こっち見てよ旦那様

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咲夜の恋路

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腹も満たされ、薬で発情も抑えられているので残ったのは幸せな眠気と体のぼんやりとした怠さだった。

台所で後片付けをしてくれる咲夜を見ながらソファの上でもう一度毛布にくるまった。
本当はもっと咲夜としたいのだ。

けれど実際の人とヤるのはお互い初めてだったし、そんなにがっつくのもあれだと思う。
それに、無闇にヤりすぎて何かあったら大変だ。

理性が戻ってやはり少し怖いのは妊娠。

しっかり避妊はしてくれたが、やはり何かしらのトラブルでしてたら…。

別に咲夜との子供が嫌なわけじゃない。
まだ高校生で特に咲夜には未来がある。自分にだってこれからやりたいことがあるかもしれない。

それに、まだまだ咲夜と2人でいたい。
長い片思いの箇所を両思いの思い出で塗り替えたい。



「咲夜、なにか飲む?」

「…ううん、大丈夫、ありがと…。咲夜、早く来て」

「はいはい」

わがままにも優しく笑って隣へ来てくれた咲夜を自分のくるまっていた毛布で一緒に包み込む。

「なーに」

「…温かいでしょ」

「だな。…蓮は体温低いもんね」

「咲夜は温かい。犬みたい」

「蓮は猫かな」

蓮猫、とくすくす笑う彼に「にゃあ」と言って猫の手で彼の頬を軽く叩いてみる。
ちょっとぶりっ子過ぎただろうか。
そう思いながら彼の様子を伺っていると、「わんわん」と言われて肩に頭をグリグリ擦り付けられた。

「くすぐったい…」

「ふふ…蓮、いい匂いする」

「いい匂い?…シャンプー…とか?」

「違うと思う…なんだろう」

柔軟剤?と不思議そうに首輪傾げる咲夜がスンスンとやたら匂いを嗅いでくる。
くすぐったいしなんだか恥ずかしい。

「蓮の香りかな」

「…体臭ってこと?」

「そうだけど体臭は体臭でもさ…めっちゃいい香り、甘いような…なんか」

上手く言えないや、と笑う咲夜に抱きしめられそのままソファへと2人寝転ぶ。

「あー…俺めっちゃ幸せ」

しみじみとそうため息混じりに呟いた咲夜の懐に潜り込み「俺も」と呟き返す。
咲夜よりかは少し背が低いけれど、咲夜の叔父さんと透さんよりは身長差も体格差もないから可愛くは無いかもしれないけれど、無理やり咲夜の懐に丸まる。

「でかい猫だな…ライオン?虎?」

「…食べちゃうよ」

「もう食べられた」

「咲夜おっさんくさいよ、それ」

からかい半分でそう返すと「お前が言ったんじゃん!」と慌てる彼を可愛いと思いつつもそれを隠してうるさい口をキスで塞いでやった。

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