土偶と呼ばれた女は異世界でオッサンを愛でる。R18

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ

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マーブルマーブル感謝祭【3】

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「………ダークったら、何で王族を周りに散らしてるのよ。鼻水出るかと思ったじゃない」

 開会の挨拶を終え、運営ブースのカフェに戻ってきた………と言うか逃げてきた私は、体力ゲージが更に減少したのを感じた。

「ねぇ、私お昼あそこでお弁当食べるの?食事した気にならないんだけど。
 て言うか帰っていい?
 大体なんでジークライン王子がしれっと座ってるのよ。イベントの事なんか教えてもないのに」

 ルーシーに愚痴をこぼした。

「まあクロエ様しかおりませんでしょう。『クロエがんばりますのでジークさまがみにきてくれたらうれしいです』とか手紙でも出したのではございませんか?
 自分を慕う美少女、まだ美幼女ですが、おねだりされて断れる殿方などそうはおりません」

「あの子、全くブレないわね。まあそんな一途なところは、誉めてあげてもいいのだけど。………フランもお昼一緒に食べるわよね?そうよね。ありがとう」

 カイルたちが出る競技が始まるまでリアーナとゆっくりしてるわ、と言って話を聞きながら絵本を見せていたフランは、

「やだちょっとまだ何も言ってないわよ!
 悪いけど王族まみれのランチなんてゴメン被るわよ。何で友達をそんな修羅の道に引きずり込もうとしてるのよ」

「もちろん、友達だからよ。死なばもろともと言うじゃない」

「リーシャ、あなた友人を弾除けにするつもりね。裏切られた気分だわ。私はリアーナと食べーー」

「ーーーフルカラーA3サイズ。マッチョなイケメン&クールビューティーな眼鏡イケメンの濃密なラブシーン、限定御一人名様限りルージュのサイン付きオリジナルイラスト」

「やあね!私と大親友の貴女の仲で遠慮はいらなくてよ。ランチよね、ええ勿論喜んで!
 お昼ご飯楽しみねえリアーナ」

「はい!」


 賄賂で防壁を確保した私は一息ついた。


 私が逆の立場なら嫌に決まってるので、友情に物欲をプラスして安心が買えるならそれでいい。セ●ムだって無料で家は守ってくれないのだ。製作時間を捻出する事など些細な事案である。

「リーシャ様も大分進歩されましたわね」

 ルーシーが口角を少し上げ微笑んだ。

「あんなに小さかったリーシャ様が、己の利益のために政治的解決を図るようになるなんて、想像もしておりませんでしたわ。腹黒ポイント1個差し上げます」

「要らないわよ。
 ルーシー、まるで私がフランだけを魔物の檻に投げ込んで逃げようとする悪人みたいに言わないでくれるかしら。
 利害の一致と言って貰える?」

「道連れにする時点で結構な悪人ですけれどもそれは置いといて、そろそろ大体50メートル走が終わりますわよ。リレーには坊っちゃまたちが出るのでは?」

「悪人はワンチャンで英雄にシフトチェンジの可能性だってあるのよ。正義は我にありと思い込む事が大事。
 あらいけない、もうそんな時間?応援に行かないと」


 ジュリア達は先にラグマットを敷いてあるところで待機しているとのこと。

 私たちも急がなくては。


◇  ◇  ◇


【子供競技】
◎大体50メートル走
◎大体30メートル×4リレー(7歳未満)
◎玉入れ
◎障害物競走
◎組みダンス



 50メートル走は、やはり10歳前後から上の子供ばかりであった。

 ちゃんと商店街のボランティアの方が、年齢的に差が広がりすぎないように組み合わせをしてくれた。

 この競技の参加者は60人。
 6人ずつ組分けて10レースだ。

 今ラストの組が走り出した。
 中学生くらいの世代だとあっという間である。1位の子が嬉しそうにゴールするのを見ていると、

「ああ、リーシャさん!良かったここにいらっしゃったんですか!」

 と運営委員のお兄さんの一人がせかせか走ってきた。

「どうですか?金一封とケーキ、どちらが多いですか?」

 折角沢山焼いたので、少しは欲しがって貰いたいけど、好きなオモチャとかお菓子を買うなら金一封の方がいいものね。


 子供競技では、単独競技は1位5000ビル、2位には2000ビル、3位には1000ビルが貰える。あまり子供に大金を持たせたくないのもあるが、大金が簡単に稼げるという考えを持って欲しくないのだ。

 大人競技ではその10倍である。日本円なら5万、2万、1万と結構な金額だ。

 そして、1位はそれを受け取るか、辞退して好きなケーキを受け取るかが選択できる。2位、3位についてはあらかじめカットしておいたフルーツパウンドケーキ1本分を選べる。
 団体競技は勝った側の参加者にカットしたパウンドケーキを一切れずつ。

 時間と採算性を考えない高級フルーツ使いまくりだし、パウンドケーキも含めてコストがかなりかかっているので、スイーツ好きな子にはお得だと思う。

 ただ、ダークが言うから念のため用意したが、5万の賞金をポイしてケーキが欲しいなんて言う大人はまーいないだろう。5万あればケーキ店でそれなりのモノが沢山買えるんだし。

