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咲夜の恋路
..
しおりを挟む「咲夜…俺のこと……好き?」
「?…好きだよ」
急にどうしたの?と顔を覗き込んでくる咲夜にむかい、少し顔を傾けてキスしてみる。
いわゆるファーストキスなのだが…思っていたより普通、というか柔らかい。
心臓は高まっているが…。
「ちょ……っええ??!!!?」
「うるさ…」
今までにないくらいの大声を出して乙女のように口元を抑える咲夜。
「…ちょ、え?!え?!…き、ッキス」
「……そんなに…嫌?」
「は?違うって」
「…そんなに…驚かれても…傷つく」
今になって実感というか、照れに襲われる。
なんだか気まづくて顔を逸らして口元を擦っているとそっとぎこちなく、顔を上げさせられる。
「嫌じゃないよ。…ただ…もっとちゃんとしたかったっていうか……いい感じのとこでさ、初めてだし」
赤い顔でタジタジする咲夜。
なんだか面白くて吹き出してしまう。
「……っく、はは…、あは…意外と、ロマンチスト」
「笑うなよ…蓮にだけ、ロマンチストなんだよ」
「ふぅん…それって…嬉しい…」
「そっかぁ」
そっか、嬉しいか…なんて1番嬉しそうな咲夜を見てるともう1回キスしたくなる。
可愛い。
「…咲夜」
「ん?」
「…ちゃんと、キスしてよ…」
「…分かったよ」
彼の膝の上に向かい合わせで座り直し、顔が近づくと目を伏せる。
ふに、と温かくて柔らかい感触。彼の唇という感覚から自分の唇と溶け合ってひとつになるような感覚。
不思議と緊張はあまりしない。安心するような感覚だ。
数秒触れ合わせるだけのキスを終え、唇が離れる。
「…蓮、他の誰かとキスしたことある?」
「…ない。…咲夜が、初めて…」
「ほんと?凄く落ち着いてたから」
「…安心したから…かな」
「安心か。…少し分かる」
何だか急に昨夜が愛しくなって、彼の首に腕を回し抱きしめる。
「どうした?」
「…好きだなっ…て…」
正直、この先だって考えてしまう。
もっと深いキスも、そのまた先も。どれも自分には経験がない。
ベタな言い方ではあるが、彼に初めてを捧げてもいいと思う。
初めて発情期を迎えた日以来、まともに発情期を過ごしたことは無い。
薬を飲めば大抵は普通に過ごせたし、たまに体がだるかったが…寝ていれば何とか。
けれどこちらも男子高校生、溜まるものは溜まる。
ムラっと来る時も多々多々あるわけだ。
1人でしたり、後ろも前も弄ったことはある。
昨夜とそんな話はあまりしないが…少し咲夜のも聞いてみたい。
なんて、ね
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