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王子と姫を変化させた女
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「ああ……うう……」
夕方、仕事を終えた私が自室のベッドで頭を抱えて良心の呵責に苛まれていると、窓からナイトがパトロールを終えて戻って来た。
『ちょっ、おいおい、トウコどうしたんだよ? 何か仕事でしくじったのか?』
「……あ、お帰りナイト……ご飯は用意してあるわ」
私はのそのそとベッドから降りて、ほぐしてあった焼き魚を乗せた器を床に置く。
『いや、メシは後で良いからさ、何があったんだってば』
心配そうな顔で私を見るナイトに、私はため息を吐いた。
「いや……ジュリアン王子とニーナ姫がね……」
私は話し始めた。
先日燻製を作る手伝いをしてくれとジュリアン王子に伝え快諾してもらったが、当然慣れた作業ではない。最初は香りづけのウッドチップまで燃やしてしまう始末で、ただ焦げ臭いだけの燻製が出来上がった。これは流石にナイトたちにはあげられないと廃棄処分になったが、そこで彼のやる気がぶわりと燃え上がった。
「……絶対に今度は上手くやる」
と図書室で燻製の上手なやり方とかを読みつつ燻製窯に付きっきりで作業をした結果、大変美味しそうな燻製が出来上がった。ナイトにも味見してもらい、『味が濃厚ですんげー美味い!』と褒めてもらえたぐらいだ。私もお礼を言い、細かくしてナイトの友だちのためにおやつとして瓶に保管してあり、時々ナイトの首のバッグに入れて上げたりしている。
そこまではとても良い。
ただ、それでジュリアン王子が燻製作りに目覚めてしまったのである。
ナイトたち用に塩不使用の素材の良さだけで作るもの以外にも、人が食べられるような塩漬け、塩抜きをしっかりするような牛や豚、鳥肉に加え、タマゴにチーズやソーセージなども加工し出したのである。しかも、私の燻製窯は猫専用で使うため、自分用に大きな燻製窯まで屋敷の裏手の庭に作っていた。
当然ながら、大きな窯で作れば結構な煙も出るし、匂いも広がる。
ニーナ姫だって当然気づく。普通この国の王子が燻製作りなどにハマれば止めるだろう。
だが、ニーナ姫は違った。
「まあ! 楽しそうじゃないの。兄様だけズルいわ」
と一緒に手伝い始めたのだ。
二人とも自分のことは自分で、という厳しい寮制度の学校に通っていたため、魚を下ろすのも血抜きや下処理など苦もなくこなせるハイスペックな仕様である。
今日、国王がそっと窓拭きをしている私の背後に立って、
「トウコ、そのな、私も夜の酒のつまみがやけに豪華になって嬉しいのだが、娘も一緒になってススまみれになるのはちょっとどうかなと……いや、ジュリアンが屋外にいるのは純粋に嬉しいんだが……」
などと複雑な表情で言われて、聞いてないわよそんなこと、と血の気が引いた。
私は仕事を切り上げて急いでジュリアン王子の燻製窯のある場所へ向かうと、呑気な顔した美形の兄妹が、揃って麦わら帽子に作業用のオーバーオール姿で、
「どうしたトウコ? ナイトたちのはまだ燻しが終わってないぞ」
「あらトウコ! ねえ、とっても美味しいベーコンが出来たの。味見してくれないかしら?」
などと言われ、説教しようと思っていたのに毒気を抜かれ、そのままお礼を言ってベーコンを土産に戻って来てしまったのだ。
「……私はそこまでハマって欲しいと思った訳じゃなくてね、少しでも外に出るきっかけになればと思っただけなのよ。あんなに引きこもりだけど美形で気品もある王子に加えて、可愛い姫まで私のような庶民じみた人にするつもりなんてなかったんだってば!」
『はははっ、そっかあ。燻製作りに目覚めたんだあ。──だけどさあ、別に良くね?』
「え? いや、良くないでしょう? だってこの国の王子様とお姫様だよ?」
『いや、どんだけ偉い人だって、趣味とかあるじゃん? 俺らがボールとか見るとついちょっかい出したくなるみたいに、玉遊びしてる人もいるし、お芝居っつうの? 何か綺麗な格好して人が動いてたりするの見てたりとか、本読んだりしてんじゃん』
「でも流石に燻製作りは……」
『変わんねえって。王子様もお姫様もそれが楽しくてやってんだろ? 気分転換ってか息抜き? ずっと仕事で気を張っててたりすると疲れるんだって、騎士団の兄さんたちが話してたぞ?』
「いやまあそりゃそうだとは思うけどね……」
