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しおりを挟む「これでいいかな…」
「めっちゃいい!大丈夫!自信持ちな!」
ちょっと気合い入れすぎたかな、と前髪を弄っていると楓斗君が首を振る。
「湧君のことは気にせず行っといで、ていうか海來もめっちゃ喜んでるし…むしろありがとう」
「ううん、ほんと助かる。翼さんにもお礼言ってといて。」
今日の夜から明日まで、湧は廣瀬家宅でお泊まり会をすることになった。
2人とも楽しそうに遊んでいるが…自分の心は心配でいっぱいだ。
「透は正真正銘潤也さんの番で、奥さんで、湧君のママでめちゃくちゃ愛されてるんだからさ、自信持たなきゃ」
「ありがとう」
少し勇気が出た。
そろそろ潤也さんが迎えに来る。
「終わったら連絡してね、聞かせて」
「うん。待っててね」
それにしても、楓斗君のヘアメイク技術がすごい。派手にしている訳じゃないのにパッと見の印象が綺麗に見える。
髪も片方かき上げて、下ろしている方を緩くウェーブにしてもらった。
楓斗君の車に湧の荷物を積み込んでいると丁度潤也さんが家の前に車を止める。
「…凄く綺麗だな…やってもらったのか?」
「はい。…気に入って貰えたなら嬉しいです」
「もちろん、気に入らないわけが無いだろう」
頬を擽られ、2人の世界に入り込んでしまう前に、湧にバイバイを言って楓斗君によろしく伝えて車に乗り込む。
潤也さんも綺麗に髪を整えて、服もフォーマルでかっこいい。
車でリップを少し塗っていると「少しいいか」と彼がキスをしてくる。
「ちょ…口紅、唇についてますよ?」
「わざとだ」
全く…と彼を小突くとほんのり赤くなった唇で彼が微笑む。
レストランのある建物に入るとロビーでゆりあさんが待っていた。
ふんわり巻いたロングヘア、大きく胸元の空いたブラウスにスリットの入ったマーメイドスカート。
こうしてみるとやはりモデルもやっているだけあって綺麗な人だ。
「潤也君、!」
こちらに気がつくとぱぁ、と顔を輝かせて駆け寄ってきた。
潤也さんが腕を絡めてきたのでそれにならいながら「こんばんは、いつも夫がお世話になっています」と挨拶をする。
「透さんですよね~、こちらこそ昔から潤也君にはお世話になってます」
「…行こうか」
潤也さん、無口と外面の中間になってる。
店員さんに個室に案内してもらい潤也さんの向かいにゆりあさんが座る形になった。
何気なく注文をするとゆりあさんが口を開く。
「私ずっと透さんとお会いしたかったんですよ~。式には行けなかったし、やっぱり昔から潤也君ってこんなだから慣れてないと一緒にいるの大変かなぁて」
「とても楽しいですよ」
ふふ、と笑いながら食前酒を口に含む。
お酒を入れないとやってけないぞ…これは。
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