運命とは強く儚くて

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Ⅲ -1

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「ジュダ、ご挨拶は?」

「…ぉ、おはよう…ございます」

「おはよう、きちんと挨拶出来てえらいね」

朝、もじもじとテオにぴったりつくようにして挨拶をしてくれたのは昨日の夕方からいるジュダ。

「おはよう…!あとであそぼ!」

「う…ん」

デニスが無邪気に誘うとちらりとテオを見上げつつ慣れない様子で俯くジュダ。
可愛らしい。

今日から3日間、デニスにはジュダに合わせて教会へは行かず、教会に行かない日をいつも通り過ごしてもらい、ジュダが着いてこられるかどうかを試すらしい。

些か厳しすぎないだろうかと皇帝が尋ねると

「試し期間で妥協しすぎると、いざここへ来た時に辛い思いをしますから」

と言っていた。
テオもカレルさんもジュダのことを1番に思っているのだろう。自分達のせいでジュダが不幸にならないように慎重になっているのかもしれない。




「ご馳走様。…行ってくる。デニス、ジュダと仲良くするんだぞ?」

食べ終わった皇帝と軽くキスを交わして彼を見送る。
「楽しみなさい」と皇帝撫でられたジュダは少し不安そうにテオの裾を握っていたが優しく撫でられると気持ちよさそうに目を細めた。

「テオ、今日の予定分かる?」

「目を通して頂きたいという書類がいくつかあります。それと、隠者の為の施設が完成致しましたので良ければ視察をお願いしたいとのことです」

「分かった、ありがとう。」

「おちそうさま!…ジュダもあそんでいい?」

「ちゃんと時間になったら戻ってくるんだよ」

「はーい」

いこう、と楽しそうにジュダの手を引いて部屋を出ていったデニス。
ジュダは大丈夫だろうか、とテオを見ると案の定テオも心配そうだった。

「…心配なら見てきてもいいんだよ?…アッシアもいるし無茶なことはしないと思うけど…」

「無理はしないようにと言ってあるので…」

「多分中庭で遊んでいるから、東屋で仕事をしてもいいかな。そうしたら見れるでしょ」

「…ありがとうございます」

食後、東屋で仕事をするべく外に出ると、中庭で犬と2人が遊んでいた。

ジュダはデニスのひとつ上か。

デニスが転けたりしないか見ていてくれているのだろうか、やたらとデニスの周りを気にしている。

「守ってくれてるのかな」

「確かにデニス様をお守りするよう言いました。自分もエディ様を守っている、とだから一緒に。」

「なるほど…。僕はジュダにデニスと楽しく遊べたらいいなって思ってるけど」

「…役職としては、目付け役になるでしょう。自分たち一家は貴方達に仕えているので」

「じゃあ役職はお目付けで、それ以外は普通に子供として遊んでもらおうかな、一緒に勉強もして」

この宮廷に子供はあまりいない。
もちろん、使用人の子達もいるがデニスのいる所へはこないし、子供達は子ども達で村の学校に行ったりしている。

教会に子供は沢山いるけれど、身近にいて一緒に過ごす友達というのはなかなかいない。

皇子になったとはいえ、普通の子供のようにそだてたい。
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