こっち見てよ旦那様

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「ちょっとここ詰めたいかも」

「1回やってみるね」

次の日、今日は家で楓斗君とサンプル品の調整をしている。
まだデザインをハッキリ決めたわけではないから今からきっちり決めていかなくてはならない。

お互い今日は他の予定もなく、潤也さんは今日も遅い。廣瀬さんも遅いみたいだから仕事だろう。

休憩がてらお茶を飲んでいると通知が。インスタグラムのフォロー申請だ。
この垢は仕事用で業界の仲間内で繋がったりするアカウントだから…誰だろう。

「…これ、誰?…三ツ橋って」

「んー?…え、三ツ橋ゆりあじゃん」

「モデルの人?」

強気そうな自撮りのアイコン。投稿を見る限り、とても綺麗なスタイルの良い人だ。
モデルだろうか。

「そー、三ツ橋の親戚ってうるさいのなんの。…モデルとかいろいろやってるけど正直業界で嫌われがち。…家が太かったり、本人αってことでお偉いさんには重宝されてるけどね」

「そうなんだ…じゃあ…潤也さんと親戚ってことか…」

「そうだねぇ」

ならフォロー申請を断る訳にも、とフォロー申請を通してフォローを返すとすぐにメッセージが来る。

『フォロー返してくれてありがとうございます。潤也の従姉妹のゆりあです。
いつも潤也がお世話になっているようで笑奥さんにご迷惑かけていたら教えてくださいね!よく叱っておきます笑笑
よろしければ今度ご飯でも行きませんか?』

「うっわぁ…やな女のテンプレじゃん」

メッセージを見た楓斗君が大きくため息を着く。
この人は何なんだろう。今でも潤也さんと交流はあるのだろうか。

「大丈夫?気にしたら駄目だよ」

「大丈夫…でも結婚して5年は経つのに…今さら」

「結婚式にはいたの?」

「ううん…いなかったと思う。結構こじんまりとした結婚式だったし」

「そっか。…嫌なら潤也さんに言わないと駄目だよ?」

「うん」

最近帰りも遅いし、帰っても疲れているようだから。
少し聞いてみるか、と小さく息を付いてゆりあさんへの返信を送った。

なんだかいろいろと疲れてしまった。








「…もう寝ていると思ってた」

「少し直したいところがあったので。何か食べますか?」

「いや…ありがとう。風呂入ってくる」

食べてきたのだろうか。夕食はいらないとは聞いていたけれど…。

仕事道具を片付け、着替えを用意しがてら脱衣場にて寝る支度をしていると台の上に置かれている彼の携帯からいくつもの通知音が。

仕事が立て込んでいるのだろうか。


「…透…」

「おかえりなさい、お疲れ様です」

ベッドで待っていると風呂から上がった彼が倒れ込んでくる。

「…しばらくお前とゆっくりできていない」

「そうですね。…少し寂しいけど仕方ないです」

「…ああ」

彼に抱きしめられ、腕の中に閉じ込められながらも他愛のない話をする。
彼が寝てしまわないうちに話そう。

「あの…」

「どうした」

「ゆりあさんって…潤也さんの親戚の人ですよね」

「ゆりあ…あぁ、従姉妹だ。…結婚式には来なかったろう?何故知っている」

「インスタのフォローが来て」

「なるほどな…」

はぁ、と困ったように彼がため息を着き、額にキスを落とす。

「そいつは気にするな…寝よう」

あまり触れるなということか。
…何故かなぜかとあまり追求しない方がいいだろう。

もう少し彼の仕事が落ち着いてから聞こうと自分に言い聞かせてもう少し彼に身を寄せた。
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