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しおりを挟む「ゆう、うみいきたい」
「海?」
「うん」
幼稚園の帰り、車の中でそんなことを言い出した湧。
海かぁ…。
何年もまともに行っていない気がする。
旅行に行こうと潤也さんと話してはいたし、いいかもしれない。
「パパにも言ってみないとね」
「ママも海行きたいな」と言うと嬉しそうに笑う湧。幼稚園で絵本か何か見たのだろうか。
「…ということがあったんです」
「海か…もう何年も行ってないな」
夜、寝室で寝る支度をしながら潤也さんに湧が海に行きたがっていた事を話す。
「僕もです。…だから僕も行きたいなって」
「そうか。…いいな、海。夏休みが取れるように調整しとく。…温泉があるところがいいな」
「いいですね。海が見える露天風呂とか最高です」
なんだか楽しくなってきた。
「…咲夜君はどうするんですか?」
「咲夜か…補習や実家に帰らないのであれば連れていくかと思ったが…お前は嫌か?」
「いえ、むしろ来てくれないかなって思ってました」
「従兄弟には悪いが…もう実の子のようになってるもんな。湧も兄のように思ってる」
「ほんとですよね。最近、敬語を少しづつ外してくれるようになって嬉しいんです」
この前なんかは、間違えたのだろうが「お母さ…」と呼ばれて咲夜君は照れていたが自分はかなり嬉しかったので「お母さんに何か用?」と少しいじってしまった。
昨日帰ってきた様子を見ると蓮君とは上手くいったようだし、自分も嬉しい。
既にベッドに入っている彼の隣に入り込み、イタズラのつもりで彼の上にうつ伏せに転がる。
「っはは、どうした」
「いーえ。…遊んでみたかっただけです」
最近髭を伸ばし始めた彼の顎を触るとジョリジョリしてくすぐったい。
その感覚が面白くて頬をスリスリしていると「こいつめ」と抱きしめられて強制的ジョリジョリをされて顔中にキスをされる。
「髭があるのは慣れないな」
「ずっとありませんでしたもんねー…でも大人って感じがして素敵ですよ」
「そうか?」
分かりやすく嬉しそうに生えかけの髭を撫でる彼がかわいい。
…けどお尻を揉んでくるのはやめて欲しい。
「ちょっと、何触ってるんですか」
「あー…すまん、つい。可愛い尻があったもんだから」
「湧を産んでから少し腰周りが太ったというか…少し気にしてるんです」
「それは仕方ないだろうし、湧を産んでくれるためにそうなったのだから俺は愛しいと思う」
「俺にとっては可愛い尻だ」と相変わらず揉む彼。
…仕方ないから、許してあげよう。
彼の胸に顔を埋めながら彼が満足するまでいちゃいちゃしていた。
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