息を呑んで見守っている中で、俺は意を決してケチャップの蓋を開けた。
(よし…今度はケチャップをあんまり出さない様にしてっと…。)
「……んっ。…~~っ。…んん…。ん…。」
今度こそは失敗しないように、力加減を抑えながら慎重にケチャップを出すと、悪戦苦闘しながらも見事に綺麗なハートを描くことができた。
「……………ふう。………よし…!!出来た~!やったよシマちゃん!!」
我ながらばっちりなハートを無事描き終えると、シマちゃんはオムライスの出来に大喜びしてくれた。
「すごいすご~い!超完璧なハートだね♬やっぱ僕ってば愛されてる~♡」
そして、シマちゃんがオムライスの写真を撮りながらキャッキャッとはしゃいでいる横で、何故か巧斗さんは遠くを見つめながら、
「……俺は次の休みの日に少々滝に打たれてきます。」
等と謎の宣言をして、何やらこの世の全てを悟ったような爽やかな笑顔を浮かべていたのだった。
『…抑制剤が無かったら終わるところだった……。』
と口元を抑えながら小声でつぶやいていたような気がするけど、一体どういう意味だろう?
「けちー!すずめちゃ~ん、この人が魔王みたいに、か弱い僕をいぢめてくるよぅ~。」
「どうとでも。いくらすずめの大親友の貴方でもこれだけは譲れませんよ?」
俺の腕をぎゅっと掴んで、笑いをこらえながら泣きまねをするシマちゃんと、腕を組んで笑顔で圧をかけている巧斗さんに思わずクスっとしてしまう。
(ふふ、オムライスの事で小競り合いするだなんて、まるでコントのようなやり取りだなぁ。…もしかして二人とも、この失敗したアメーバオムライスを取り合う事で俺が気落ちしないようにしてくれてるのかな?)
「あ、すずめちゃん今笑ったでしょ~!大親友のピンチにひどーい!」
「えっ。いや、あはは。…二人とも優しいなって思って。」
「んん?僕が優しいのはすごく分かるとして、鷲ノ宮さんが???」
「優しい…ですか?今のやり取りが…?我ながら大人げないと思ったのですが…。」
(…あれ?なんか二人とも心外だって顔してる。…まさか、本当にオムライスを取り合っていた、とか?そんなにお腹減ってたのかな?)
良い人達だなぁと勝手にジーンときていたけど、ただの勘違いだったのか?
特に巧斗さんはついさっき沢山たこ焼きを食べたから、ここに連れてくるときもお腹が減ってるかどうか不安だったけど、この様子なら取りこし苦労だったのかもしれない。
「ま、まぁでも、その…俺嬉しいよ。せっかくの美味しそうなオムライスを、ケチャップまみれのべちゃべちゃにしちゃったのに、それでも食べたいって思ってもらえるなんて…。」
「それは当たり前でしょう。思わずその場で食らいつくそうかと思いましたよ。」
「ぶふっ、それ絶対オムライスの事じゃないよねwww」
???
さっきからなんだか様子がおかしい巧斗さんと、何かがツボにハマったらしくクっクっと笑い転げているシマちゃんに余計状況が分からなくなってしまった。
まぁ二人とも(なんかベクトルは違うけど)笑ってくれてるからいいか。
冷えないうちに、とっととオムライスを食べよう。
(って、ああっ!!)
丁度いただきますをしようと手を合わせた所で、俺はふとある事に気づいてシマちゃんに話しかけた。
「…そうだ!順番で言ったら、次は巧斗さんがシマちゃんのオムライスに絵を描く番だよね??!」
アメーバオムライスを生み出してしまった事件ですっかり忘れていたけど、まだシマちゃんの分のオムライスが無地のままなのだ。
ハートの描き合いっこという事は、今の所、シマちゃん→俺→巧斗さんの順で回っているので、てっきり次は巧斗さんが絵を描くのだと思って、ケチャップを渡そうとしたのだが――
「え、順番?そんなルールないよ?今度はすずめちゃんが僕にハートを描く番なの♡はいじゃぁ、可愛く描いてね♪」
シマちゃんは当然のように自分のオムライスを俺の前にコト…と差し出した。
その瞬間ガタッと巧斗さんの方から何やら派手な物音がしたような気がするが、オムライスの事で頭がいっぱいだった俺はそのままシマちゃんに視線を集中させた。
「ええっ?!俺でいいの?!…また失敗しちゃうかもよ…?!」
「いーのいーの♬失敗しても成功しても僕としては面白…じゃなかった嬉しいし♪」
先程の失敗が頭をよぎった俺が思わず戸惑いの声を漏らすと、シマちゃんは満面の笑顔で俺がいいのだと説得してきた。
「江永さん…貴方、何がとは言いませんが面白がっていませんか…?」
「えー?なんのことだか、わかんないにゃんねぇ。」
そして、怪訝な目を向ける巧斗さんに対して、シマちゃんは突然メイドモードになって首をかしげながらニヤニヤしながら返事をして、俺にケチャップを再度握らせてきた。
(うう…なぜか俺がまた描くことになってしまった…。)
しかし、任されたからには次こそは完璧なハートを描こうと俺は気合を入れなおす。
また俺が失敗するのを心配しているのか、巧斗さんも息を呑んで見守っている中で、俺は意を決してケチャップの蓋を開けた。
(よし…今度はケチャップをあんまり出さない様にしてっと…。)
「……んっ。…~~っ。…んん…。ん…。」
今度こそは失敗しないように、力加減を抑えながら慎重にケチャップを出すと、悪戦苦闘しながらも見事に綺麗なハートを描くことができた。
「……………ふう。………よし…!!出来た~!やったよシマちゃん!!」
我ながらばっちりなハートを無事描き終えると、シマちゃんはオムライスの出来に大喜びしてくれた。
「すごいすご~い!超完璧なハートだね♬やっぱ僕ってば愛されてる~♡」
そして、シマちゃんがオムライスの写真を撮りながらキャッキャッとはしゃいでいる横で、何故か巧斗さんは遠くを見つめながら、
「……俺は次の休みの日に少々滝に打たれてきます。」
等と謎の宣言をして、何やらこの世の全てを悟ったような爽やかな笑顔を浮かべていたのだった。
『…抑制剤が無かったら終わるところだった……。』
と口元を抑えながら小声でつぶやいていたような気がするけど、一体どういう意味だろう?
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