土偶と呼ばれた女は異世界でオッサンを愛でる。R18

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ

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れっつごーお茶会。

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 ようやっと私のお腹のたぷたぷも、必死の努力の甲斐あって元通り………とは言わないまでも、運動と食事で何とかたぷ、ぐらいまでには引き締まった。


 まあ運動と言っても子育て自体が立派な運動ともいえる。


 4歳、3歳、1歳の双子を抱えてると、23歳の自分でも「もう私は若くないのね」と思う位体力を持っていかれる。

 いや、元がヒッキーだからか。
 ん?今でもヒッキーか。
 まあとにかく体力勝負なのである。



「アナー、クロエー!あなたたち女の子なんだから転がらないのよーー」

 ブレナンがローリングを教えてしまったせいで、キャッキャ笑いながらコロコロ転がる双子は、ブレナンのように方向転換までする高度なテクニックはない。
 基本的に行ったきり、どこかにぶつかるとそこで止まる。

 誰かが見つけて方向を変えると転がって行くが、そのまま寝落ちしていたりもする。

 何故かうちの子たちはよく眠る。
 寝る子は育つとよく言うが、少々寝すぎではないかと少し心配になる。


 そして、成長したブレナンは、また更に楽に移動する方法を編み出した。
「乗り合い列車」である。

 列車が運行されるようになって、子供向けのゴムの車輪がついた、跨がるタイプの列車の玩具が発売された。自分の足でただコロコロこいで動かす奴である。

 買い物に出た際に、普段あまり物を欲しがらないブレナンが珍しくそれをねだったので購入した。カイルも気になったのか欲しがった為、色違いで購入。

 そこで二人で跨がって男の子らしく列車ごっこでもやるのかと思えば、ブレナンは持ち手のところに紐をつけて、逆方向を輪っかにして床に置き、誰かの足に引っ掛かるのを待ち(うちの使用人は子供たちに弱いのでわざと引っ掛かってあげるのだが)、そのまま引っ張られて列車で移動するのである。

 今まで大人の足を掴んで乗り合い馬車のようにずるずると移動していたのが、紐と列車を使うようになったのである。

 カーブを曲がる時しか自分の足を使わない。もう既に誰かの足を掴む腕力を使うことすらも面倒になったようだ。

「ぼくがあしをつかむと、みんなあるきにくそうだから」

 だそうだが、分かってるなら自分の足で移動しろと思う。

 本当に頭がいいのかおバカなのか判断に迷うところだが、ブレナンの現在の行動は一貫して『体力温存』と『ぶらり途中下車』である。

 ずぼらと面倒くさがりもここまで貫けば立派な特技なのかも知れない。
 いずれ手足が退化しない事を祈ろう。


 カイルは列車の玩具でも、自分の足で好きなように漕ぐことを好む。

 ただ、まだ双子の足が届かないので二人が乗れない事を可哀想だと思える位にはお兄ちゃん愛が育っているのか、アレックとマカランに何か相談していた。

 二日ほどすると、マカランが伐採した木材でアレックが車輪つきの小さな箱をカイルの列車に取り付けた。

 カイルは双子に、

「1人ずつ順番に乗せてあげるから、いい子にするんだぞ。暴れたら落ちるからな」

「「あい、カイルにーたま!」」

 などと交わしながら、ぶーーん、と廊下を進んでやっていた。きゃーきゃー喜ぶ双子たちに嬉しそうな顔をしてるカイルを見ると、私は

「ダーク、カイルって絶対尽くすタイプの男になりそうよね。ツンデレって言うのかしら。結構ぶっきらぼうなのに優しいの」

 と囁いた。

「そうだな。………するとブレナンは………尽くされるタイプなんだろうか?」

 ダークが頭をひねる。

「うーん………まあ今はなんとも言えないけど、母性本能が刺激されるほっとけないタイプって感じよね。
 まあ、あの子も妹には優しいし、成長が楽しみなところね二人とも」

「そうだな」

 そうなのだ。ブレナンも移動したり自分の興味があることには一人で勝手にやってたりするのだが、双子がオヤツの時など、クッキーを食べやすいように小さく割ってあげたり、ジュースを飲ませるときにグラスを支えたりしてくれるのだ。