『別に王様だろうと王子様だろうと、好きな趣味ぐらいあっても良いだろうしさ、トウコが勧めたお陰でそういう楽しさを見つけられたんだから良いんだよ。起きてから眠るまで国のことばっかり考えてるのって疲れるじゃん? 俺だってパトロールの仕事以外は仲間と遊んだり、トウコとメシ食って眠ったり、のんびりする時間は必要だからさー。それによ、汚れない趣味なら良くて、汚れる趣味は良くないってのも差別じゃねえの?』
「……そう、だね……」
『少なくとも俺や仲間たちにとっては、美味しいものを作ってくれる良い人だもん。それに王子様が外に出るようになったんだし、みんな美味しいもの味わえるんだし、良いこと沢山あるじゃん』
……確かに、王族が燻製作りをすると言うのはかなり珍しいことだと思うけれど、本人が楽しんでてストレス解消になったり、気分転換が出来るのは良いことだ。
しかも、相手は今までほぼ会話もせず部屋で読書するか庭で鍛錬するぐらいしか活動してなかったジュリアン王子である。ニーナ姫まで熱中するとは思わなかったけど、女心と秋の空というぐらいで、若い女性なら一時的なものかも知れないし。
「……国王様に言われて慌てちゃったけど、そうよね……別に人に迷惑も掛けてないんだし、王宮内でやってるだけだものね」
『そうそう。トウコだって部屋の中でパンツ丸出しで寝てたり、寝ぼけて俺を殴ったりしてるじゃん』
「やだ! ちょっとそれ本当? ご、ごめんね」
『別にいいって。気を抜いてるってことだろそれは? 王子様やお姫様にだって、気が抜けるような場所だったり楽しめることがあったっていいんじゃないかってこと。それに、もう大人なんだから自己責任じゃん、やるのもやめるのも』
「──ナイトって、思った以上に大人だったりするよね」
『おいおい、俺はとうに大人だってえの』
いつも見た目の愛らしさで子供のような感覚に陥るけど、時々ハッとさせられる。
私なんかよりよほど逞しい。野良で生き抜いて来たんだもんね、そりゃ逞しくもなるか。
「うん。もうこれは自己責任ってことで、国王様には放任主義になってもらおう。何たって、ジュリアン様が健全な社会生活を送るためだもの!」
『おう。トウコは無駄に心配性なんだよ。──じゃ、俺はメシにしよっと』
ベッドから下りたナイトは、器の魚を美味しそうに食べ始めた。
私ももっと、どっしりと構えないとダメだなあ。反省反省。
夕方、仕事を終えた私が自室のベッドで頭を抱えて良心の呵責に苛まれていると、窓からナイトがパトロールを終えて戻って来た。
『ちょっ、おいおい、トウコどうしたんだよ? 何か仕事でしくじったのか?』
「……あ、お帰りナイト……ご飯は用意してあるわ」
私はのそのそとベッドから降りて、ほぐしてあった焼き魚を乗せた器を床に置く。
『いや、メシは後で良いからさ、何があったんだってば』
心配そうな顔で私を見るナイトに、私はため息を吐いた。
「いや……ジュリアン王子とニーナ姫がね……」
私は話し始めた。
先日燻製を作る手伝いをしてくれとジュリアン王子に伝え快諾してもらったが、当然慣れた作業ではない。最初は香りづけのウッドチップまで燃やしてしまう始末で、ただ焦げ臭いだけの燻製が出来上がった。これは流石にナイトたちにはあげられないと廃棄処分になったが、そこで彼のやる気がぶわりと燃え上がった。
「……絶対に今度は上手くやる」
と図書室で燻製の上手なやり方とかを読みつつ燻製窯に付きっきりで作業をした結果、大変美味しそうな燻製が出来上がった。ナイトにも味見してもらい、『味が濃厚ですんげー美味い!』と褒めてもらえたぐらいだ。私もお礼を言い、細かくしてナイトの友だちのためにおやつとして瓶に保管してあり、時々ナイトの首のバッグに入れて上げたりしている。
そこまではとても良い。
ただ、それでジュリアン王子が燻製作りに目覚めてしまったのである。
ナイトたち用に塩不使用の素材の良さだけで作るもの以外にも、人が食べられるような塩漬け、塩抜きをしっかりするような牛や豚、鳥肉に加え、タマゴにチーズやソーセージなども加工し出したのである。しかも、私の燻製窯は猫専用で使うため、自分用に大きな燻製窯まで屋敷の裏手の庭に作っていた。
当然ながら、大きな窯で作れば結構な煙も出るし、匂いも広がる。
ニーナ姫だって当然気づく。普通この国の王子が燻製作りなどにハマれば止めるだろう。
だが、ニーナ姫は違った。
「まあ! 楽しそうじゃないの。兄様だけズルいわ」
と一緒に手伝い始めたのだ。
二人とも自分のことは自分で、という厳しい寮制度の学校に通っていたため、魚を下ろすのも血抜きや下処理など苦もなくこなせるハイスペックな仕様である。