 だから、子供競技の方でそこそこ捌けたらいいなと思っていた。

「それが、みんな生ケーキとパウンドケーキの方を選んでまして………」

「………え?男の子も?」

「ええ。見本が置いてあるじゃないですか、あそこに。
 で、見に来た子供たちが、見るからに美味しそうなケーキとその香りにやられまして」

 その上、最初に1位を取った子が、速攻で家族の元にショートケーキを運び、カットしてあるのを1つ掴み食べながら、

「ふわー!ヤバいうますぎるっ………」

「リーシャ様ってどれだけ才能をお持ちなのかしら………」

「美味いな………至福ってこう言う事か………」

 などと親子で貪って、まあ小さめのホールなので直ぐに無くなり、

「ボク、あとは玉入れしかしんせいしてないのに………団体きょうぎだと、ケーキは無理かな………」

「確か勝った方にはパウンドケーキをカットしたものをくれるらしいぞ!頑張って勝て!勝つんだ!それで家族で分けよう!明日は父さんが頑張る!!」

 とか大騒ぎだったらしい。

 あしたのジ●ーか。

 それともサクラか?サクラなのか?
 頼んだ覚えはないが。


「それで、それを見ていた親御さんたちも小遣いならやるから勝ってケーキを貰え、勝利してケーキを掴めと」

 だからあした●ジョーなのか。

「パウンドケーキの子たちも、美味しすぎて飲み込むのが勿体ないとか、しまいには勝った人同士で違う種類のケーキを1ピースずつ物々交換が行われるように………まあそのせいか仲良くなった子たちも割といるようですが」

 戦後の食糧難か。

「それでですね、明日の大人競技の方に急遽参加したいと仰る方が結構おられまして。リーシャさんに許可を貰えと会長が………」

「えーと、それは、今日またケーキを追加で作る、と言うようなお話でしょうか」

「え、ええ心苦しいのですが………ただ1位限定の生ケーキは、これからのリレー以外は団体と最後の組みダンスだけですので足りると思います。大人競技の個人種目には追加参加を認めない方針ですし。
 ですから参加賞のクッキーと、団体競技用のカットしたパウンドケーキをですね、もう少々お願い出来れば、と」

 私はホッとした。クッキーやパウンドケーキを何本かなら大した事はない。
 パウンドケーキはカットすれば1本で10人分には出来るし。

「ああ、それでしたら何とか。何人位増えそうですの?」

「ええと、返事を保留してる方が280名ほど」


 ………ふざけんなバカどもめえええ。
 もう少々の基準が300か。
 ちょっとは人の苦労も考えろし。
 ケーキ位お店で買えし。

 思わずぶちギレしそうになり、ふっとフランとルーシーを見た。

 目を逸らそうとしたのでぐるっと回り込み、

「まあそれは大人数ですわね………メイドや友人に手伝って貰わなければ少し厳しそうですわ………」

 と頬に手を充てる。
 秘技『か弱い傾国の美女(他称)』である。

「何卒、何卒よろしくお願い致します!マーブルマーブル町の町興しにしたいイベントなんです!」

 必死で頭を下げてくるお兄さんに、ルーシーもフランも耐えられなくなったのか、

「そう、そうですわね。大変意義深いものかと思いますので、私も微力ながらお力添え出来れば、と………」

「………わたくしもお仕えしている奥様の為に全力を尽くしたいと、思います」

 と諦めた表情で頷いた。

「まあ!なんて優しいのかしら私の友人たちは!彼女たちがいれば百人力だわ!」

(意訳:言質取ったかんな。逃げたら一生恨んでやる)

 私はポフっ、と手を合わせると、

「でも、300までしか作れませんので、それ以上はお断りして下さいね?」

 とお兄さんに微笑んで釘をさした。
 真っ赤になったお兄さんが、

「ははは、はい勿論です!!本当にありがとうございます!」

 と頭を下げて、また走って行った。

「………リーシャぁぁぁぁ」

「リーシャ様………」

「まあ、フランの屋敷に、話が弾んで今夜もお泊まり♪って連絡しないといけないわね。後でアレックにひとっ走りしてもらいましょう。
 あ、そうだわ!組みダンス見たら急いで果物屋と雑貨屋にいって食材仕入れないとね。ジュリアたちにもあとひと頑張りしてもらわないと」

 ぽんぽん、と私は2人の肩を叩くと、

「大丈夫。私が一番泣きたいから。
 けど明日までの辛抱よ。闇夜ばかりじゃないの、常に朝は来るわ!」

「わたくし朝はベッドで迎えたい派でございます」

「あら奇遇ねルーシー、私もよ。
 この季節は毛布が愛人と言ってもいいわ。もうピッタリくっついて離してくれないのよ」

「私だってそうよ。さあみんな、愛人との逢瀬の為に頑張るのよ。ふぁいとぉ~」

「そんなやる気の1ミリもないファイトとか要りませんから」

「ダーリン、ダーリンに逢いたいわ………」

「たいへーん。子供たちが出るから急ぎましょー」

 私は、棒読みのセリフを言いながら2人を引きずり観客席へ足を運ぶのだった。


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