 そう、そして双子である。

 1歳を過ぎ、顔は一卵性というか私のクローンかと思うようなそっくりの双子だが、目元に小さいホクロがあるのがアナスタシア、ないのがクロエ、位しかパッと見分からない。

 だが、性格はまるで違う。
 クロエは大人しくて引っ込み思案。
 アナスタシアは活発で豪快というか、寒くてもカイルやアレックと外で遊ぶのが好きだ。
 逆にクロエは、家で私にぴとーっとくっついてたり、ブレナンが読んでる絵本をじーっと眺めたりしているインドア派。

 うちの子たちは面白いわー、と思う。
 みんなそれぞれで、性格的にはバラエティーに富んでいる。


 そして、親の欲目とかナルシストとか誤解されそうだが、敢えて言おう。

 多分うちの双子は、よそ様から見たら、おっそろしく美少女になりそうなのである。

 癖のない黒髪、切れ長の一重に色白の肌、小ぶりな鼻と愛らしいこぢんまりした唇。

 純日本人的な風貌だが、ダークの血が入ったお陰なのか、私の小さい時よりよっぽど可愛いんじゃないかと思う。日本人形みたいな感じだ。

 私ごときが『傾国の美貌』(笑)なのである。
 この子たちは確実にこの世界のどストライクゾーンであろう。


 息子たちも私に似てるので、うちの使用人たちからは「シャインベックの天使」と人外扱いされているが、娘たちは「シャインベックの奇跡」と既に人外すら飛び越えて現象扱いである。

 うちのパパンとママンも来る度に、

「世の中の全ての奇跡より、この孫たちが我が家の子孫である事の方がよっぽど有り得ない奇跡」

 と無駄に甘やかそうとするので怒った。

「顔が他と比べてそこそこマシだからって、高慢ちきなガキんちょにするつもりはないのよ。母様も父様も孫バカはほどほどにしないと出入り禁止にするわよ」

「済まないリーシャ」

「つい浮かれちゃって………」

 しゅん、となる両親を見ると、申し訳ない気持ちにもなるが、情操教育大事。

 怪我や病気、経年劣化で外見の美しさなど簡単に損なわれるのだ。

 たとえ美しさが損なわれようとも、中身さえダークのように切磋琢磨していれば怖いことはないのだ。顔の良し悪しだけで一喜一憂するのは馬鹿馬鹿しい。

 それに、私にとって愛する子供たちは、可愛いが見惚れるほどの美男美女ではない。

 ダークのように37になっても色気を撒き散らす魔性の美貌ならともかくも、太郎や花子と呼びたくなるようなノスタルジックな顔で驕り高ぶるなど私は許さないわよ。

 思いやりや気遣いの出来る立派な大人に育てて見せる。
 私は母として心に固く誓う。



 まあそんな心の誓いはともかくとして、いきなり我が家に王宮からお茶会の招待が来た訳だが、何の心当たりもない。

「なんで私や子供たちまで?
 いやよー疲れるし。
 第一お茶会に小さな子供なんて、大人しくしてる訳がないじゃない。まだマナーもしつけられる年齢じゃないわよ双子なんて。
 不敬になるといけないからって欠席にしておいてよ」

 子供たちの洗濯された服をタンスにしまいこみながら、私はダークへ顔を向けた。

「いや、俺もそう言って断ったんだが、国王陛下から直々に『子供が何をしても不敬には問わないから気軽に』と言われてしまうとそれ以上は断れない」

「ちっとも気軽にならないわよ」


 どうやら、騎士団の慰安も兼ねて家族を呼んで定期的に『お茶会』名目のスイーツビュッフェを開催しているそうだ。

 ダークは何年も前から、子供も小さいしとか妻の具合が思わしくなく、とか理由をつけてずっと断ってくれていたらしいが、とうとう国王陛下からの直々のお声掛けとあっては参加すると言わざるを得なかったようだ。

「まー陛下だものね。仕方ないわよ。
 ………どうせ双子たちを見たいって事でしょう?」

「だろうな。まあヒューイのところもミランダとシャーロッテが出るから、近くにいるようにしておこう。
 甘いもの食べてちゃっちゃと帰ろう」

「そうね、断れないなら精々美味しいスイーツ頂いて帰りますかね」

 とは言ったものの。
 あー、なんか胃が痛い。

 私はパパンかママンにも付き添いを頼むかぁ、と天井を見上げて深くため息をついた。




 そして、いよいよお茶会当日はやってきた。






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