今日、国王がそっと窓拭きをしている私の背後に立って、
「トウコ、そのな、私も夜の酒のつまみがやけに豪華になって嬉しいのだが、娘も一緒になってススまみれになるのはちょっとどうかなと……いや、ジュリアンが屋外にいるのは純粋に嬉しいんだが……」
などと複雑な表情で言われて、聞いてないわよそんなこと、と血の気が引いた。
私は仕事を切り上げて急いでジュリアン王子の燻製窯のある場所へ向かうと、呑気な顔した美形の兄妹が、揃って麦わら帽子に作業用のオーバーオール姿で、
「どうしたトウコ? ナイトたちのはまだ燻しが終わってないぞ」
「あらトウコ! ねえ、とっても美味しいベーコンが出来たの。味見してくれないかしら?」
などと言われ、説教しようと思っていたのに毒気を抜かれ、そのままお礼を言ってベーコンを土産に戻って来てしまったのだ。
「……私はそこまでハマって欲しいと思った訳じゃなくてね、少しでも外に出るきっかけになればと思っただけなのよ。あんなに引きこもりだけど美形で気品もある王子に加えて、可愛い姫まで私のような庶民じみた人にするつもりなんてなかったんだってば!」
『はははっ、そっかあ。燻製作りに目覚めたんだあ。──だけどさあ、別に良くね?』
「え? いや、良くないでしょう? だってこの国の王子様とお姫様だよ?」
『いや、どんだけ偉い人だって、趣味とかあるじゃん? 俺らがボールとか見るとついちょっかい出したくなるみたいに、玉遊びしてる人もいるし、お芝居っつうの? 何か綺麗な格好して人が動いてたりするの見てたりとか、本読んだりしてんじゃん』
「でも流石に燻製作りは……」
『変わんねえって。王子様もお姫様もそれが楽しくてやってんだろ? 気分転換ってか息抜き? ずっと仕事で気を張っててたりすると疲れるんだって、騎士団の兄さんたちが話してたぞ?』
「いやまあそりゃそうだとは思うけどね……」
『別に王様だろうと王子様だろうと、好きな趣味ぐらいあっても良いだろうしさ、トウコが勧めたお陰でそういう楽しさを見つけられたんだから良いんだよ。起きてから眠るまで国のことばっかり考えてるのって疲れるじゃん? 俺だってパトロールの仕事以外は仲間と遊んだり、トウコとメシ食って眠ったり、のんびりする時間は必要だからさー。それによ、汚れない趣味なら良くて、汚れる趣味は良くないってのも差別じゃねえの?』
「……そう、だね……」
『少なくとも俺や仲間たちにとっては、美味しいものを作ってくれる良い人だもん。それに王子様が外に出るようになったんだし、みんな美味しいもの味わえるんだし、良いこと沢山あるじゃん』
……確かに、王族が燻製作りをすると言うのはかなり珍しいことだと思うけれど、本人が楽しんでてストレス解消になったり、気分転換が出来るのは良いことだ。
しかも、相手は今までほぼ会話もせず部屋で読書するか庭で鍛錬するぐらいしか活動してなかったジュリアン王子である。ニーナ姫まで熱中するとは思わなかったけど、女心と秋の空というぐらいで、若い女性なら一時的なものかも知れないし。
「……国王様に言われて慌てちゃったけど、そうよね……別に人に迷惑も掛けてないんだし、王宮内でやってるだけだものね」
『そうそう。トウコだって部屋の中でパンツ丸出しで寝てたり、寝ぼけて俺を殴ったりしてるじゃん』
「やだ! ちょっとそれ本当? ご、ごめんね」
『別にいいって。気を抜いてるってことだろそれは? 王子様やお姫様にだって、気が抜けるような場所だったり楽しめることがあったっていいんじゃないかってこと。それに、もう大人なんだから自己責任じゃん、やるのもやめるのも』
「──ナイトって、思った以上に大人だったりするよね」
『おいおい、俺はとうに大人だってえの』
いつも見た目の愛らしさで子供のような感覚に陥るけど、時々ハッとさせられる。
私なんかよりよほど逞しい。野良で生き抜いて来たんだもんね、そりゃ逞しくもなるか。
「うん。もうこれは自己責任ってことで、国王様には放任主義になってもらおう。何たって、ジュリアン様が健全な社会生活を送るためだもの!」
『おう。トウコは無駄に心配性なんだよ。──じゃ、俺はメシにしよっと』
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私ももっと、どっしりと構えないとダメだなあ。反省反省。
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